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ダービー候補としてファンに存在を知らしめるはず/京都新聞杯

  • 2018年05月04日(金) 18時00分


◆地元関西中心の出走から、ダービーに駒を進める馬は侮れない

 最近10年の日本ダービーで3着以内に快走した30頭のうち、「19頭」の直前ステップが「皐月賞」であるように、他のステップ「青葉賞、京都新聞杯、NHKマイルCなど」は、あくまでその他である。

 だが、2000年に京都新聞杯が春の5月になって以降、この重賞を最終ステップに2000年のアグネスフライト、2012年のキズナが日本ダービーを勝った。また、2004年ハーツクライ、2005年インティライミ、2015年サトノラーゼンの3頭が2着し、2012年トーセンホマレボシが3着している。

 同じようなステップの青葉賞組が、短期間で東京2400mを2戦するのが苦しいのか、まだ1頭も勝っていないことを考えると、地元の関西圏を中心に出走していて、日本ダービーに駒を進めてくる馬は侮れない。

 この世代のディープインパクト産駒は、5月2日現在、全国でもう76頭が勝ち上がっているのに、皐月賞には2頭が出走できただけ(5着、7着)。青葉賞には必死で「7頭」も出走させながら、出走権確保の2着以内馬はゼロ。英2000ギニーや、1000ギニーにも出走馬がいるというのに、早くに勝ったとくに牡馬は(定説どおり)伸び悩んでいるが、遅く開花しかかっている馬ならそんなことはないだろう。

 フランツ(父ディープインパクト)に注目。キャリアはまだ3戦2勝だけ。前回の阪神1800mの500万下を「1分45秒4」の快時計で圧勝だった。ペースが異なるとはいえ、同日の古馬オープンの大阪城Sが「1分45秒3」。馬場差はあるももの、同じAコースの3週後の毎日杯が「1分46秒5」だった。皐月賞が物足りなかったため、毎日杯を勝ったブラストワンピースが日本ダービー候補とされているが、フランツがブラストワンピースよりランクが下ということはない。

 フランツの3代母はバレークイーン。4代母はサンプリンセス。世界に知られるこの名牝系は、未勝利馬としてわずか3戦目の英オークスを大差で勝ったというサンプリンセスの長所も、激走しすぎてあとは…という死角も受け継いでいるところがある。バレークイーンの直仔フサイチコンコルド(父カーリアン)は、まるでサンプリンセスと同じようにわずか3戦目に日本ダービーを勝って日本のクラシックの歴史を変えた。だが、タフなところは受け継がず、5戦で引退。

 その半弟アンライバルドは5戦目に早々と皐月賞を勝ったが、以降は未勝利で10戦だけで引退。祖母にバレークイーンをもつヴィクトリーは4戦目に皐月賞を大駆けして勝ったが、以後はやっぱり未勝利で引退。バレークイーンを3代母にもつアドミラブルは、昨年、4戦目に青葉賞をレースレコードで勝ったが、人気の日本ダービーを3着に負けて、その後脚部不安を発症しまだ立ち直れないで休養中。

 そういう強さと、心身のもろさを持つのがこの一族につきまとう死角だが、まさかフランツの前回の「1分45秒4」がピークなどということはないだろう。陰りをみせたあとは追いかけてはいけない一族だが、京都新聞杯のフランツは日本ダービー候補としてその存在をファンに知らしめるはずである。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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