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サマーセール取引馬に見る、売り手市場の影響(須田鷹雄)

  • 2018年09月11日(火) 18時00分


◆近年馬が「高い」は、本当にそうなのかを検証

 今回は私の趣味によるところが大きい原稿で、ハンデなどの特殊ルールがないPOGをお楽しみの方にはあまり関係のない内容になってしまうかもしれない。ただ、POGは馬主ごっこのゲームであり、本物の馬主には関係ある話として楽しんでいただきたい。

 先日、サマーセールが終了した。今年はサマープレミアムセールができたために見た目上売却率や平均価格は落ちたが、もちろんこれは景気が悪くなったためではない。サマープレミアムぶんが本来のオータム相当の馬と置き換わったこと(サマー自体の頭数はほとんど変わっていない)、庭先でかなり馬が売れていることを考えると、むしろ買い手にとってはさらに厳しい状況になっている。

「高い」は最近の買い手が漏らしがちな愚痴だが、本当にそうなのかということをなんらかの形で検証してみたいと思っていた。馬が高いということはすなわち、以前と同じ価格だと以前より劣る馬しか買えないということになる。ということは、一定価格帯の馬を集めて成績を集計したら、最近になるに従って成績は落ちるということになる。

 サマーセール取引馬かつ極端な価格でない馬ということで、ここでは税込み価格315〜756万円の馬を集め、現12歳世代〜3歳世代の成績を比較する。価格の数字が変なのは消費税5%時代の本体300万円馬と、現在の本体700万円馬を両方カバーするためである。

 本稿はPOGの原稿なので、成績は生涯成績でなく3歳6月までとする(生涯成績だと最近の馬は評価できないということもある)。1頭の活躍馬の賞金で結論が大きく左右されないように、勝馬率と1走あたり賞金で評価を行う。なお、トレーニングセール等、のちのセールで再度取り引きされた馬も含む。結果は以下の通り。

世代     1走あたり賞金 勝馬率

現 3歳(2015年産) 54万円 19.2%
現 4歳(2014年産) 68万円 19.7%
現 5歳(2013年産) 73万円 24.6%
現 6歳(2012年産) 61万円 26.5%
現 7歳(2011年産) 81万円 26.0%
現 8歳(2010年産) 81万円 24.6%
現 9歳(2009年産) 68万円 21.2%
現 10歳(2008年産) 63万円 21.0%
現 11歳(2007年産) 83万円 27.3%
現 12歳(2006年産) 66万円 23.9%

 1走あたり賞金は重賞級が1頭出るだけでだいぶ動く(1世代あたりの対象馬・対象期間内出走数はせいぜい1000頭前後)ので傾向が分かりづらいが、勝馬率はここ2年で明らかに落ちた。そして現3歳世代については1走あたり賞金も下がっている。

 こうしてみると、馬が高くなった→同じ予算で買える馬の質に響いてくる、という仮説はあながち間違ってもいないように思える。しかもセリ場の実感としては一昨年より昨年、昨年よりは今年のほうが買い手にとってしんどい状況だったので、同じ集計の現2歳世代、1歳世代がどうなるのか、ちょっと怖くも感じられる。

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