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ますます現実味を帯びる日本馬の豪州遠征

  • 2018年06月28日(木) 18時00分
ビクトリア競馬便り

▲宝塚記念を制したミッキーロケット(c)netkeiba.com


(6月28日号 文=ポール・シムズ)

ミッキーロケット、コーフィールドC優先出走権獲得


 オーストラリア、メルボルンのスプリング・レーシング・カーニヴァル開催中に行われる芝2400mのG1コーフィールドカップ(10月20日土曜日、コーフィールド競馬場)は、G1コックスプレート(10月27日土曜日、ムーニーバレー競馬場、芝2040m)やG1メルボルンカップ(11月6日火曜日、フレミントン競馬場、芝3200m)の前哨戦として、約100年の歴史を持つ伝統の国際競走である。このスプリング・カーニヴァルのまさに中核を担うレースへの優先出走権を獲得したのが、G1宝塚記念を制したミッキーロケットとG2目黒記念を制したウインテンダネスである。

 ミッキーロケットは、直線で内から抜け出すと、外から猛追する香港馬ワーザーを振り切り春のグランプリを制した。ワーザー騎乗のヒュー・ボウマン騎手は、残念ながら昨年のG1ジャパンカップに続く2度目の日本でのG1制覇はならなかった。

 一方で9着と大敗したものの、調教師とオーナーサイドが依然として豪州遠征に前向きなのがパフォーマプロミスである。今年初戦のG2日経新春杯では、ミッキーロケット(4着)らを破り優勝し、1番人気だった前走のG2目黒記念では、2キロ重い斤量を背負い、ウインテンダネスのコンマ1秒差の3着に入っていて、今後飛躍する可能性を秘めた馬だと感じている。

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▲豪州遠征に前向きなパフォーマプロミス(c)netkeiba.com


 また、このレースに出走していた窪田康志オーナーが所有するチェスナットコートとソールインパクトの2頭は、すでに豪州遠征に向けた準備が進められているようである。

 今年から賞金が500万豪ドルに増額されたコーフィールドカップは、8月19日に行われるG2札幌記念の優勝馬に対しても優先出走権が与えられることにより、日本馬にとって豪州遠征がますます現実味を帯びてくるだろう。

 メルボルンのスプリング・レーシング・カーニヴァルは9月1日(土)にコーフィールド競馬場で行われる賞金50万豪ドルのG1メムジーS(芝1400m)を皮切りに、約3カ月間にわたり開催される。

日本産馬ヨシダも豪州遠征を視野に


 今月19日から開催された英国王室主催の「ロイヤルアスコット」のオープニングカードを飾ったG1クイーンアンS(芝8F)には、日本産馬ヨシダ(父ハーツクライ)が参戦したが、残念ながら伏兵アクシデンタルエージェントの5着に屈し、欧州G1初制覇はならなかった。陣営は今後、10月27日(土)のG1コックスプレート(ムーニーバレー競馬場、芝2040m)への遠征を視野に入れていて、実現すれば、ワールドランキング芝部門世界首位のウィンクスとの初顔合わせとなる。

 2015年のJRHAセレクトセールにおいて9400万円で購買されたヨシダは、ウインスターファーム、チャイナ・ホースクラブ、そしてエスエフ・ブラッドストックの共同馬主が所有しているのだが、このグループはここ数年、豪州の1歳市場において意欲的に購入していて、購買総額は800万豪ドルに達したと言われている。購買馬からは、種牡馬スニッツェル産駒のインヴェイダーやラシアンレヴォリューションがG1を制する活躍を見せた。

 クイーンアンSのレース後、陣営はヨシダがベンバトルやレコレトといった上位人気馬に先着したことを受けて、「今後の最大目標はコックスプレートですね。世界トップレベルのレースに挑戦していきたいと思っていますし、ウィンクスといった超一流馬たちと対戦して、彼女らを負かすことができればとても素晴らしいことです」とコメントしている。

 ヨシダの半弟には、3歳馬ヴェルテアシャフト(父ディープインパクト)と、2歳馬シェドゥーヴル(父オルフェーヴル)、さらに1歳には父ディープインパクトの半妹がいる。そして今年、母ヒルダズパッションは、2015年の皐月賞と日本ダービーを制したドゥラメンテの牝馬を無事に出産したようである。

1864年に創設された、オーストラリアのビクトリア州における競馬主催団体。メルボルンCなどの大競走が行われるフレミントン競馬場をはじめとした、ビクトリア州各地の競馬場で開催される競馬の運営・統括をしている。近年では日本調教馬の移籍も多数実現しており、日豪の関係に重要な役割を担っている。

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