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差しタイプの過信は絶対に禁物!/関屋記念

  • 2018年08月08日(水) 18時00分

■関屋記念(G3・新潟芝1600m外)フルゲート18頭/登録15頭

【コース総論】新潟芝1600m外 Aコース使用

・コースの要所!

★1番人気はフツーに強いが7〜9番人気や10〜12番人気など穴も強いコース。
★大きな差はないが、内容がいいのは内〜中。外枠は少しだけ割引が必要か。
★イメージよりも格段に前が強い。中団〜後方での成績差が小さいのも特徴。




 向こう正面の真ん中よりもやや2コーナー寄りからスタートする、新潟芝1600m外回りコース。最初のコーナー進入まで550mと長く、さらに最後の直線も約660mと、とにかく直線部分を長く走るコースである。3コーナーから4コーナーにかけての区間が下り坂だが、コーナー角度がタイトなので、馬群の外を回る馬のほうが加速しやすいイメージがある。

 まずは人気別だが、フルゲート時の1番人気は連対率50.0%、複勝率69.6%と高信頼度。2〜3番人気もまずまずの結果を残しており、人気サイドの信頼度はトータルで見ても、なかなか優秀だ。あとは、単勝適正回収値の高い7〜9番人気や10〜12番人気も好内容。とくに、勝率が高い7〜9番人気は、積極的に狙ってみる価値アリだろう。

 次に枠番だが、こちらは大きな差はない。ただし、外枠である馬番13〜18番は信頼度がやや低めで、枠番値はマイナス0.4という大きな差が出ている。平均人気が9.0ともっとも高いことを考えると、この内容には少し不満が残る。外枠の評価を少しだけ割り引く──というのが、適切なジャッジだ。

 最後に脚質。新潟芝の外回りといえば「最後の直線が長い=差せる」というイメージが強いと思うが、平坦コースでもあって意外に前が粘れる。実際にデータを見ても、勝率が高いのは4コーナーを6番手以内で回った先行勢だ。中団〜後方からでも届くことは届くが、1着まで突き抜けるのは難しい。人気馬が2〜3着に取りこぼすケースに注意したい。

【レース総論】関屋記念(G3) 過去10年

・レースの要所!

★大きくは荒れないレース。好内容である4〜6番人気の取捨が勝負を分ける。
★コースデータとは異なり外枠が好内容も、判断が難しい。フラット前提で。
★馬券絡みした馬の過半数が4コーナー6番手以内。逃げ切りもけっこう多い。
★5歳以下馬や大型馬の強さが目立つレース。夏重賞にしては牝馬はイマイチ。







 レースの平均配当は、単勝749円、馬連2644円、3連複1万957円と低めの水準。この時期の重賞にしては順当決着傾向が強く、狙えたとしてもチョイ荒れ程度だろう。内容がいいのは4〜6番人気の中穴で、信頼度だけでなく回収率ベースの数値も超優秀。対照的にふたケタ人気馬は、トータル[0-0-2-66]と3着にくるのが精一杯で、バッサリ「消し」で勝負するのもアリだろう。

 コースデータと真逆の結果が出ているのが枠番別成績だ。外枠である馬番13〜18番が好成績で、勝率の高さや単勝適正回収値の高さはとくに目立っている。対照的に内枠である馬番1〜6番は、トータル[2-2-4-52]で勝率3.3%、連対率6.7%という振るわない結果に終わっている。コースデータとあまりにも差があって判断が難しいので、開き直って「枠番はフラット」という前提で考えてみたい。

 ただし、脚質についてはコースデータ通り──というか、それ以上に前優勢である。昨年のマルターズアポジーのように逃げ切った馬が過去10年で3頭も出ており、勝ち馬もほとんどが先行勢。馬券に絡んだ馬の63.0%と過半数が「4コーナー6番手以内」なのだから、前が強いのは明らかだ。最速上がり馬も、そこまで好成績ではない。

 年齢別では、4〜5歳馬の好調ぶりが目立つ。出走数の少ない3歳も、8頭が出走して2頭が3着以内に入っているのだから上々の結果で、「若い馬が強いレース」と判断していいだろう。6歳以上馬もそれなりには上位に食い込んでいるが、近3年は全滅で、2014年も1番人気のダノンシャークが2着に食い込んだのみ。かなり割り引いて考えたほうがいい。

 そして「馬格のない馬が弱い」というのも、関屋記念のハッキリした傾向といえるだろう。前走での馬体重が479キロ以下だった牡馬は、トータル[1-2-3-38]で勝率2.3%、連対率6.8%と大不振。3番人気以下に限ると[0-0-3-34]だ。牝馬については馬格を気にする必要はないが、牡馬は必ずチェックすべき。人気でも過信は禁物である。

 あとは、継続騎乗組のほうが高信頼度であること、夏の重賞にしては牝馬の活躍が目立たないことなども、関屋記念のデータ的特徴。極端な人気薄が来ないレースであること、差せそうで差せないコース&レースであることを、かなり意識した上で取捨を行いたい。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 引き続きAコース。相変わらず時計が速く、前残り傾向が強い馬場バイアス。

・天候予測
 週末まで好天が続く見通しなので、良馬場前提の予想でまったく問題なし。

・注目血統
 ハーツクライ産駒◎、ダイワメジャー産駒○、ステイゴールド産駒▲

 今週から3週目となる夏の新潟開催は、引き続きAコースで行われる。内ラチ沿いに少しダメージが感じられるようにはなったが、時計は相変わらず速い。また、逃げ〜先行勢が非常によく残っているのも、注目すべきポイント。「新潟芝=差せる」などと思っていると、手痛いしっぺ返しを食らうことになる。

 血統面はハーツクライ産駒など4種牡馬の産駒をプラスに評価。ディープインパクト産駒をプラス評価の対象としていないのを意外に思われるかもしれないが、これにはちゃんと訳がある。連対率や複勝率は文句なしに高いのだが、[10-23-16-95]という成績を見てもわかるように、取りこぼしが「ものすごく」多いのだ。本当にコース適性が高かったら、こんな成績にはならない。2〜3着で買うのをオススメしたい。

★出走登録馬・総論×各論

 サマーマイルシリーズの2戦目に設定されているのもあり、中京記念組が多く出走してくるようになった関屋記念。今のところ回避のニュースは出ていないので、最終的に何頭が出走するかは重複登録馬の動向次第だ。netkeiba.comの予想オッズはまさに「大混戦」で、1番人気のプリモシーンが単勝4.5倍、2番人気リライアブルエースが4.7倍、3番人気フロンティアが5.3倍。実際のオッズもかなり割れることだろう。

 まず警鐘を鳴らしたいのが、プリモシーン、リライアブルエース、ワントゥワンなど、人気馬に後方待機組が多いことだ。先週のレパードSでのグレートタイムもそうだが、いくら能力や差せる脚があっても、ポジションや流れ次第では届かない。新潟芝の馬場バイアスやレース傾向から考えても、買いやすい人気馬ではないことは間違いない。

 トップ評価はスターオブペルシャ。前走のパラダイスSは9着と振るわない結果だったが、荒れた馬場や道中での落鉄など、能力ではなく適性や運の部分で泣かされた部分がある。それだけに晴れ予報の新潟替わりは大歓迎のはずで、プラス評価となった項目の数も、この馬がもっとも多い。人気薄となりそうだが、見直す価値は十分にある。

 二番手評価に連勝中のショウナンアンセム。ジャングルポケット産駒「らしさ」をまったく感じない馬で、おそらく母系の血が前面に出ているのだろう。ハイペースで逃げてもバテない持久力の持ち主で、新潟芝マイルの流れにも向くタイプ。相手関係は強化されるが、プラス評価となった項目も非常に多く、互角以上に張り合えるとみた。

 三番手評価にエイシンティンクル。この血統らしい軽快なスピードと難しい気性の持ち主で、それだけに前走の豊明Sで差す競馬ができたのは大きな収穫。ここは試金石となる一戦だが、条件戦でハイレベルなレースを勝ち上がってきており、素質の高さに関しても太鼓判が押せる。好位でうまく折り合いをつけられれば、ここでも怖い。

 あとはベルキャニオン、ウインガニオンの2頭も上位評価組。いずれも6歳以上であるのが割引材料だが、重賞戦線で残してきた実績からも侮れないはずで、見限りは早計だ。以下はフロンティア、リライアブルエース、ワントゥワンという評価の序列。3歳牝馬のプリモシーンは、潜在能力の高さや51キロは魅力も、リスクが大とみて評価を落とした。大荒れはないレースだが、例年以上に混戦模様なので、少しひねってみるのも面白い。


■総論×各論・先週の馬券回顧


新潟11レース レパードS(G3)
1着 06グリム
2着 15ヒラボクラターシュ
3着 11ビッグスモーキー

新潟で地団駄ふんだぞ(#^ω^)ビキビキ

06グリムの巻き返しには「かなり」期待していたので、楽にハナを奪えた瞬間から「オラ、ワクワクが止まんねーぞ!」モードに突入。11ビッグスモーキー(3着)との馬単を持っていたのもあり、直線入り口あたりではけっこう叫びました。15ヒラボクラターシュにアッサリかわされて、すぐ悲鳴に変わったけどな!

※コース&血統データは2014年以降、レースデータは2009年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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