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差せそうで差せないコース&レース!/NHKマイルカップ

  • 2018年05月02日(水) 18時00分

■NHKマイルカップ(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録22頭

【特注データ】〜レースデータより〜



 詳しくは後述するが、NHKマイルCはけっこう波乱傾向が強いレースだ。昨年も2着には13番人気のリエノテソーロが激走して、高配当が飛び出している。過去10年でふたケタ人気馬はトータル[2-2-5-81]と、9頭が馬券絡み。雑に考えると、毎年1頭前後が上位に食い込んでいる計算となる。当然、今年も要注目である。

 掲載したのは、10番人気以下馬に限定した条件別成績。前走馬体重が500キロ以上だった大型馬が全滅していることや、「前走4番人気以内→今回ふたケタ人気」というパターンで激走している馬が多いこと、なぜか毛色が「黒っぽい馬」が人気薄では期待薄であることなど、ふるいにかける材料は豊富にある。

 netkeiba.comでの水曜日13時時点の予想オッズを基準にすると、大いに期待できそうなのがカシアスとレッドヴェイロンで、次点がダノンスマッシュ、フロンティア、ロックディスタウン。これらの馬がふたケタ人気となった場合には、大儲けできるチャンス到来──となるかもしれない。

【コース総論】東京芝1600m Aコース使用

・コースの要所!

★1番人気は成績優秀も狙ってオイシイのは中穴。10〜12番人気も要注意か。
★内枠は人気ほどには結果を残せていない印象。過剰評価に気をつけたい。
★差せるイメージも前を捉えきれないケース多発。実際に強いのは先行勢。






 春だけでG1が3回も開催される、東京芝1600m。バックストレッチをフルに使うコース形態で、最初のコーナー進入までに距離的な余裕が十分あるので、ポジションを争って序盤から厳しい流れになるようなケースは少ない。見るからに枠番による有利・不利がなさそうな、紛れの少ないコースといえるだろう。

 人気別成績では、1番人気を筆頭に人気サイドが「勝ちきる」レースをしているのが見てとれる。人気馬の着別度数が「1着>2着>3着」の順であるのは、紛れのないコースであることの証明だ。ただし、狙ってオイシイのは中穴で、単勝適正回収値の高い7〜9番人気を1着に固定する馬券などは、かなりオススメ。10〜12番人気の激走率もけっこう高いので、ヒモ荒れを狙ってみるのも面白い。

 次に枠番だが、こちらは「平均人気」に注目。外枠である馬番13〜18番の信頼度が少し低い程度で、内外での成績差はかなり小さいように見えるが、平均人気の差を考えると、じつは内枠の内容がもっとも悪い。枠番値や回収率ベースの数値も物足りず、ファンが過剰に高く評価しているイメージ。内枠有利ではないという点を忘れないようにしたい。

 イメージを思いっきり裏切ってきたのが脚質面だ。差し優勢という印象の強いコースだが、実際は先行勢の勝率が圧倒的に高く、中団から差した馬が2着に終わるというケースが非常に多い。逃げ切った馬も意外なほど多く、前に行ける馬を1着で狙ったほうがいいのは間違いなしだ。上がり上位馬の勝率が低いのも、それを裏付けるデータ。「先行→差し」決着を前提に馬券を組み立てたい。

【レース総論】NHKマイルカップ(G1) 過去10年

・レースの要所!

★上位人気と超人気薄が強いレース。ふたケタ人気馬の取捨はかなり慎重に。
★コースデータ同様に内枠が過剰人気。中枠や外枠を狙ったほうがオイシイ。
★先行勢が強いのもコースデータと同様。前で粘れる馬を重視すべきレース。
★距離短縮組の人気馬は高信頼度。牝馬や「非社台」の強さも目立っている。








 レースの平均配当は、単勝1057円、馬連7853円、3連複8万1946円と高め水準。1番人気馬が[6-0-0-4]と、勝つか4着以下かという両極端な成績を残している。ちなみに、昨年の1番人気は牝馬のカラクレナイで、見せ場なく17着に惨敗。メジャーエンブレム、ミッキーアイル、カレンブラックヒルなど、結果を残している1番人気馬に先行タイプが多いのも特徴といえる。

 人気別成績で目立っているのが、超人気薄の強さである。トータル[2-2-5-81]で複勝率10.0%というのは素晴らしい成績で、単勝適正回収値128.6、複勝回収値136と妙味も十分すぎるほど。冒頭の「特注データ」でも触れたが、人気薄の取捨にはかなり時間をかけたほうがいい。かけた時間や手間のぶん、見返りも大きいはずだ。

 次に枠番だが、こちらはコースデータどおりの傾向。平均人気がもっとも高い馬番1〜6番だが、平均着順は9.9ともっとも低く、枠番値は大幅マイナスとなった。単純に内外で比較したデータでも、信頼度は横並びで平均着順も9.5と同じだが、平均人気には1.4もの大差がある。内外のどちらが好内容であるかは、説明するまでもないだろう。

 脚質についても傾向はコースデータと同じ。信頼度だけでなく回収率ベースの数値も高い、先行勢を狙うべきであるのは間違いない。逃げた馬が好成績であるのも特徴で、ペースと能力次第では逃げ切るのも十分に可能。完全な前残り決着というのは少なく、中団から差す馬が上位には食い込んでくるが、単勝適正回収値の低さからも1着で狙うのはオススメできない。

 前走距離別では、距離短縮組に注目したい。東京の芝マイルで中距離馬が強いというのは有名な話で、実際にこのレースでも距離短縮組はトータル[3-6-5-33]で複勝率29.8%、複勝回収値140という優秀な結果を残している。なかでも強いのが人気サイドで、3番人気以内に推された馬に限ると連対率は43.8%、複勝率は56.3%にまで向上する。今年の登録馬では、ギベオンがこの条件を満たす可能性がありそうである。

 あとは、社台グループ生産馬と「それ以外」が互角に張り合っているというのも、このレースの大きな特徴だ。人気馬であっても信頼度の高さは「非社台>社台」であり、人気薄で勝ち負けした馬も、社台グループ生産馬以外のほうが格段に多い。人気薄を精査する際には、コレも意識しておいて損はないだろう。

【馬場&血統総論】



・現在の馬場
 引き続きAコース。先週は外を回った馬が伸びあぐねていた印象が強い。

・天候予測
 週末は好天に恵まれそう。日曜日は良馬場前提の予想で問題なし。

・注目血統
 ロードカナロア産駒◎、ディープインパクト産駒○、ルーラーシップ産駒▲、クロフネ産駒△

 今週も引き続きAコースを使用する東京芝コース。直線の長い東京らしく、差しはそれなりに決まっているのだが、内外についてはハッキリと「内>外」だった。外を回した馬は、伸びあぐねていた印象が強いおそらくは今週末も、大外ぶん回しではなくイン突きのほうがいい馬場となることだろう。

 血統面での注目株は、やはりロードカナロア産駒。阪神芝1600m外で驚異的な強さを見せているのは桜花賞のときに解説したが、東京芝1600mでもやはり強い。信頼度の高さはもちろんのこと、回収率ベースの数値も超優秀で、今後も芝マイル戦線で存在感を発揮すること間違いなし。あとはディープインパクト産駒、ルーラーシップ産駒、クロフネ産駒もプラス評価にふさわしい成績を残している。

★出走馬・総論×各論

 久々のアーリントンCを快勝したことで、ここはタワーオブロンドンが人気の中心となりそうな雰囲気。朝日杯フューチュリティSの上位馬で、重賞2勝という実績、叩き2走目での上積みなど、確かに買い材料は豊富だ。あとは、前哨戦を快勝してきたカツジや、クイーンCが強い内容だったテトラドラクマなども、上位人気に推されそうである。

 気になるのが「展開」だ。というのも、前が残りやすい傾向のコース&レースで、しかも外より内のほうがいい馬場でありながら、前に行きそうな馬が意外なほど少ないのである。間違いなく先行すると言い切れるのは、カシアスとミスターメロディくらいのもの。意外なほどにペースが落ち着く可能性もある。

 そういう理由もあり、トップに評価したのが「ふたケタ人気となった場合の」カシアスである。ニュージーランドTでの7着で人気を一気に落としそうだが、勝ち馬から0秒4差に踏みとどまっているのは立派。おそらく冒頭の「特注データ」該当馬にもなるはずで、展開次第では侮れないものがある。

 二番手評価にカツジ。前走は後方から一気の脚で突き抜けたが、流れや組み合わせ次第では前にも行けるタイプである。前走が鮮やかすぎたので、今回どのような騎乗をするかが読みづらくはあるが、レース内容に幅が出たのは大きなプラス。前走に引き続き、ここでも上位争いができるだけのモノを持っている。

 三番手評価にタワーオブロンドン。本質的にはもう少し短い距離のほうがいいタイプだろうが、折り合いがつくのでマイル重賞でもしっかり結果を出せている。実績はここに入ると大威張りできるもので、しかもルメール騎手が継続騎乗となれば、人気になって当然といえる。懸念材料は、差しタイプの1番人気馬がコロッと負けるケースが多いレースであるという点。想定外のスローになると、危なっかしい面もありそうだ。

 四番手評価にギベオン。出走が叶いそうな登録馬ではわずか3頭しかいない、「距離短縮組」という強力な買い材料を有している。上位人気に推された場合の信頼度の高さは前述したとおりで、この大一番でのM.デムーロ騎手への乗り替わりも魅力的。過剰に高く評価すべきではないが、だからといって軽くも扱えない1頭である。

 以下はレッドヴェイロン、テトラドラクマ、ロックディスタウン、ケイアイノーテック、ダノンスマッシュ、パクスアメリカーナ、フロンティアという評価の序列。タワーオブロンドンが抜けた人気になりそうだが、データ的には「上位拮抗の大混戦」であり、下手すると大波乱まである──という見立てとなった。

 あとは枠番がどうなるかだが、基本的には内でも外でも問題なしのコースなので、馬場のバイアスやペースのほうが重要となるはず。トップ評価のカシアスだけでなく、買い材料がある人気薄は積極的に拾っていく方向で、ぜひ高配当を仕留めたいものだ。


■総論×各論・先週の馬券回顧




京都11レース 天皇賞・春(G1)
1着 12レインボーライン
2着 11シュヴァルグラン
3着 08クリンチャー

惜しいハズレが一番ヤダ(#^ω^)ビキビキ

トップ評価だった08クリンチャーが3着に粘ったことでハズレという、なかなかイミフな馬券を買ってしまった。メチャクチャ荒れそうなレースに限って意外に荒れないってやーつ、デスネ。う〜ん、相変わらずピントは合ってるのに、結果に繋がらん。やっぱり単複だけにするかなあ(迷走)。

※コース&血統データは2014年〜2018年4月22日、レースデータは2008年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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