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酷暑に襲われる日本列島 競馬開催・競走馬の対策にJRAも本腰

  • 2018年08月27日(月) 18時01分
教えてノモケン

▲記録的な暑さとなっている今夏、JRAの対策に迫る (撮影:高橋正和)


 8月も残りわずかとなったが、今夏の暑さは記録的だった。北海道は例外と言えるが、本州以南では過去の記録を塗り替えるような高温が相次いで観測された。気象庁のホームページによると、最高気温の歴代上位8件のうち、5件が今夏に記録された。最高は7月23日に41.1度を記録した埼玉県熊谷市で、2位の41度(3件)のうち2件は、8月6日の岐阜県金山(下呂市)と、8月8日の岐阜県美濃市。東京でも7月23日に青梅市で40.8度を記録し歴代6位タイ。東京の40度越えは史上初めてだった。

 このレベルの酷暑が、ちょうど2年後にも直撃したら、東京五輪どころではない……。こうした懸念は各方面に広がり、ついに一部ではサマータイム導入論まで出始めた。社会全体への影響があまりに大きく、話が出ては立ち消えというパターンを繰り返してきたサマータイムを、五輪開催期に限って導入するのは、準備期間の短さを考えても無理筋。実現性は薄いと思われるが、それだけ事態は深刻ということなのだろう。

開催地も35度越えが12回


 競馬界も当然、酷暑から自由ではない。サラブレッドは暑さに弱い生き物とされるからだ。だが、日本の競馬には夏も冬もない。テレビの画面に高温警報が掲示され、無用な外出を控える勧告が出るような日であっても、お構いなしに開催は続く。

 6月30日以降の本州以南の開催日を対象に、気象庁のHPで競馬場隣接地の気温を見ると、最高気温が35度を超えた日が今年は8月3週までに12回。内訳は福島が6回で最も多く、次いで中京(所在は豊明市だが名古屋市の数値を参照)の4回。新潟と小倉が各1回だった。

 筆者は期間中、福島、新潟で計7回、35度越えの開催日に遭遇した。迷走した台風12号の影響によるフェーン現象で38.5度を記録した7月29日の新潟は強烈だったが、2週目の土日を除いてすべて35度越えだった福島も負けず劣らずに感じた。夏場の東海地方の暑さもよく知られている通りで、中京は後半4日が体温並みかそれを上回る暑さ。最終日は39.5度に達しており、災害級と言っても過言でなかった。

 ここまで暑いと、馬への影響が気になるところだ。実際、人間と同じように熱中症を発症する馬も出ているという。ただ、意外なことに、今年7月時点での発症頭数は32頭で、昨年の43頭を下回っている。昨今は5、6月や秋口にも真夏並みに暑い日があり、熱中症の発症も5-9月に分布しているという。

重症ならふらつき、転倒も


 では、熱中症を発症した馬はどのような症状を示すのか? JRAの川崎和巳・獣医課長によると、「転倒やふらつきを見せる場合が一番重い」という。

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1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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