渋ったタフな芝で時計がかかれば、しぶとい末脚が生きる/新潟記念
◆1戦ごとにパワーアップしてきた成長力は侮れない
ずっとAコースで行われてきた新潟は、先週あたりから内を通る馬はあまり伸びず、「外差し」が目立つようになっている。この中間も雨の影響があった。開催当初の軽い高速馬場ではなく、多少ともタイムがかかるだろう。
1分58秒0前後の勝負はちょっと苦しいが、軽ハンデ54キロで多少とも全体時計がかかれば、しぶとい末脚が生きるはずの伏兵エンジニア(父シーザスターズ)に期待する。
休み明けで格上がり初戦だった3走前の府中S(東京2000m)は、今回も対戦する人気のグリュイエールにうまく抜け出されて3着だったが、自己最高の1分58秒9で乗り切り、差は0秒1だけ。上がりは同じ33秒7だった。
3歳時までは単なる12戦1勝馬だったが、4歳以降は【4-2-2-1】。1戦ごとにパワーアップしオープンに出世してきたから、侮りがたい成長力がある。
父シーザスターズ(その父ケープクロス)は、英ダービー、凱旋門賞など9戦8勝の名馬。欧州タイプながら、重馬場での勝ち星は少なく、日本ではタニノアーバンシー(母ウオッカ)などの父として知られる。パワーを生かした平均スピードは素晴らしいが、切れ味(瞬発力)には物足りなさがある。
母の父オラトリオ(その父デインヒル)もやっぱり欧州タイプの種牡馬。エクリプスSなどGIを3勝。シーザスターズと同じように愛チャンピオンS(10F)も勝っている。シーザスターズと同じく稍重で2分03秒台の速い時計を記録しているので、バテない平均スピードに優れたタイプだろう。
こういう配合の持ち込み馬が、2000m-2400m級で本物になるのは非常に頼もしいが、やっぱり高速の1分58秒0前後の新潟記念向きとは言いがたい。
しかし、少し渋ったタフな芝で、3走前と同じように1分59秒前後になるようなら話は別。鋭くはないがバテない特徴が強みになる。
エンジニアは不良馬場で勝った星(東京1600m)があるが、あのときが北村宏司騎手のテン乗りで、外枠からインに入ってスルスル進出。直線は外に出すように進路を取り、しぶとく追い勝った。コンビで【2-1-0-1】の北村騎手は、他馬が嫌いそうなインをつきコースロスを最小限にとどめて追走すると思えるが、それがタフな芝を気にしない長所全開につながることを期待したい。穴馬は、今週の動きがやけに良かった53キロのスズカディープ。