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ヨーロッパ2歳牝馬戦線 プリティポリヤナが最前線に立つ

  • 2018年08月01日(水) 12時00分


◆来季の英千ギニーでも1番人気に

 先週から、現段階でヨーロッパ2歳戦線の最前線に立ち、来季の活躍が嘱望されている期待の若駒たちを御紹介しているが、今週はその牝馬編をお届けしたい。

 牡馬のカリークス(牡2、父キングマン)ほど抜けた存在ではないものの、牝馬戦線の最前線に立っているのが、マイケル・ベル厩舎のプリティポリヤナ(牝2、父オアシスドリーム)だ。

 ビル・グレッドリー氏のステッチワースパークスタッドと、ミドルパークスタッドの共同生産馬で、タタソールズ10月1歳市場に上場されたものの5万ギニー(当時のレートで約780万円)で主取りとなり、グレッドリー氏の所有馬として走ることになったのがプリティポリヤナだ。叔母にG3ロバートフランケルS(芝9F)勝ち馬ジェンダーアジェンダ、祖母の姉にグレッドリー氏の所有馬としてG1英オークス(芝12F6y)など5つのG1を制したユーザーフレンドリーがいる牝系の出身である。

 6月14日にヤーマスのメイドン(芝6F)でデビュー勝ち。続いて出走したロイヤルアスコットのG3オルバニーS(芝6F)は5着に敗れたが、7月13日にニューマーケットで行われたG2ダッチェスオヴケンブリッジS(芝6F)では、後続に7馬身差をつける圧勝で重賞初制覇を果した。

 この時2着に退けたエンジェルスハイダウェイ(牝2、父ダークエンジェル)が、7月28日にアスコットで行われたG3プリンセスマーガレットS(芝6F)を2.1/2馬身差で快勝したことで、プリティポリヤナの評価が更に上昇することになり、ブックメーカー各社は来季のG1英千ギニー(芝8F)へ向けた前売りで同馬を、オッズ11〜13倍の1番人気に支持している。

 距離、成長力、いずれも今後の課題となるが、乾いた馬場で発揮するスピードは相当高い水準にある馬だろう。8月23日にヨークで行われるG2ロウザーS(6F)に登録があるが、現段階では出否未定だ。

 プリティポリヤナが5着に敗れたロイヤルアスコットのG3オルバニーSの勝ち馬が、マーク・ジョンストン厩舎のメインエディション(牝2、父ゾファニー)だ。

 G2サンダウンマイル(芝8F)など3重賞を制した他、G1サセックスS(芝8F)3着、G1ジャックルマロワ賞(芝1600m)3着などの実績を残した活躍馬メジャーカドーの半妹で、タタソールズ10月1歳市場にて6万2千ギニー(当時のレートで約970万円)で購買されたのがメインエディションだ。

 5月21日にウィンザーのノーヴィス(芝6F12y)を3.1/4馬身差で制してデビュー勝ち。続くグッドウッドのノーヴィス(芝6F)も3.1/4馬身差で制して臨んだのがG3オルバニーSで、ここを首差でモノにした同馬は無傷の3連勝で重賞制覇を果したわけである。

 その後、7月13日にニューマーケットで行われたG2ダッチェスオヴケンブリッジS(芝6F)に駒を進めたのだが、残り300mで他馬の接触を受けて大きく後退し、そこでレースが終わり7着に敗れた。クリアな競馬が出来ていたとしても、プリティポリヤナには勝てなかったと見るが、この一戦だけで見限ることは出来ない馬である。

 メインエディション同様、一度の敗戦では見限れないのが、エイダン・オブライエン厩舎のフェアリーランド(牝2、父コーディアック)だ。

 G3デリンズタウンスタッド千ギニートライアル(芝8F)を制している他、G1愛千ギニー(芝8F)3着などの実績を残したナウオアレイターの半妹で、叔父にG1ジュライC(芝6F)など5つのG1を制したドリームアヘッドがいる牝系の出身。タタソールズ10月1歳市場にて92万5千ギニー(当時のレートで約1億4470万円)という高値で購買されている。

 5月7日にナースのメイドン(芝6F)でデビュー勝ち。続くカラのLRマーブルヒルS(芝6F)も連勝。3戦目となったロイヤルアスコットのG3オルバニーS(芝6F)はメインエディションの3着だった。

 ブックメーカー各社は英千ギニーの前売りで同馬を、オッズ21〜26倍の2〜4番人気としているが、相当にスピードに偏った血統背景を持っており、このまま6F路線を歩む可能性もあるように思う。

 逆に、距離が伸びて楽しめそうなのが、エイダン・オブライエン厩舎のゴッデス(牝2、父キャメロット)である。

 G1英オークス(芝12F6y)5着馬チェリーヒントンの7番仔で、5歳年上の半姉にG1愛オークス(芝12F)勝ち馬ブレスレット、1歳年上の全姉に7月7日に行われたG1ベルモントオークス(芝10F)を制したアシーナがいるという、超良血馬がゴッデスだ。

 6月29日にカラのメイドン(芝7F)でデビューし、ここは9着に敗れたが、2戦目となったレパーズタウンのメイドン(芝7F)では、後続に10馬身差をつける圧倒的なパフォーマンスを見せて未勝利を脱出。この段階で、ブックメーカーによっては同馬を、G1英千ギニーの本命に浮上させる社も現れている。

 ところが、続いて駒を進めた7月26日のG3シルヴァーフラッシュS(芝7F20y)では、オッズ1.44倍の圧倒的1番人気に推されたものの、先行して末をなくし勝ち馬から6.1/2馬身差の6着に敗退。オブライエン厩舎ではこのところ、スコープ検査の結果、呼吸器系に不調が見つかる馬が何頭か出ており、ゴッデスにも何らかの変調があった可能性が指摘されている。

 ブックメーカー各社は依然として同馬を、英千ギニーに向けた前売りでオッズ17〜21倍の2〜3番人気としている他、英オークスへ向けた前売りで1番人気に推している社も見受けられる。いずれにしても、今後の動向から目の離せない1頭と言えるだろう。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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