スピード決着は大歓迎!“二段加速”を発揮できるか/ヴィクトリアマイル
◆スピード勝負想定で差し一手タイプは押さえまで
今週の芝は、Bコースに移ったと同時に、先週に比べてかなり背丈が短くカットされた印象がある。
近年のこのGIは、良馬場だと「1分32秒0前後」の速いタイムが連続している。予報される日曜午後からの降雨しだいではあるが、降り出しが遅かったり、降雨量が少ないと、例年と同様の時計勝負だろう。いま、土曜日の東京5R3歳未勝利戦の1600mが終了、1分34秒5。やはり時計は速い。
雨の影響はそう大きくない「良馬場」を想定して、粘り強いスピード型のアエロリット(父クロフネ)に期待したい。確かに鋭く伸びるタイプではないが、二段加速を発揮してがんばるのが、クロフネの最大の長所を受けたこの牝馬の特徴。このGIを「1着、2着、4着」したホエールキャプチャ(父クロフネ)に良く似たところがあり、ちょっとジリ脚で、鋭さ不足のようなイメージを与えながら、総合スピードの生きる東京のマイルは大歓迎。3歳2月のクイーンCを1分33秒3(上がり33秒9)で乗り切っている。
ちょうど1年前のNHKマイルC快勝は、厳しい流れを先行して抜け出し1分32秒3(上がり34秒3)。史上3位の快時計だった。
そのあと、初の古馬相手となった札幌1800mのクイーンSを快勝し、休み明けの前走の中山記念は差し返すしぶとさを発揮して少差2着。快時計でがんばった3歳春より、大幅にパワーアップして成長している。
父クロフネと同様、まず「快速系」と形容されることはないが、アエロリットはスピード勝負の時計の決着こそ大歓迎。マイル戦の経験5回は、ここでは少ないほうだが、「1分32秒3」の持ちタイムは文句なしにトップ。それも3歳春のものである。
戸崎騎手はテン乗りだが、もちろんアエロリットのしぶとさは百も承知。積極策をほのめかしている。行くカワキタエンカの2〜3番手だろう。
アエロリットの牝系ファミリーは、まだ大きく発展しているというほどではなく、血統体系の1ページの半分にまとまるが、日本産馬では「アイリッシュダンス、ハーツクライ、ノンコノユメ、ダイヤモンドビコー、アエロリット、ミッキーアイル、ラッキーライラック…」などがひとかたまりに並ぶ、素晴らしく勢いのある牝系である。
流れは緩くはならないと思えるが、それでも時計優先のスピード勝負。差し一手タイプは押さえまで。アエロリットから、妙味ある相手はジュールポレール、レッドアヴァンセか。追い込み馬では、ワントゥワンを入れておきたい。