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メルボルンで総額約10億円の賞金が増額 世界的にも魅力的なプログラムに

  • 2018年06月06日(水) 12時00分


◆メルボルンCは12着馬でも約1266万円支給に

 メルボルンのスプリング・カーニヴァルを舞台とした主要競走の賞金が、大幅に増額されることになった。主催団体であるレーシング・ヴィクトリアから1日(金曜日)に発表されたものだ。

 元来からしてスプリング・カーニヴァルの賞金は高額だったのだが、更に総額で1240万豪ドル(日本円にしておよそ10億4680万円)の上積みがあり、世界的にみても極めて魅力的なプログラムとなっている。

 具体的には、10月20日(土曜日)にコーフィールド競馬場で行われる、芝2400mのG1コーフィールドCの総賞金が、従来の315万豪ドルから6割近くアップされて500万豪ドル(約4億2210万円)に。10月27日(土曜日)にムーニーヴァレイ競馬場で行われる、芝2040mのG1コックスプレートの総賞金が、従来の305万豪ドルから6割以上アップされて500万豪ドル(約4億2210万円)に。

 そして、11月6日にフレミントンで行われる3200mのG1メルボルンCの総賞金が、従来の625万豪ドルから100万豪ドル以上の上乗せがあって730万豪ドル(約6億1626万円)に、それぞれ増額されるのである。

 中でもメルボルンCは、賞金構造が敗者にも手厚いことで知られ、これまでも着外の6着馬から10着馬にも賞金が支給されていたが、今回の賞金改定によって、なんと12着馬まで賞金が支給の対象となり、12着馬でも15万ドル(約1266万円)を手にすることになったのである。

 メルボルンCは招待競走ではなく、遠征費用は馬主さんが供出するのだが、12着までに入れば、遠征費の多くの部分を回収出来るとあれば、これまで以上に参戦しやすくなるはずだ。

 そして、コックスプレートは完全招待制で、遠征費用は全て主催者持ちだし、コーフィールドCは海外からの遠征馬には一律で10万豪ドル(約844万円)の遠征補助金が出る。海外遠征は馬主さんの費用負担が大きくなりがちなのがネックなのだが、スプリング・カーニヴァルの場合、これをかなり軽減出来るシステムが整っていると言えそうだ。

 また、日本馬の目標にはならないが、11月3日にフレミントンで行われるG1ヴィクトリアダービー(芝2500m)の総賞金が、従来の50万豪ドルから4倍の200万豪ドル(約1億6884万円)にジャンプアップする他、10月27日にムーニーヴァレイで行われるG2ムーニーヴァレイゴールドC(芝2500m)の総賞金も、従来の20万豪ドルから50万豪ドル(約4221万円)に増額されている。

 G2ムーニーヴァレイゴールドCなどは、メルボルンCを目標に遠征する馬の帯同馬が、メルボルンCにはレイティングが足りなくて出走出来ないような場合、目標とするのに適したレースとなりそうだ。

 ひと昔前であれば、メルボルンCだけが突出していたのがスプリング・カーニヴァルだったが、現在は多種多彩なサポートレースが用意され、チーム日本として連携しての遠征がしやすくなっている。

 例えば、2000m路線で言えば、最高峰は10月27日のG1コックスプレートだが、その2週間前の10月13日にコーフィールド競馬場でG1コーフィールドS(芝2000m)が組まれていて、こちらも100万豪ドル(約8442万円)という、それなりに高額な総賞金が備わっている。

 そしてG1コックスプレートの2週間後の11月10日にはフレミントン競馬場でG1マッキノンS(芝2000m)が組まれており、こちらの総賞金は200万豪ドル(約1億6884万円)である。

 中1週で3戦するのがタフであれば、ウィンクスの出走が予想されるコックスプレートを避け、コーフィールドSからマッキノンSというローテーションも考えられ、現在の日本馬の水準を考えれば、海外G1制覇のチャンスは充分にあるように思う。

 あるいはマイル路線なら、10月13日にコーフィールドで行われるG1トゥーラックH(芝1600m、総賞金50万豪ドル)から、11月3日にフレミントンで行われるG1ケネディーマイル(芝1600m、総賞金100万豪ドル)へ。スプリント路線であれば、10月26日にムーニーヴァレイで行われるG1マニカトS(芝1200m、総賞金100万豪ドル)から、11月10日にフレミントンで行われるダーレークラシック(芝1200m、総賞金100万豪ドル)へと、転戦することが可能だ。

 すなわち、距離適性の異なる馬同士の帯同も可能で、遠征のチーム編成を幅広い選択肢の中で行うことが出来るのである。

 現段階で早くも、矢作芳人厩舎のチェスナットコート(牡4、父ハーツクライ)、戸田博文厩舎のソールインパクト(牡6、父ディープインパクト)らに遠征計画があると伝えられている。両馬ともに豪州競馬への高い適性を保有していそうで、おおいに楽しみだが、今後、他陣営からも遠征に名乗りを挙げる馬が出て、ある程度まとまった頭数でのチームジャパンを編成していくことになれば、楽しみがさらに増すことになりそうだ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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