スマートフォン版へ

今年はチョイ荒れ狙いが面白そう!?/エプソムC

  • 2018年06月06日(水) 18時00分

■エプソムC(G3・東京芝1800m)フルゲート18頭/登録16頭

【特注データ】~レースデータより~


 詳しくは後述するが、近年のエプソムCは5番人気以内馬[10-9-3-28]と、人気サイドが鬼のように強いレースと化している。「ひねらず素直に買うべきレース」であるのは間違いないのだが、それでも少しは穴を狙いたくなるのがファン心理。順当決着傾向の強いダービーがあんな荒れ方をするのだから、結局はその年のメンバー次第だ。

 というわけで、特注データの項ではあえて、好走率の低い6番人気以下馬に着目。3着には人気薄もそれなりに来ているので、それをピンポイントで狙えれば、儲けるのはたやすいはずである。いくつかの条件から「ふるい」にかけて、激走が期待できそうな馬を探っていくことにしよう。

 まずはローテ面だが、中4週よりも短い出走間隔だった馬は、トータル[0-1-0-49]と大不振。ゆったりしたローテで出走してくる馬を狙ったほうが、期待度ははるかに高い。また、今回が斤量増となる馬もトータル[0-0-1-45]と期待薄で、斤量が前走から据え置き、もしくは斤量減となる馬が狙い目であるのは間違いない。

 そして、馬番も絶対にチェックすべきファクター。単純に内外で比較したデータにおいて、馬番1~9番が[0-1-5-58]で複勝率9.4%であるのに対して、馬番10~18番は[0-0-2-54]で同3.6%と、前者が後者を圧倒している。少なくとも人気薄を狙う場合においては、内枠を重視したほうがベターだ。

 以上のデータから、注目は「真ん中よりも内の馬番」に入った場合のアデイインザライフ、シャイニープリンス、ベルキャニオン、マイネルフロスト。スマートオーディンの人気が読みづらいが、こちらも6番人気以下かつ「真ん中よりも内」であれば、一応は好走条件をクリアする。

【コース総論】東京芝1800m Cコース使用

・コースの要所!

★1番人気を筆頭に、人気サイドが非常に強いコース。穴はヒモで狙いたい。
★外枠の複勝率がやや低い程度。枠番の内外による差が非常に小さいコース。
★ハッキリと差し優勢。中団から差せる馬を重視して予想を組み立てるべき。





 2コーナー近くにあるポケットから発走して、バックストレッチへと斜めに進入。内枠がやや有利な印象を受けるが、古くから「府中の千八展開いらず」という競馬格言があるように、コース形態からくる展開的な紛れはほとんどない。G1が行われても何の不思議もない、競走馬の能力をキッチリ発揮できるコースである。

 それをよく証明しているのが人気別成績で、1番人気を筆頭に人気サイドが圧倒的に優勢。フルゲート18頭立てにおいても、5番人気以内馬が1着に占める割合は88.1%と猛烈に高い。ふたケタ人気の超人気薄を1着で狙うような馬券は避けるべきで、穴馬を狙うならばここは「ヒモ」が適切といえる。

 また、枠番データで極端な「偏り」が見られないのも、紛れがないコースであることの証明。内枠である馬番1~6番の信頼度がもっとも高いが、これは高い平均人気による部分が大きい。複勝回収値と枠番値は中枠である馬番7~12番がトップで、単勝適正回収値のトップは外枠である馬番13~18番と、見事なまでに一長一短。つまり、気にするべきは枠番ではなく、レース当日の馬場バイアスだ。

 最後の直線が長い東京芝コースらしく、脚質はハッキリと差し優勢。抜きんでているのが勝率の高さで、連対率や複勝率もじつに優秀。さらに回収率ベースの数値もトップとなると、「かなり」差し優勢だと考えたほうがいい。「差し→差し」決着や「差し→先行」決着が、いちばん想定しやすいパターンである。

【レース総論】エプソムC(G3) 過去10年

・レースの要所!

★連対馬の75.0%が3番人気以内と、順当決着傾向がきわめて高いレース。
★Cコースの影響か内枠有利の傾向。馬番1~6番の馬はプラス評価が適切。
★コースデータよりも格段に前が残る。逃げ馬が残る確率も非常に高い。
★4歳馬が極端なまでに強い&関東所属騎手が極端なまでに弱い点も注目。








 レースの平均配当は、単勝488円、馬連1247円、3連複1万1504円。3着に人気薄が激走したケースは何度かあるが、1~2着が波乱となったケースは過去10年で一度もないという、順当決着傾向がきわめて強いレースだ。連対馬の75.0%が3番人気以内で、7番人気以下馬がトータル[0-0-5-82]と一度も連対できていないのだから、その堅さは驚異的といっても過言ではないほど。かなり穴党泣かせのレースといえるだろう。

 コースデータと大きく異なる結果が出ているのが、枠番別成績。馬番1~8番がトータル[7-5-6-62]と、好走馬が内にかなり偏っている。信頼度だけでなく回収率ベースの数値も内枠のほうが優秀で、このあたりはいかにも、この時期の東京芝Cコース。公平なコースではあるが公平な馬場ではない──というのが正しい表現になるか。

 脚質面にも、その影響がハッキリ。差し優勢のコースであるのは前述したとおりだが、このレースでは逃げた馬が[1-2-3-4]で複勝率60.0%と、破格の信頼度を誇っている。全体で見ても先行勢のほうが明らかに高信頼度で、最速上がり馬の信頼度も低め。エプソムCというレースに関しては、逃げ~先行勢を重視する戦略のほうが望ましい。

 続いては年齢別成績だが、とんでもなく強いのが4歳馬。勝率19.4%、連対率36.1%はまさに「破格」の数値で、馬券に絡んだ馬の半数を4歳馬が占めている。あとは5~6歳馬がソコソコの成績で、7歳以上馬になると3着にくるのが精一杯。ちなみに今年は、4歳馬がサトノアーサー、ダイワキャグニーの2頭しかエントリーしていない。

 好走率が圧倒的に高い5番人気以内に限定したデータでは、前走G2出走組の好成績が目立っている。過去10年の勝ち馬のうち半数がこのパターンで、昨年に5番人気で勝ったダッシングブレイズも該当。ところが、今年は前走オープン特別組が人気の中心となりそうで、この組が見当たらない。となれば、人気馬の信頼度は例年よりも少し低い──という可能性が高そうだ。

 最後に騎手関連データ。コレを特注データで取りあげようかと思ったくらいなのだが、エプソムCは不思議なほどに、ホームである関東所属騎手の成績が悪い。関西所属騎手や外国人騎手のほうが圧倒的に強く、コレだけを理由に「買い」といえるレベルだ。ただし、関東馬の成績が悪いわけではない点に注意。「関東馬×関東以外の騎手」という組み合わせは連対率38.5%、複勝率46.2%という信頼度の高さである。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 引き続きCコース。相変わらずの超高速馬場で、直線内を突いても伸びる。

・天候予測
 週末にかけて雨が降り続く見通し。降雨量によっては不良馬場まである。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、キングカメハメハ産駒○、ダノンシャンティ産駒▲

 スーパー高速馬場の状態が続いている東京芝コース。勝ち馬が強かったというのもあるが、東京芝1600mの新馬戦をグランアレグリアが1分33秒6で勝ち上がったのには、けっこう驚かされた。ただし、今週は梅雨前線の影響もあり週末まで雨が降り続く見通しで、かなりの道悪となる可能性が大。外が伸びる馬場にシフトするケースもありそうだ。

 血統面は、ディープインパクト産駒など3種牡馬の産駒をプラス評価。驚いたのがダノンシャンティ産駒の強さで、出走数が少ないとはいえ、連対率29.6%、複勝率37.0%、複勝回収値192という素晴らしい内容を残している。特定の馬が繰り返し好走しているわけではないことから、非常に高いコース適性を有しているのは間違いなし。超久々のスマートオーディンにとって、大きな「追い風」となるデータである。

★出走馬・総論×各論

 いかにもエプソムCらしいメンバーが登録してきた。ファンの注目はやはり、「行方不明」に近かったスマートオーディンの復帰だろう。帰厩後の稽古ではいい動きを見せているようで、写真で見るかぎりは太め感もなし。長期休養明けすぎて馬券上での扱いは難しいが、楽しみな馬がターフに戻ってきてくれたのは素直にうれしい。

 トップ評価はグリュイエール。こちらも前走が屈腱炎による2年以上の休養明けだったが、ブランクを感じさせない見事な走りで見事に快勝。今年の出走メンバーであれば、十分にやれそうな雰囲気である。買い材料の多さは文句なしで、これで内枠でも引き当ててくれれば、迷わず本命に推せるほど。福永騎手が騎乗予定であるのも強力な材料だ。

 二番手評価にサーブルオール。先週も素晴らしい騎乗を見せたC.ルメール騎手が騎乗予定で、信頼度が高い「関東馬×関東以外の騎手」というパターンに合致する。中10週という余裕のあるローテも、このレースに関してはプラスとなる材料。1000万下、1600万下を連勝してきた勢いも侮れない。

 三番手評価にエアアンセム。逃げ・先行勢が少なく、ゆったりしたペースで流れそうなここは、スッといい位置を取れるこの馬の好センスが生きる舞台だ。前走の都大路Sでは勝ち馬のキレ味に屈したが、オープンに昇級してのレースだったことを考えれば上々の内容。こちらも、うまく「真ん中よりも内」の馬番を引き当てたいところだ。

 以下はダイワキャグニー、ベルキャニオン、サトノアーサー、アデイインザライフ、スマートオーディン、ハクサンルドルフという評価の序列。ダイワキャグニーは、「関東馬×関東騎手」の組み合わせであるのが、評価する上での大きなネックとなった。大きく紛れるケースは考えづらいが、例年ほど順当には決まらない──というのが、現時点での見立てである。


■総論×各論・先週の馬券回顧





東京11レース 安田記念(G1)
1着 10モズアスコット
2着 04アエロリット
3着 01スワーヴリチャード

アタマなら文句なしだったんだけどな~(*^ω^)♪

とはいえ、中盤がまったく緩まない厳しい流れになったのは予想外で、そこを3番手追走から粘りきった04アエロリットの底力は大したもの。勝った10モズアスコットは、安土城ステークスでの負けが見事な「目くらまし」になっていましたよね。01スワーヴリチャードの3着は、やはり距離適性の差だったんじゃないかと。


※コース&血統データは2014年以降、レースデータは2008年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

No.1予想にて関西全レース予想提供中!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング