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【初勝利一番乗り】西村淳也騎手(1)『トップジョッキーに混じって、舞い上がってしまいました』

  • 2018年04月16日(月) 12時01分
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▲3月3日にデビューした3名の新人騎手の中で、初勝利一番乗りを挙げた西村淳也(にしむらあつや)騎手


3月3日にデビューした3名の新人騎手。その中で初勝利一番乗りを挙げた西村淳也(にしむらあつや)騎手が今回のゲストです。記念すべき舞台は、3月31日の阪神競馬場(6R、ティーブラッサム騎乗)。翌日にGI大阪杯を控え、ムードの高まる競馬場。さらにその週は2場開催で、ジョッキーのレベルが高いなかでの一戦。実際、2着がM.デムーロ騎手で3着が川田将雅騎手でした。“価値ある一勝”を手にした西村騎手。その素顔に迫ります!(取材:東奈緒美)


隣は名手武豊騎手、逆隣りは憧れの松山弘平騎手


 初勝利一番乗り、おめでとうございます。

西村 ありがとうございます!

 デビュー以来、初めて3番人気という人気馬に騎乗しての一戦でしたが、やはり狙っていたんですか?

西村 狙っているという意味では毎レース狙っているんですけど、あのときは人気馬でしたし、能力的にも勝ち負けだと思っていたので、いつもとはまた違う意識はしていました。

 どんなレースをイメージして臨みましたか?

西村 前の位置につけられたらいいなと思っていました。でも、いざゲートが開いたらすぐに閉められてしまって、そのまま中団よりやや前で運ぶかたちになってしまったんですが、なぜか意外と冷静に乗れたんですよね。馬の能力も感じていましたし、このままいけば絶対に勝ち負けになるだろうと思っていたので、最後まで焦らずに乗ることを心がけました。

 そうだったんですね。馬も落ち着いた様子でしたし。

西村 はい。本当に乗りやすい馬ですし、よく頑張ってくれたと思います。

 レース前は、厩舎関係者の方とどんなお話をされたんですか?

西村 とりあえず前に行って、4コーナーを回ったら先頭に立っているイメージで乗ってくれという指示を受けました。道中は前に行けませんでしたが、4コーナーでは指示通りに先頭近くまでいけたので、内心「よしよし」という感じでしたね。

 勝てるかもという手応えは、どのあたりで感じましたか?

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▲「勝てるかもという手応えは、どのあたりで感じましたか?」


西村 4コーナーを回った時点でいつでも弾けられるくらいの手応えだったので、その時点でもう。早くゴール板がこないかなぁと思っていました。

 やはりゴール板までが長く感じましたか?

西村 いえ、追い出してからは早かったです。ふと気づいたら残り200mまできていましたからね。いけるかな、いけるはず! と思いながら、ずっと追ってましたね。

 あの週は2場開催だったこともあり、ジョッキーのレベルが高いなかでの一戦でしたよね。そのあたりは意識されていましたか?

西村 はい。実際、2着がデムーロ騎手で、3着が川田さんでしたから…。トップジョッキーに混じって戦う自分がいて、しかもそのなかで勝てるなんて。正直、ちょっと舞い上がってしまいました(笑)。

 大きな自信になったのではないですか?

西村 そうですね。もちろん、いつも自信を持って乗っているつもりなんですけど、あの勝利でもうひとつ自信のレベルが上がったような気がします。

 ひとつ勝ったことで、ご自身のなかではどんな変化が?

西村 なんかもう、本当に落ち着きました。ひとつ勝つまでは「勝たなくちゃ!」というプレッシャーがあって、気持ちばかりが焦って。走るのは馬なので、僕が焦っても意味はないんですけどね(苦笑)。でも、初勝利を挙げたことで安心したのか、デビューした頃に比べたら、少しは周りを見れるようになったかなと思います。デビュー戦なんて、自分が思い描いていた競馬がまったくできませんでしたから。

 デビュー戦は3月3日の阪神1R、自厩舎(田所秀孝厩舎)のマエガミという馬でしたね。

おじゃ馬します!

▲デビュー戦のパドック。自厩舎のマエガミに跨り、いよいよジョッキーとしての船出 (C)netkeiba.com


西村 はい。先生からは「前に行けるなら行ってこい」と言われていたんですが、まずスタートからあまり出せなくて…。競馬学校の頃は、けっこうスタートには自信があったんですけど、実際の競馬となると全然ダメです。ゲートについては、先輩にもいろいろ教えていただいたりしてるんですけど、今もまだうまくいかないことが大半ですね。

 まぁまだデビューして1カ月ですからね。それにデビュー戦でいえば、緊張もあったでしょうし。

西村 そうですね。たしかに返し馬まではすごく緊張していたんですけど、ゲート裏に行って「今から本当に競馬に乗るんだな」と思ったら、緊張より不安のほうが大きくなったのを覚えています。しかも、デビュー戦から隣のゲートが武豊騎手(6枠8番)で、逆隣りは僕が憧れる松山先輩(7枠10番)で…。そういう状況にもすごく緊張してしまいました。

 そういえば、そのデビュー戦でいきなり他馬の落馬があったんですよね。カラ馬が前にいて、さぞかし動揺したのでは…。

西村 スタート直後に落馬があって、そのあとすぐに川田さんが「カラ馬がいるから気を付けろよ」と言ってくださったおかげで、注意して乗ることができました。

 そうだったんですね。それにしても川田さん、すごく冷静。

西村 さすがですよね。僕は川田さんの声を聞き取るだけでも必死でしたが、川田さんは集中しつつも僕を気にかけてくれて。すごいですよね、ホント。

(次回へつづく)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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