◆アーリントンカップがどんな位置を占めるのか
ここ2年、桜花賞組の牝馬が勝ってきたNHKマイルカップだが、この2頭とも2月のクイーンカップで好走していた。東京のマイルで、しかも好タイムをマークしていたが、阪神では自分の競馬ができないでいた。
2年前の勝ち馬メジャーエンブレムは、桜花賞は4着だったが、クイーンカップもNHKマイルカップも逃げ切りで勝っていた。ルメール騎手の「終始自分のペース、レベルの高い馬」というコメントが全てを表わしていた。
昨年のアエロリットは、桜花賞が5着だったが、クイーンカップは2着でNHKマイルカップを勝っている。じりじりと長くいい脚を使えるところが東京向きで、騎乗した横山典騎手は「いつも以上にスタートが速かった。自信を持って小細工せず乗った」と述べていたが、今年はテトラドラクマがクイーンカップを勝って、桜花賞を使わずに出走してくる。
NHKマイルカップを目標とする牝馬のローテーションの典型がここにあると言っていいだろう。
これまでは、一般的に前哨戦としてニュージーランドTをまず注目してきたが、中山のマイル戦は東京では通用しない。昨年のニュージーランドTの勝ち馬ジョーストリクトリが12着に敗れて、武豊騎手が語った「この時計では厳しかった。もう少し時計がかかってくれないと」の言葉が全てを物語っている。
こちらは、スピード優先の競馬で、前後半のラップが同じになる。切れよりもタフさがもとめられるので、マイル以上での実績があれば強味になり、例えば、阪神の毎日杯経由で勝つ馬がいたことがそれを物語っている。キングカメハメハ、ダノンシャンティ、ディープスカイがそのローテーションで勝っていた。
今年はもう1点注目されるのが、アーリントンカップが4月中旬のトライアルとして生まれ変わったことである。阪神のマイル戦は外回りで直線が長いので、東京のコースとはリンクしやすいだろう。今後のNHKマイルカップをめざす路線の中で、このアーリントンカップがどんな位置を占めるのか。
今年は皐月賞組が1頭も出ていないことにもなにか新しい風を感じる。