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平成最後のダービー、新しい記録は生まれるのか

  • 2018年05月26日(土) 12時00分


◆21世紀に入ってから親子制覇は7回もある

 ダービーは、タフなレース。体のできていない若駒には辛い。だから、ダービーで状態が上がるよう調整してきた。昨年、皐月賞5着から巻き返してダービー馬になったレイデオロの陣営が述べていた言葉だ。

 レイデオロは2歳の10月、東京2000米の新馬戦を勝ち、葉牡丹賞、ホープフルステークスと中山の2000米を勝って3連勝で年を越していた。藤沢和雄調教師にとり宿願のダービー制覇は、この時点で現実味をおびていた。皐月賞でルメール騎手は、馬の気分にまかせて末脚勝負にかけ、高速決着で前々の競馬だったが、先頭から0.4秒差、フィニッシュしてからの勢いは一番だった。

 充電期間をとりぶっつけ本番だった上での5着、これで一歩前進だったのだ。初黒星でも、めざすダービーに向け、確かな手応えをつかんだと言ってもいいだろう。そしてダービー、スローペースと読んだルメール騎手は、向正面で場内がどよめく中、先んじて動き、勝機をつかんでいた。栄冠に至る過程でどれだけ自信を深めていたか、世代の頂点に立つにはというテーマに、レイデオロはこたえていた。

 ダービーを年が明けて2戦目で優勝したのは、1985年のシリウスシンボリ以来32年ぶりで、ダービー史上2頭目。4戦全勝で2歳牡馬チャンピオンのダノンプレミアムがこのケースに入る。

 ダービー馬はダービー馬からと言われて久しいが、これまでの親子制覇は11回、そのうち21世紀に入ってからは7回もある。特にこの3年は、ダービーは親子制覇が続いている。今世紀の7回の父馬は、タニノギムレットとネオユニヴァースが1回ずつ、あとはディープインパクトが3回、キングカメハメハが2回となっている。明らかに日本の競馬の土壌が進化したと言っていい。

 今年も、ディープインパクト、キングカメハメハの産駒はいるし、皐月賞馬エポカドーロも、新種牡馬オルフェーヴルの産駒で、12回目の親子制覇の資格がある。またエポカドーロは皐月賞が重賞初制覇になるが、このケースでダービー馬になった馬には、トウカイテイオー、サニーブライアン、ドゥラメンテの3頭がいる。それに皐月賞不出走馬のダービー制覇も16頭いて、達成されればキズナ以来となる。

 平成最後のダービーがどう決着するか、果たして新しい記録が生まれるのか。とにかくダービーは、これまでの流れが気になる。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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