スマートフォン版へ

休息日を活用したワグネリアン方式がディープインパクト産駒の新成長戦略(辻三蔵)

  • 2018年09月04日(火) 18時00分


◆獲得賞金が少ないワケは“才能の浪費を抑える”ため!?

 ジャスタウェイ旋風が吹き荒れた今年の2歳戦線(7月24日当欄参照)。夏競馬が終わった途端、ロードカナロア産駒が独走態勢に入った。

 2018年度、2歳リーディングサイヤー(中央競馬限定)ではロードカナロア産駒が獲得賞金1億7066万円で断然トップ(データは2018年9月3日現在)。2位ジャスタウェイ(獲得賞金1億1916万円)に、5000万以上の大差をつけた。

 ロードカナロア産駒は新潟2歳Sをケイデンスコールが制し、小倉2歳Sはファンタジストが勝利。2歳戦の全11勝が芝1200〜1600mと短距離路線に特化して好成績を残した。一方、1700m以上では[0-0-0-9]と中距離路線で苦戦している。

 桜花賞、オークスを制した2冠牝馬アーモンドアイは別格として考えた方が良い。産駒全体でもJRA99勝中86勝を1600m以下で挙げている。1700m以上でオープン特別、重賞を勝ったのはアーモンドアイ、ステルヴィオ(コスモス賞、スプリングS)だけ。この2頭を除けば、1000万以上の高額条件で勝った馬はいない。現役時代に圧倒的な強さを示した短距離路線で持ち味のスピード能力を発揮している。

 2歳戦線で不気味なのはディープインパクト産駒。ディープインパクト産駒は2010年から2歳リーディングサイアーを7度獲得(2015年はダイワメジャーが1位)。

 今年、勝ち馬頭数12頭は最多だが、獲得賞金1億490万円で5位に甘んじている。獲得賞金が少ないのはオープン、重賞競走に1頭も使っていないからだ。

 早い時期に勝ち上がり、休養期間を設けて成長促進を図る。レース数を絞り、才能の浪費を抑える意図もあるのだろう。

 今年の日本ダービーを制したワグネリアンはディープインパクト産駒。2歳7月に2歳新馬戦(中京芝2000m)を勝ち、休養を挟みながらの出走。2歳時は3走とレース数を厳選し、野路菊S(9頭立て)、東京スポーツ杯2歳S(7頭立て)を連勝。出走頭数が少ない2歳重賞で確実に賞金を加算し、3歳春のクラシック路線に備えた。

 ディープインパクト産駒はデビュー当初から高い完成度を誇る。勝者のメンタリティーを生まれ持ち、適度に休息を取ることで才能に付随する気力を持続させる。走る馬ほど、身体能力以上の瞬発力を使うだけに、休息日を作る意図もある。休息日を活用した「ワグネリアン方式」がディープインパクト産駒の新成長戦略だ。

 6月3日に2歳新馬戦(東京芝1600m)を快勝したグランアレグリアは才能豊かなディープインパクト産駒。放牧先のノーザンファーム天栄から8月31日(金)に帰厩。10月6日(土)サウジアラビアロイヤルC(GIII、東京芝1600m)を目標に調整を進めていく。

 新馬戦の勝ち時計1分33秒6は、ダノンプレミアム(昨年の朝日杯フューチュリティS1着)が保持する2歳コースレコードと0秒6差の好タイム。東京芝1600mで行われた2歳新馬戦ではステルヴィオ(昨年の朝日杯フューチュリティS2着)が記録した1分34秒8を大幅に上回る最速タイムを記録した。

 GIレベルの実力を示したことで休息期間を取り、成長を促した。完成度の高さを競うサウジアラビアロイヤルCはスケールの大きさを測る絶好の機会だ。

このコラムの通知を受け取りますか?

お気に入り

このコラムの通知を受け取りますか?

お気に入り

すでにお気に入りに登録しています。

登録済

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング