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今年も順当に決まるレースではない!/安田記念

  • 2018年05月30日(水) 18時00分

■安田記念(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録19頭

【特注データ】〜レースデータより〜



 安田記念は、キレ味鋭い末脚が大きな武器となるレース。先週がとんでもないレベルの高速馬場だったのは気がかりだが、今年の登録馬を考えると、超スローでの瞬発力勝負となる可能性も十分ある。速い上がりを繰り出せるかどうかは、やはり非常に重要。というわけで、今回は前走での上がり3F順位に着目してみた。

 前走が最速上がりだった馬は、トータル[4-3-2-13]で複勝率40.9%、複勝回収値102という優秀な内容を残している。同様に、上がり3F順位が2〜3位の馬も上々の内容で、4位以下だった馬と比較すると明らかに優秀。過去10年で馬券に絡んだ馬の過半数が、「前走での上がり3F順位が3位以内」という条件を満たしていた。

 また、内枠が好成績であるのも安田記念の特徴で、「前走での上がり3F順位が3位以内かつ馬番1〜6番」という馬に限れば、トータル[4-3-4-10]で複勝率52.4%、単勝適正回収値172.4、複勝回収値197という素晴らしい内容に。中枠や外枠に入った場合でも買えるが、内枠のほうが期待できるのは間違いない。

 枠番については決定待ちだが、出走予定馬で前走上がり3F順位が3位以内という条件を満たすのは、サトノアレス(2位)、サングレーザー(1位)、ヒーズインラブ(1位)、ペルシアンナイト(1位)、リスグラシュー(1位)、レッドファルクス(1位)の6頭。スワーヴリチャードと、前走が海外遠征だったリアルスティールが条件を満たしていない点を、しっかり覚えておきたい。

【コース総論】東京芝1600m Cコース使用

※今回は「Cコースでの18頭立て」に限定したデータを集計しています

・コースの要所!

★7〜9番人気や4〜6番人気など人気薄の活躍が目立つ。やや波乱含みの舞台。
★極端にではないが外枠がやや不利。内容がもっとも優秀なのはセンター枠。
★Cコースは意外なほど前が強い。コースデータからは確実に先行勢が優勢。





 NHKマイルC、ヴィクトリアマイルに続いて3回目のG1開催となる、東京芝1600m。同じデータを掲載するのはさすがに面白くないので、今回は「Cコース」に限定したデータを集計している。データ母数が減るので正確さに欠ける面はあるが、どうかそのあたりはご了承いただきたい。

 まずは人気別だが、1番人気や3番人気以内馬などの成績は、並か並以下。全体的に人気薄のほうが頑張っている印象で、7〜9番人気は勝率6.7%、単勝適正回収値151.5という好内容を残している。さすがにそれには見劣るが、4〜6番人気や超人気薄の10〜12番人気も見どころアリ。総じて、人気馬よりも人気薄のほうが狙って面白いコースである。

 次に枠番だが、複勝率が高いのは内枠である馬番1〜6番。しかし、平均人気が8.7と圧倒的に高いことを考えると、勝率がもっとも低いというのはいただけない。また、外枠も信頼度や枠番値が低めであり、多少の割引が必要といえそう。内容的にいちばん「買い」なのは、単勝適正回収値が高く枠番値もプラス圏である、中枠の馬番7〜12番だ。

 驚いたのが脚質別成績で、東京の芝コースとは思えないほどに先行勢が絶好調。とくに目立っているのが勝率の高さで、中団待機組を圧倒している。上がり3位以内馬が意外に勝てていないのも、目立っているポイント。先週の東京芝が超高速馬場で、簡単には前が止まらない状態であるのを考えると、先行勢がなおさら怖い。

【レース総論】安田記念(G1) 過去10年

・レースの要所!

★7〜9番人気が4勝、ふたケタ人気も激走を連発と波乱傾向が強めのレース。
★コースデータより内枠が好成績。信頼度だけでなく内容も優秀で高評価。
★先行勢も健闘しているが、最速上がり馬の好成績から差し優勢だと判断。
★6歳以下であるのは好走の必要条件。一定以上の馬格も勝ち負けに必要か。








 レースの平均配当は、単勝1145円、馬連7304円、3連複4万3478円と高めの水準。過去10年、3着まで上位人気でキッチリ決まった年は一度もないという、波乱傾向が強めのレースである。人気別成績を見ても、7〜9番人気や10番人気以下など、人気薄が激走を連発。超人気薄でも、買い材料があれば十分に狙えるレースだ。

 枠番別では、内枠である馬番1〜6番が好成績。ダービー週のCコース替わりが、安田記念になってもまだ影響している可能性は高い。コースデータとは違って内容も優秀で、勝率の高さはとくに目立っている。外枠はやはり少し割引が必要なようなので、やや内枠有利&外枠不利と捉えておくのがよさそうだ。

 脚質については、やや差し優勢と判断。先行勢もよく踏ん張っているのだが、コースデータと明らかに違うのが、最速上がり馬の好成績である。あとは、後方待機組の複勝率が先行勢を上回っているというのも、その裏付け。連対馬については「差し>先行」で、3着馬に関しては脚質を問わない──というのが正しい表現となる。

 年齢別でもっとも好成績なのは6歳馬。ただし、高齢馬が強いというわけではないので注意が必要だ。7歳以上馬はトータル[0-3-1-32]で連対率8.3%、複勝率11.1%と低信頼度で、こちらは「来ても3着まで」と考えたほうがいいか。7歳馬であるレッドファルクスをどのように扱うか、けっこう悩まされそうである。

 中距離向きの持久力が求められる東京芝1600mらしく、前走で芝1800m以上戦に出走していた距離短縮組が好成績。とはいえ、過去10年の好走馬は過半数が前走芝1600m戦組であり、距離短縮組を過剰に高く評価するのは危険だろう。基本的には前走レースの「格」に忠実で、前走G1組はプラス評価の対象となる。

 そして最後に、前走馬体重について。近年の安田記念は、前走での馬体重が480キロ以上だった馬が圧倒的に強く、対照的に前走馬体重479キロ以下馬はトータル[1-1-4-43]と大不振。牝馬で好走しているのも、牡馬顔負けの雄大な馬体の持ち主だったウオッカだけである。このデータからやや不安を感じるのが、リスグラシューとレッドファルクスだ。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 引き続きCコース。今週も「超」高速馬場となる可能性が非常に高い。

・天候予測
 今週末は土日とも好天に恵まれそう。良馬場前提の予想で問題なし。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、クロフネ産駒○

 Cコース替わりで、想像以上の超高速馬場となった東京芝コース。日曜8レースの青嵐賞で2分22秒台が出たように、なかなか常軌を逸したレベルである。今週末は好天に恵まれる見込みで、現在の状況が継続する可能性が大。後方一気の差しが「物理的に」無理な馬場となるケースも考えられる。

 血統面は、ディープインパクト産駒など2種牡馬の産駒をプラス評価。ディープインパクト産駒の強さは今さら説明するまでもなく、軽くて速い時計が出る馬場も大好物。今週も、その強さを存分に発揮できそうだ。それに張り合えそうな唯一の存在がクロフネ産駒で、単勝適正回収値の高さはぶっちぎりのトップ。脚質や馬場バイアスからも、ここでのアエロリットはいかにも怖い。

★出走馬・総論×各論

 4頭がエントリーしていた藤沢和厩舎だが、サトノアレス以外の3頭が回避する模様。これによって、先週の安土城ステークスに出走していたモズアスコットが連闘で参戦する見込みとなった。フルゲートを割り込んだのは寂しいが、大阪杯を制したスワーヴリチャードの参戦もあり、なかなかハイレベルなメンバー構成となった。

 トップ評価は牝馬のアエロリット。今度は牡馬が相手とあって人気を落としそうだが、ハナを主張しそうな馬が見当たらないここは展開的にも有利。牝馬ながら500キロ以上の馬格を誇っており、父クロフネという血統もプラス評価の対象だ。騎乗予定の戸崎騎手が、先週のダービーでいいレースメイクをしていたのも好材料。決して侮れない存在といえる。

 二番手評価にサングレーザー。冒頭の「特注データ」の対象で、前走のマイラーズCでは素晴らしい末脚を見せた。昨年秋のマイルCSでも僅差の3着と、本当に力をつけている。今後のマイル路線で主役級の活躍が期待される1頭であり、勢いに乗る鞍上や血統面もプラス。人気サイドでは、この馬がもっとも信頼度が高いと判断した。

 三番手評価に、人気薄のヒーズインラブ。こちらも「特注データ」対象の末脚自慢で、ダービー卿CTからのローテも、モーリスとロゴタイプと2頭の勝ち馬が出ている。現在の馬場バイアスを考えると、中団からでも競馬ができるのは大きなプラス。持ち時計も上位で、人気薄での激走が期待できそうな雰囲気である。

 以下はスワーヴリチャード、サトノアレス、リアルスティール、ペルシアンナイト、そして香港のウエスタンエクスプレスという評価の序列。レッドファルクスとリスグラシューは「その次」で、人気になるならば思いきって「消し」で勝負してみるのもアリだろう。先週のダービーほどではないが、ここも荒れる気配がプンプンする一戦。高配当を積極的に狙っていきたい。


■総論×各論・先週の馬券回顧



東京10レース 東京優駿(G1)
1着 17ワグネリアン
2着 12エポカドーロ
3着 07コズミックフォース

ユーイチおめでとう!(#^ω^)ビキビキ

勝負馬券は01ダノンプレミアムの1着から「思いっきり」手広く流した3連単。相手を12頭も取っているというのに、07コズミックフォースがヌケなのが恥ずかしい(赤面)。まあ、どっちみちハズレですけどね! う〜む、04アドマイヤアルバや14エタリオウのほうがクサいと思ったんだけれども。

※コース&血統データは2014年以降、レースデータは2008年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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