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プロミストリープのこと

  • 2018年05月14日(月) 18時00分


桜花賞優勝、東京プリンセス賞2着


 競馬には絶対がないことを改めて感じさせるレースになりました。

 5月10日に実施された南関東牝馬クラシック2冠目の東京プリンセス賞(大井・1800m)。中央の和田正一郎厩舎から2戦2勝の成績で移籍してきたプロミストリープ(御神本訓史騎手騎乗、大井・藤田輝信厩舎)が、どんな強さを見せるのかと言っても過言ではありませんでした。

 移籍初戦だった南関東牝馬クラシック1冠目の桜花賞(浦和・1600m)を完勝。3戦目という浅いキャリアも、初めての浦和コースや小回りも、ビチャビチャの不良馬場も、厳しいレース展開も、この馬の強さを際立たせるものでしかありませんでした。

 東京プリンセス賞も断然の1番人気になるのは自然な流れ。しかし、桜花賞3着だったグラヴィオーラ(今野忠成騎手騎乗、船橋・佐藤賢二厩舎)に、7馬身も突き放される形で2着に終わりました。

 曾祖母にはダイナアクトレスがいるグラヴィオーラ。北海道時代にはエーデルワイス賞2着や南関東移籍後も東京2歳優駿牝馬で優勝するなど、すばらしい成績を残してきた馬です。打倒プロミストリープ1番手に挙げられていましたが、7馬身もぶっち切って勝ったこの結果には、グラヴィオーラ陣営も驚いていました。

 プロミストリープは、桜花賞とは打って変わり、東京プリンセス賞のパドックはかなり気持ちを高めていて、本馬場入場も予定外の先出し。

「元々は大人しい馬ですが、パドックで跨って地下馬道を通っていた時は、テンションの高さがマックスでしたね。返し馬で走らせちゃえば意外に落ち着いてくれましたが、ゲート裏に向かう時はまたテンションが高くなりました。前回は装鞍所で気持ちを高めていましたが、パドックに出てしまえば結構落ち着いてくれていたので、その点では違うかなと思いました」(御神本騎手)

 プロミストリープはスタートも決まり、道中は2番手を追走。最後の直線で先頭に立とうとすると、3番手でピッタリとマークしていたグラヴィオーラが、抜群の手応えで交わしにかかり、プロミストリープも必死に食い下がろうとしましたが、その差はグングン広がっていきました。

東京プリンセス賞最初のスタンド前、プロミストリープは2番手を追走


 グラヴィオーラの強さを称えるレース、お見事でした!勝ちタイムの1800m1分53秒1(不良)は、前日の南関東クラシック1冠目・羽田盃で優勝した牡馬のヤマノファイトよりも速いタイム(1分53秒7・不良)です。

 3着のゴールドパテックは2着のプロミストリープよりもさらに7馬身後方。グラヴィオーラとプロミストリープがどれだけ抜けていたかがわかるかと思います。

「1周目のゴール板まではちょっとハミを噛んでいましたが、あとは折り合いもついていた方だと思います。勝負所の手応えはありましたが、グラヴィオーラの手応えがあまりにもよくて太刀打ちできませんでした。直線も伸びていたというか止まってはいないし、桜花賞(1600m)の走りからも、まだ距離に関して受け止めるのは早いかなと感じています。

 悔しいですが、あれだけ離されてしまうと……。自分の仕事はできたと思っていますし、プロミスも初ナイターで環境が違う中でもよく走ってくれて、外厩先のミッドウェイファームの方々もちゃんと仕上げてくれました。まずは結果として受け止めて、次に向けてどうしていくかを考えていきたいです」(御神本騎手)

外厩先のミッドウェイファームにいる時のプロミストリープ


 次走は6月6日の東京ダービー(大井・2000m)への出走を予定しているそうですが、体調面などを見て今後のことは考えていくそうです。この経験を生かし、次はどんな走りを見せてくれるでしょうか?!

 次回のリスタートは5月28日(月)にお会いしましょう!

南関東競馬リポーター。宮城県仙台市出身。元NHK山形放送局キャスター。タイキフォーチュンがきっかけで競馬の世界を知り魅了され、競馬を伝える仕事に就きたく上京。MXテレビ大井競馬中継を経て、現在は南関東競馬内で取材活動を行っている。南関東競馬公式ウェブサイト内・南関魂、大井競馬ホームページ、サンケイスポーツ、楽天、ウェブハロン、ターファイトクラブ会報誌、馬事通信など。

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