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「パドックにこないジョッキーがいるのはなぜ?」ファンの素朴な疑問に直球回答

  • 2018年05月01日(火) 18時01分
小牧太

必勝法は力のある先行馬が8枠に入ったとき!?


今回はユーザーからの質問3連発! 「園田競馬の必勝法は?」「人馬一体とはどういう感覚?」「パドックにこないジョッキーがいるのはなぜ?」などなど、競馬ファンからの素朴な疑問に自らの体験談を交えつつ、ストレートな小牧節で答えます!
(取材・文:不破由妃子)



よほどの馬じゃないと“人馬一体”は味わえん


──今回もたくさん質問がきています。まずは「いつも楽しく拝見しています。最近、園田競馬に行くことが多いのですが、ズバリ、園田の必勝法を教えてください!」という質問です。

小牧 ……わからん(苦笑)。そんな必勝法があれば、僕がもっと馬券を買ってるって。何かの企画で買ったりしたけど、なんせ当たったことないからね(笑)。

──園田のリーディングジョッキーにして、まさかの全敗(笑)。でも、あのコースの勝ち方は一番わかってらっしゃいますよね。

小牧 園田はね、なんやかんや言って外枠のほうが有利やで。ちょっと統計を見てみて。たぶん8枠の成績がいいはずだから。

──外枠で、しかも前に行ける馬ですよね?

小牧 そうやね。小回りだとついつい内枠に注目しがちやと思うけど、実際は外が有利。まぁ園田の頃は、強い馬しか乗ってなかったからねぇ、ホントに。力のある馬なら、外から行ったほうが不利がないでしょ。自分のペースでいけるし、動きたいときに動けるし。内からだとそうはいかんから。

──では、必勝法としては「力のある先行馬が8枠に入ったら鉄板!」ということですね。

小牧 うん、そう思うよ。ま、当たったことのない僕が言ったところで説得力はないやろうけど(苦笑)。

──続いての質問です。「以前、福永ジョッキーがジャスタウェイと人馬一体になれた瞬間を『チェーンの外れた自転車を漕いでいる感じ』と表現されていて面白いなぁと思ったのですが、小牧さんにとって人馬一体とはどんな感覚ですか? また、どんなときに感じますか?」。

小牧 人馬一体を感じるには、乗りやすい馬、力のある馬が限定やからなぁ。まず、必死に追う時点で、勝ったとしても人馬一体じゃないもんね。

──たしかに。だから福永さんのような表現になるのかもしれませんね。

小牧 うん。僕が一番“人馬一体”を感じた馬となると、やっぱりローズキングダムかな。とにかく脚があるから自由自在で、どうにでもなった。思った位置にスッと入れて、最後もそれほど追わんでも伸びたし。

──まさに、小牧さんの思うままに。

小牧 そうそう。“一緒に走ってる”っていう感覚やったね。そもそも、祐一くんはいい馬に乗る機会が多いから、僕らとは感覚が違うもん(苦笑)。僕らは自分で動かしていって位置を取りに行ったりするけど、彼らが乗っている馬は、いかに馬とケンカせんように折り合いをつけて…っていう感じやろうからね。

──やはり、走る馬限定の感覚なのかもしれませんね。

小牧 そうやね。“走る”だけじゃなくて、乗り味もよくないと感じられんと思うし。それが揃ったときに、僕は人馬一体になったような感覚になるかな。とにかく、よほどの馬じゃないと人馬一体は味わえんよ。

──では、最後の質問です。「騎手がパドックに出てきて馬に乗る場合と、パドックに出てこない場合があるのはどうしてですか? できればファンサービスとして、毎回全馬に騎手が乗ってほしいと思うのですが」。

小牧 うん、できたら毎回乗るようにっていうのは、JRAからも言われていることです。あ、平場はレース間隔が短いから逆に行けないけど、特別戦は毎回パドックにくるようにということで、バスで送り迎えしてくれているからね。でも、よっぽどしんどいときは、行かんかったりするんやけど(苦笑)。そういうことが続くと、怒られたりするんやで。

──そうなんですね。初めて聞きました。でも、現実的に、特別戦でも連続で騎乗していたら、けっこう慌ただしいですよね?

小牧 そうやね。一息つく時間がないからね。

──JRAからのお達しというのは、以前からなんですか?

小牧 そう、前からやで。パドックに行かないことが多いと、騎手免許更新の面接のときに怒られるよ。僕も注意された(苦笑)。

──ジョッキーひとりひとり、けっこう細かくチェックしているんですね。

小牧 してるしてる! でも、待っていてくれるファンがいる以上、しんどいなんて言ってないで、ちゃんと行かなアカンと思ってるよ。

小牧太

よっぽどしんどいときは、パドックに行かんかったりするんやけど(苦笑) ちゃんと行かなアカンと思ってるよ

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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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