◆例年、スピード競馬が繰り広げられる京成杯AH
秋競馬の開幕週は、天気さえよければ速いタイムが出やすい。競馬はタイムレースではないが、青空の下、好タイムが出ると、先行きの期待を抱かせる。この馬の前途がどうなるか楽しみと、そう感じてしまう。
スローペース症候群では、不満がつのるばかり、やはり前半からスピードを競うシーンがあってほしいと多くがのぞんでいるのではないか。どれが勝つかを当てるのがレース検討だが、競馬の魅力はそれだけではない。
今週の京成杯オータムHは、今世紀に入って2度もマイルの日本レコードを生んできた。夏のローカル開催中に使用されなかったコースは絶好の状態を誇り、例年、スピード競馬が繰り広げられる。
最初に遭遇したのが、平成13年。発表こそ良馬場だったがそぼ降る雨の中でのレースで、それほど速くなるとは思えなかったが、ユーワファルコンが2番手を5馬身以上も離して速いペースでレースを引っぱり、これを4番手で追走していた4歳馬ゼンノエルシドが、直線、手応え十分に坂を駆け上がり4馬身差をつけ、1分31秒5の日本レコードで初の重賞制覇を達成していた。
脚部不安で出世が遅れ、このとき11戦目。そしてこの約2ヵ月後、マイルチャンピオンシップでGI馬にまで上り詰めていた。
このタイムは平成24年の安田記念でストロングリターンに破られたが、このときの1分31秒3を更新したのが、この年の京成杯オータムHに勝った3歳馬レオアクティブだった。
京王杯2歳S1400米を勝っていたが、かかる気性が災いして大舞台での勝利はなかった。後方で折り合いに専念するのがベストと、前走新潟の朱鷺Sを鋭く追い込んで勝っていたが、逃げたゼロスがつくった緩みないペースが味方し、内一杯を追い込んで1分30秒7と、0秒6レコードを更新していた。
母の兄ブレイクタイムが、かつて京成杯オータムHを連覇しており、日本レコードを出した2頭には、なんらかの成長の余地があったと言える。
シーズン初頭のこの重賞には、それぞれのテーマを抱えて出走してくるものが多い。そこで生まれる積極的な戦い方、そこがレースの魅力だ。
また、勝てばサマーマイルシリーズ・チャンピオンという5頭の動きも無視できない。