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高速決着になってもパワーも必要!? 難解な春の盾に挑む有力馬の追い切り診断!

  • 2018年04月25日(水) 18時01分


もはや勢いだけでは語れない存在のガンコ


 先週は土曜日、日曜日ともに京都競馬場での仕事。暑かったとはいえ、競馬日和ともいえる晴天で、たくさんのお客様が競馬を楽しまれていたという印象。レースに関しては、開幕週ということで「逃げ先行有利」を想定していましたが、思った以上に「差し」が決まる馬場。これは芝だけでなく、ダートに関しても同様だったと思います。

 土曜日にそんな印象があったので、日曜日もそうなることをイメージしていましたが、芝に関しては晴れての競馬が続いた影響か、マイラーズCはレコード決着。土日の違いは週中の雨なのかな、と個人的には解釈しています。

 今週も火曜日、水曜日が雨。特に栗東はかなりの雨量でした。これが週末に影響するのかどうか。京都競馬場の芝生を確認したら、かなりと力強い根付きだったような気がしますから、高速決着になってもパワーも必要な印象。そんな馬場に対応できる馬が春の盾を制するのかも知れません。

【天皇賞・春/シュヴァルグラン】

 今、一番頭を悩ませているのがこの馬。昨年は迷いなく本命にすることができましたが、今年は大阪杯というローテーション。大阪杯の戦前に良いイメージを持っていましたが、それがこの中間では出てきません。それでも毛艶の良さが素晴らしくて、本当に迷ってしまいます。

 最終追い切りはジョッキーが跨っての坂路馬場。先行していた相手はきっちりと追い抜きましたし、ラップの踏み方も加速ラップで理想的。4F時計が遅くなりましたが、これにこだわったJCでは失敗しましたから、ラップの踏み方さえ加速なら問題なし。客観的には文句をつけることができない内容ですから、当然重たい印を打つべきだと思います。

シュヴァルグラン(4月24日撮影) style=

前走大敗を感じさせない文句なしの追い切りを見せたシュヴァルグラン(4月24日撮影)



【天皇賞・春/レインボーライン】

 前走は約2年ぶりの勝利。昨年の天皇賞・春は12着でしたが、ステップを変えて、前哨戦の結果も変わって、おまけに今回は早目に栗東へ帰厩して、じっくりと乗られているという点が昨年とは違います。これだけゆったりとつくってきたら、やっぱり前走の勢いは持続すると思います。

 この馬のパターンでもある、日曜追いで仕上げて、最終追い切りは軽め。これは変わりありません。京都芝の長距離戦は菊花賞2着の実績があるわけですし、昨年の結果だけでこの舞台に適性がないと判断するのは早計。今年の過程なら、勝ち負けして当然の存在ではないでしょうか。

【天皇賞・春/ガンコ】

 日経新春杯の時に「勢いあるなあ」と思っていましたが、今は勢いだけでは語れない本物になってきました。まさに充実という言葉がしっくりくる現状ですが、1週前追い切りの内容は力強くて、本当に惚れ惚れする走りだったと思います。

 最終追い切りは終い重点ですが、これは前走時とほぼ同じ。決して軽い内容ではありません。ここは高い評価をして当然だと思いますが、客観的な調教内容としては、本数が過去3走の好走時に比べると少なめ。今回は今まで以上にプール調教を多用しているので、それが影響しているのかも知れませんし、使い続けているからこの本数とも考えられます。ただし、やって強くなっていった馬。中間にCWで時計を出していないところもありますし、ここは冷静に印判断をします。

ガンコ(4月24日撮影) style=

本数は少ないものの、内容は力強く充実期のガンコ(4月24日撮影)


【天皇賞・春/クリンチャー】

 1週前追い切りまでの過程を見て、やっぱり春3走目、今回が一番いいかもと思ったのは間違いありません。本命にするつもりで、最終追い切りを楽しみに待っていましたが、武豊騎手が騎乗できないということに衝撃を受けたのは言うまでもありません。

 前走時もそうですが、やっぱり初めてクリンチャーに騎乗するということは簡単なことではありません。特に今年になって走りのイメージが変わってきている馬。以前のイメージで騎乗すると、前走のような折り合いを欠くシーンがあっても不思議ではありませんし、構えすぎてもよくないかも知れません。

 個人的には乗り手とのコンタクトを非常に重視している馬だと思っています。だからこそ、担当者の長谷川万人調教助手が騎乗すると抜群の操縦性を見せます。最終追い切りに騎乗したジョッキーがどのようなイメージを持ったのか分かりませんが、難しいレースになるだろうと個人的には考えています。

クリンチャー(4月24日撮影) style=

テン乗りに不安を感じるも、状態は良いクリンチャー(4月24日撮影)


【天皇賞・春/トーセンバジル】

 覚えてくださっている方がいるかどうか分かりませんが、昨年の京都大賞典の最終追い切りで併せ馬を先行したことで、これまでの差し脚質から先行脚質に転換するという趣旨のコメントを競馬予想TV!で発言しました。レースを見て、やっぱりとは思いましたが、その後の国内でのレース(日経賞のみ)は最終追い切りで併せ馬先行はありません。

 しかし今回は併せ馬で先行。追い切り場所は雨が降った影響もあり、芝コースでしたが、先行してきっちり先着。かなりパワーの必要な馬場状態でしたが、重心がブレることなく走れていた点は好感。休み明けをひと叩きしたことで上昇していることは間違いなく、毛艶の良さも先週より今週が断然。あとはこの馬に勝つために必要な運が向くかどうかだけ。

トーセンバジル(4月25日撮影) style=

一叩きされて確実に上昇しているトーセンバジル(4月25日撮影)


◆次走要注意

・4/22 マイラーズC【ロジクライ】(3人7着)

 調教過程、パドックの様子から好勝負だろうと思いましたが、結果的には掲示板にも載ることができませんでした。ただ、これはハナを主張していたレース内容も影響しているように思います。
 この一戦だけで重賞で力不足というわけではないと思いますし、この経験が今後にも活きてくるはずです。

[メモ登録用コメント] [マイル]最終追い切り栗東坂路で4F目最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・矢車賞【ガールズバンド】
 先週も取り上げましたが、最終追い切りは芝コース。3頭併せの大外でしたが、持ったままの手応えで見た目には完璧な動き。負荷は先週かけていますし、これで十分。パワーがある走りを見ることができましたし、ここは楽しみな一戦です。

【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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