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今週もまたまた大混戦!/ヴィクトリアマイル

  • 2018年05月09日(水) 18時00分

■ヴィクトリアマイル(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録18頭


【特注データ】〜レースデータより〜


 昨年も人気馬が総コケで、3連単91万馬券となったヴィクトリアマイル。波乱傾向の強さは言うまでもなく、面白そうな人気薄をいかにうまく拾うかが、今年も勝負のカギとなりそうだ。そこで注目したいのが前走での馬体重で、これが459キロ以下の馬はトータル[2-4-4-66]で連対率7.9%、複勝率13.2%と低信頼度。前走4番人気以内馬はそれなりに来ているが、前走5番人気以下で激走した例は、過去10年でわずか1回しかない。

 対照的に、人気薄でも積極的に狙えるのが前走馬体重460キロ以上馬である。単勝適正回収値126.2、複勝回収値170と爆発力が非常に高く、信頼度についても前走459キロ以上馬より上。こちらは、前走5番人気以下からでもアッサリ巻き返している。人気薄を狙うならば、まずは前走馬体重と前走人気をチェックしたい。

 人気薄となりそうな馬では、ジュールポレール、デアレガーロ、レーヌミノル、ワントゥワンの4頭が、前走馬体重460キロ以上。逆に、「前走馬体重459キロ以下かつ5番人気以下」であるラビットランやレッドアヴァンセは、このデータからは人気薄でも人気薄は低めのパターンといえそうだ。

【コース総論】東京芝1600m Bコース使用

・コースの要所!

★人気馬の信頼度はそれなりに高いが、オイシイのは中穴や10〜12番人気。
★枠番の内外による成績差が小さいコース。内容がもっとも優秀なのは中枠。
★差し優勢のイメージが強いが差せない。先行策から押し切るのがベスト。





 先週に引き続き、今週も東京芝1600mでG1が開催される。述べる内容も先週とほとんど同じになるので、くどいと感じたらサクッとパスしていただきたい。

 最初のコーナー進入まで距離があるので、序盤のポジション争いは激化せず、枠番の内外による有利・不利も自然と小さくなる。さらに、最後の直線も長いのだから、実力馬がキッチリと能力を発揮しやすいコースといえる。展開的な紛れがあるかないかでいえば、間違いなく「ない」部類だ。

 では、順当決着傾向が強いかといえば、さにあらず。狙ってオイシイのが4〜6番人気や7〜9番人気の中穴ゾーンで、ここを1着で狙う手も十分にある。さらに、10〜12番人気の激走率の高さもなかなかのもの。先週のNHKマイルCもそうだったが、力はあるにもかかわらず人気の盲点となっていたような馬が、本当によく走る。

 前述したように、枠番の内外はそれほど気にする必要なし。外枠の信頼度がやや低めだが、平均人気が低いのだから致し方ない。逆に気をつけたいのが内枠を過剰に高く評価することで、平均人気がズバ抜けて高いわりには、信頼度に差がない。トータルで考えると、もっとも内容が優秀なのは、中枠である馬番7〜12番である。

 最後に脚質について。先週のNHKマイルCは、ケイアイノーテックが後方から一気の脚で突き抜けたが、じつはかなりのレアケース。4コーナーを6番手以内で通過した馬が20勝しているように、「先行策からの押し切り」がもっとも多い勝ちパターンなのだ。中団待機組の成績を見てもわかるように、じつは人気馬が2〜3着に取りこぼすケースが多いのが、このコースの特徴。中団〜後方から差す人気馬の過信は禁物といえる。

【レース総論】ヴィクトリアマイル(G1) 過去10年

・レースの要所!

★人気サイドの信頼度は低め。コースデータ以上に人気薄の激走率が高い。
★枠番別傾向はコースデータとまったく同じで、人気のわりに強いのは中枠。
★後方からでは勝負にならない。中団より前のポジションが勝ち負けに必須。
★基本的には4歳馬が強いレース。3月生まれの馬も異様なほど強いので注目。








 レースの平均配当は、単勝1046円、馬連1万1479円、3連複31万4105円。2015年に3連複286万馬券、3連単2070万馬券が飛び出しているのもあり、猛烈に高い水準となっている。さらに、昨年も高配当決着で2014年にはヴィルシーナが11番人気で1着と、近年は「荒れて当然」くらいの勢い。波乱傾向の強さは、全G1レースの中でも屈指の存在だ。

 1番人気は[3-3-0-4]とそれなりに結果を出しているが、不甲斐ないのが2〜4番人気で、こちらはトータル[2-1-4-23]で、連対率はたったの10.0%。それとは対照的に大活躍しているのが10〜12番人気で、複勝率20.0%、複勝回収値210という素晴らしい内容である。4〜6番人気や7〜9番人気も好成績で、穴を狙ったほうが面白いのは間違いない。

 次に枠番だが、こちらはコースデータ通りの結果。内枠である馬番1〜6番の複勝率が23.3%と抜けて高いが、平均人気も8.2と断然高いのだから、当然といえば当然の結果だ。Bコース替わりで内枠有利となっている部分があるかもしれないが、それにしては勝率や連対率の高さがもの足りない。実際は、内でも外でもあまり差はないと思われる。

 脚質面は、さすがにG1だけあってコースデータよりも差し馬が強い結果に。しかし、4コーナーを13番手以下で通過した馬は[0-1-3-51]と、ほとんど勝負になっていない。先行勢も中団待機組も買えるが、後方待機組は大幅な割引が必要となるはず。最悪でも中団の位置が取れなければ、勝ち負けには持ち込めないと考えるべきだ。

 年齢別では、フレッシュな4歳馬が好成績。昨年は4歳馬が1〜3着を独占した。高齢馬が買えないレースではないが、ここは4〜5歳を中心に考えるのがベターだろう。ローテに関してはそれこそ「何でもアリ」といった印象で、信頼度が高いのは前走で牡馬混合重賞を使われている組ではあるが、これも過信は禁物である。

 最後に小ネタをふたつ。ヴィクトリアマイルはなぜか「栗色系の毛色」が弱いレースで、2011年以降は人気馬でもまったく馬券に絡めていない。昨年も、レッツゴードンキが3番人気で11着に惨敗。2015年には、ヌーヴォレコルトが断然の1番人気で6着に沈んでいる。データというよりはアノマリーだが、確かに不可解ではある。

 そしてもうひとつの小ネタが「生月」で、なぜかこのレースは3月生まれが異様に強い。トータル[7-3-2-33]で勝率15.6%、単勝適正回収値229.5、複勝回収値121というのは、なかなかに常軌を逸した数値である。今年の登録馬で3月生まれは、昨年の覇者アドマイヤリード以外はクインズミラーグロ、メイズオブオナー、ラビットラン、ワントゥワンと、いずれも人気薄。押さえて損はない……かもしれない。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 A→Bコース替わり。高速馬場化が開幕当初より進んできている印象。

・天候予測
 週中に降雨があり日曜日も傘マーク。道悪となるケースも考えられる。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、クロフネ産駒○、メイショウサムソン産駒▲

 今週からBコース替わりとなる東京芝コース。相変わらず速い時計が出る馬場で、エアレーションの効果が踏み固められて薄れることで、さらに高速化してきている印象を受けた。また、天候が下り坂で、道悪となるケースが考えられるのも気がかり。良馬場発表だったとしても、含水率は高めになることだろう。

 血統面は3種牡馬の産駒をプラスに評価。ディープインパクト産駒が見せるコース適性の高さは素晴らしく、先週ケイアイノーテックがG1を制しているのも追い風に。サクソンウォリアーの英2000ギニー制覇で、少し風向きが変わった感もある。あとは、爆発力のあるクロフネ産駒とメイショウサムソン産駒も魅力的だ。

★出走馬・総論×各論

 超難解なレースとなりそうな、今年のヴィクトリアマイル。リスグラシュー、アエロリット、ミスパンテールあたりが上位人気に推されそうだが、他にクサい馬が多いこともあり、オッズはかなり割れそうだ。実際に、データ面から分析してもコレという存在は見当たらず、見事なまでに一長一短。「絶対にない!」と言い切れる馬が、ほとんど見当たらない。

 展開の読みも難しい。カワキタエンカがハナを主張すると思われるが、そうなるとミスパンテールやアエロリットはおそらく控えるはずで、意外なほど前に楽な展開となる可能性もある。さらに、そこにBコース替わりの影響や道悪の影響などが加わることで、完全な前残り決着となるケースも考えられそうだ。このあたりは、陣営のコメントなどをしっかり確認しておきたい。

 では、各論に入ろう。トップ評価は、昨年の覇者アドマイヤリード。調子を崩していた時期もあったが、前走の4着からも立ち直ってきたと判断していいだろう。前走馬体重434キロと小柄な馬だが、前走の阪神牝馬Sは4番人気以内なので問題なし。M.デムーロ騎手の継続騎乗という強力な材料があり、さらに「3月生まれ」なのも魅力的。昨年のこのレースで、稍重馬場をこなしているのもプラスである。

 二番手評価にアエロリット。中山記念以来のレースで仕上がりがどうかだが、プラス評価となった項目の多さはトップクラスで、東京芝コースでの実績も文句なし。人気サイドが全体的に弱いというレース傾向が気がかりではあるが、走れるデキならば勝ち負けになる。調教後の馬体重やパドックでの気配を、しっかりチェックしたい1頭である。

 三番手評価に人気薄となりそうなレーヌミノル。こちらも買い材料が多く、昨年のマイルCSで牡馬相手に4着という実績は、侮れないモノがある。プラス評価となった項目はこちらも非常に多く、人気薄ならばなおさら買う価値あり。「栗毛が弱い」というアノマリーが一応は割引材料だが、これはそこまで気にする必要あるまい。

 以下はリスグラシュー、ミスパンテール、レッツゴードンキ、カワキタエンカ、ワントゥワン、メイズオブオナー、レッドアヴァンセ、デンコウアンジュ、デアレガーロ……と、延々と僅差で続く。かなりレベルの高いメンバー構成だけに、展開ひとつで結果がガラッと変わりそうだ。

 波乱傾向が非常に強いレースだけに、やはり「人気」というファクターは重視したいところ。10〜12番人気や7〜9番人気となった馬は、それだけで押さえる価値がある。ある程度は波乱となるのを前提に、最終的な買い目を構築したい。


■総論×各論・先週の馬券回顧




東京11レース NHKマイルC(G1)
1着 11ケイアイノーテック
2着 09ギベオン
3着 17レッドヴェイロン

まさかブービー人気とは思わなんだ(#^ω^)ビキビキ

というわけで、トップ評価だった15カシアスの単複勝負→爆死。ほんの少しは「もしや伸びるか?」という瞬間があったのが救い(自己弁護)。逃げてほしかった気もするけど、それだともっと着順を落としてるだろうし……う〜ん、難しいなあ。いろいろと反省材料の多い一戦でございました。

※コース&血統データは2014年以降、レースデータは2008年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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