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休み明けの有力馬の仕上がりは? 神戸新聞杯など注目馬の追い切りチェック!

  • 2018年09月20日(木) 18時00分


ここまで動く!?っていうくらいに動いたのは…


 先週の3日間開催の影響で、今週の調教は変則。18日の火曜日が全休で、19日の水曜日が通常の火曜日、休み明けという状況でした。これにより、当コラムの公開日も変更してもらいましたが、その理由は最終追い切りが20日の木曜日に集中すると思ったから。確かに追い切りは通常の木曜日よりも多くなりましたが、ここで取り上げるレースの出走予定馬は意外にも水曜日に追い切りを済ませています。

 理由のひとつとしては、重賞出走予定馬は全休だった火曜日に調教することができるということ。ですから、馬によってはいつもと同じように月曜日を休み(もしくは運動だけ)にして、火曜日に乗るということができます。

 目一杯の追い切りで仕上げるようなG1なら木曜日に追い切ったと思いますが、今週の重賞はG1に向けたトライアルですし、レースまでの間隔を詰めるくらいなら、いつも通りに水曜追いを選択するといったところでしょう。それにしても各有力馬が休み明けというのに、好仕上がりばかり。そういった意味で頭を悩まされます。

【オールカマー/アルアイン】

 前走の香港遠征では、自分の眼で確認したわけではありませんが、調教がスムーズでなかったというニュースがあります。だからなのか、今回は栗東でのトラック馬場追い切りは行っていません。札幌競馬場に滞在していた時にダート馬場で乗っているので、正確には坂路オンリーというわけではありませんが。

 よって、最終追い切りも栗東坂路。4F52.4秒と全体時計がそこそこ速いにもかかわらず、4F目12.2秒で最速になる動きはさすが。1週前、2週前と4F51秒台をマークしている点も考慮すれば、全体的な調教内容になんら問題はない、というか休み明けでも十分すぎるくらいに仕上げているといってよいでしょう。あとはCWでの追い切りがない点がどうか、これに尽きます。

アルアイン

休み明けでも十分すぎるくらいに仕上がっているアルアイン


【オールカマー/ダンビュライト】

 1週前追い切りが栗東坂路で4F52.6秒。この動きがとにかく物足りず、これを見た瞬間に、私の予想は無印に間違いないと思いました。ところが、最終追い切りの動きを見て、その考えが一変。ここまで動く!?っていうくらいに動いたのは時計を見ていただいても分かります。

 4F50.2秒。4F時計は0.2秒の自己ベスト更新ですし、最後も一杯というよりも、まだ余力がありそうな手応え。2週続けて速い時計を出すというのが、この馬の好走パターンですが、この動きを見ると、1週前追い切りで動けなかった分まで動いているといった印象。調教量は十分すぎるくらいに積んでいますし、馬自身の仕上がり状態としては高く評価するしかないでしょう。

ダンビュライト

馬自身の仕上がり状態としては高く評価できるダンビュライト


【神戸新聞杯/エポカドーロ】

 トレセンニュースでも何度も取り上げてきましたが、ここまでの調教過程が「入念」なのは、記事でもしつこいくらいに書いたと思います。ゆっくり立ち上げて、中身をしっかりとつくっているような過程なので、最終追い切りの動きを見るまでもなく、今回は皐月賞馬として、そして菊花賞へ向けて、ベストレースをしてくれるような気がします。

 ちなみに最終追い切りは芝馬場。新馬戦の最終追いが芝だったので、過去に経験済みですが、好走パターンの追い切り場所という表現はできません。しかし前記したように、中身が出来ているからこそ、この選択になったと思いますし、4F時計はしっかりと速いので、決して悪くない内容。主導権を握ってレースができるという意味では優位な立場ですし、ここはやっぱり中心視すべきでしょう。

エポカドーロ

調教過程が「入念」でここはやっぱり中心視すべきエポカドーロ(写真手前)


【神戸新聞杯/ワグネリアン】

 8月22日にノーザンF天栄から栗東へ戻ってきましたが、この時から「春とは違う状態」と感じていました。それは季節的なものなのか、成長なのか、はっきりとしたことは分かりません。しかし、弥生賞へ向かう過程と今回の過程はまるで違っていて、落ち着き十分なこの中間です。

 落ち着きではなく、休み明けだし気抜けでは?という意見もあるかも知れません。しかし追い切りの動きを見ているかぎりはとても休み明けとは思えない機敏さがあります。それは最終追い切りの栗東坂路4F目11.9秒という時計で証明されたと思いますし、今の状態ならスッと前につけて、折り合った状態で最後の直線は鋭い脚を使う、そんなイメージがあります。

ワグネリアン

休み明けとは思えない機敏さがあるワグネリアン


【神戸新聞杯/タイムフライヤー】

 ホープフルSを勝ったG1ホースですが、3歳になってからは低調な成績。今年3戦の敗因を明確にできるか否かで、今回の評価が違ってくると思いますが、個人的には休み明けだった若葉Sは位置取り、皐月賞と日本ダービーは最終追い切りのパターンが好走時とは違っていたと思います。

 今回の最終追い切りはホープフルS1着時に似た内容。むしろ当時よりも時計を速めて、自己ベストを更新する4F時計をマークしてきました。1週前追い切りでも抜群の動きを見せましたし、和田竜二騎手との相性もよさそう。最終追いで少しラチへもたれそうな仕草を見せた点は気になりますが、今回までは狙ってみても面白いと思います。

タイムフライヤーン

和田竜二騎手との相性もよさそうなタイムフライヤー(写真奥)


◆次走要注意

・9/16 3歳上500万下【サンライズカナロア】(2人10着)

 位置取りとしては文句なく、最後の直線も勝てる手応えだったと思いましたが、坂の途中で失速。これについては「坂を上手に走れませんでした」と中井裕二騎手。それ以前に「ゲートで悪いところが出てしまった」というのが安田隆行調教師の話ですから、敗因を明確にして、次走は福島芝1200mを目標。今回の分はきっちり返してもらいましょう。

[メモ登録用コメント] [福島]最終追い切り栗東坂路で4F目最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・兵庫特別【アフリカンゴールド】

 レースは来週になりますが、20日の追い切りではサトノダイヤモンドに次いで動きが良く見えた馬。3歳馬らしく、成長一途で追うごとに動きに迫力が増している感じ。ここでしっかりと勝ち上がって、菊花賞へと駒を進めてほしい1頭です。

【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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