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配合的にも評価できるヴィルシーナの初子ブラヴァス

  • 2018年05月30日(水) 12時00分
●アドマイヤマーズ(牡 栗東・友道康夫 父ダイワメジャー、母ヴィアメディチ)
 母ヴィアメディチはリウレイ賞(仏G3・芝1600m)の勝ち馬。本馬の半姉にVia Pisa(父Pivotal/15年リディアテシオ賞-伊G1・3着)、Via Firenze(父Dansili/17年ベルトランドタラゴン賞-仏G3・2着)、半兄にフレッチア(父Dansili/現4戦2勝)がいる。母の父Mediceanは現役時代にエクリプスS(英G1・芝10f)とロッキンジS(英G1・芝8f)を制し、種牡馬としては中堅級ながら、Machiavellianの息子で堅い馬場を得意とするので日本向きの血といえる。日本にはヴィアメディチのほかにシユーマが輸入され、ヘリファルテ(4戦3勝)とブレステイキング(18年プリンシパルS-OP・2着)の母となっている。ヴィアメディチはMachiavellianを介したHaloクロス、という繁殖牝馬として高い成功率を誇る配合構成。このパターンの繁殖牝馬には他にハルーワスウィート、プチノワール、ルミナスポイント、ライツェント、モンローブロンドなどがいる。本馬は芝向きのマイラーとしてハイレベルな資質を感じる。

●アドマイヤユラナス(牡 栗東・友道康夫 父ハービンジャー、母ジュエルトウショウ)
 2代母スイープトウショウは宝塚記念(GI)、エリザベス女王杯(GI)、秋華賞(GI)など6つの重賞を制した女傑。母ジュエルトウショウは若駒時代、きわめて評判が高かったものの、育成段階末期に大怪我をしてしまった影響か、現役時代は中央で4戦して未勝利に終わった。リトルアマポーラ(08年エリザベス女王杯-GI)、リディル(11年スワンS-GII)などと同じく母方にダンシングブレーヴを持つアグネスタキオン産駒なので、繁殖牝馬としてのリベンジに期待できる。「ハービンジャー+サンデーサイレンス+ダンシングブレーヴ」という配合馬は少ないながらも、フラワーC(GIII)3着馬ウインクルサルーテが出ているので期待十分。芝中距離でいいところがありそうだ。

●デターミネーション(牡 栗東・小崎憲 父ゴールドアリュール、母デュアルストーリー)
 母の父エンドスウィープは、日本ではアドマイヤムーンをはじめ芝向きの産駒も出したものの、アメリカ時代はダート向きの繁殖牝馬と交配されて誕生したものが多く、サウスヴィグラスのようなダートの鬼がほとんど。母デュアルストーリーもその1頭で、現役時代はダート1200mのスペシャリストだった。本馬の半兄デュアルスウォード(父デュランダル)はダート短距離路線でOPまで出世した。本馬の父はダート種牡馬ナンバーワンのゴールドアリュール。2歳の早い時期であれば芝短距離戦に対応してもおかしくないが、本質的にはまず間違いなくダート向きで、1400〜1600mあたりで本領を発揮するスピードタイプだろう。

●ブラヴァス(牡 栗東・友道康夫 父キングカメハメハ、母ヴィルシーナ)
 母ヴィルシーナはヴィクトリアマイル(GI)を2連覇した名牝で、ヴィブロス(17年ドバイターフ-G1、16年秋華賞-GI)の全姉、シュヴァルグラン(17年ジャパンC-GIなど重賞3勝)の半姉にあたる良血。マーティンボロ(14年新潟記念-GIII、14年中日新聞杯-GIII)、フレールジャック(11年ラジオNIKKEI賞-GIII)の4分の3同血でもある。Machiavellianを介したHaloクロス馬は繁殖牝馬として成功している。ヴィルシーナは母の父がMachiavellianで、Halo 3×4・5なのでこのパターンに当てはまる(母ハルーワスウィートも同様)。したがって、競走馬だけでなく繁殖牝馬としても期待できる存在で、父がキングカメハメハなら重賞級の期待を掛けられる。芝向きの中距離タイプ。

●プランドラー(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母プラウドスペル)
 新緑賞(3歳500万下)を勝ったグレートウォリアーの全弟で、ダートでOPクラスまで出世しているマジカルスペル(父Creative Cause)の半弟。母プラウドスペルはケンタッキーオークス(米G1・ダ9f)、アラバマS(米G1・ダ10f)を制して米3歳牝馬チャンピオンに選出された名牝。LangfuhrとGone Westのニックスは、他にアポロケンタッキー(16年東京大賞典-GIなど重賞3勝)、Firenze Fire(17年シャンペンS-米G1)、Akilina(16年全日本2歳優駿ーJpn1の覇者リエノテソーロの母)などが出ている。Gone Westを抱えたディープインパクト産駒は、Elusive Qualityを経たショウナンアデラ(14年阪神JF-GI)とケイアイノーテック(18年NHKマイルC-GI)を除けば、一流の壁を突破できない小粒な産駒が目立つ。母はアメリカのチャンピオン牝馬であり、そのずば抜けた能力で大物感を補えれば楽しみ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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