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おなじみ母ヘヴンリーロマンスの外国産馬ゼルク

  • 2018年09月26日(水) 12時00分
●ゼルク(牡 栗東・松永幹夫 父Awesome Again、母Heavenly Romance)
 母ヘヴンリーロマンスは牝馬ながら天皇賞・秋(GI)を制したほか、札幌記念(GII)、阪神牝馬S(GII)を勝った名牝。日本で3頭の子を産み、その後渡米して繁殖生活を送っている。本馬はアメリカで誕生した。そのため血統表記がアルファベットとなっている。アメリカ生まれのアウォーディー(父ジャングルポケット)はJBCクラシック(Jpn1)などダート重賞5勝、アムールブリエ(父Smart Strike)はエンプレス杯(Jpn2)、名古屋グランプリ(Jpn2)2連覇などダート重賞6勝、ラニ(父Tapit)はドバイへ遠征してUAEダービー(G2)を勝った。

 本馬の父はAwesome Again。現役時代にブリーダーズCクラシック(米G1・ダ10f)、ホイットニーH(米G1・ダ9f)を勝った一流馬で、Macho Uno(00年ブリーダーズCジュヴェナイル-米G1・ダ8.5f)の半兄にあたる良血。Ghostzapper(米年度代表馬)、ジンジャーパンチ(米古牝馬チャンピオン/ルージュバックの母)、Game on Dude(米G1を8勝)など多くの名馬を送り出している。血の質が優秀なのでブルードメアサイアーとしても優れている。日本ではフサイチピージェイ(10年佐賀記念-Jpn3・2着)が出世頭。ダートであれば距離不問で走る。Awesome Againとサンデーサイレンスの組み合わせは良好で、ミラクルレジェンド、ローマンレジェンドの姉弟や、ルージュバック、ギベオンなどが出ている。ダート中距離で兄姉に迫る活躍を期待したい。

●パロネラ(牝 美浦・木村哲也 父ロードカナロア、母モシーン)
 関屋記念(GIII)とフェアリーS(GIII)を勝ったプリモシーンの半妹。父はディープインパクトからロードカナロアに替わった。母モシーンは豪州産で、現役時代は同国で18戦8勝。オーストラリアンギニーズ(豪G1・芝1600m)、ランドウィックギニーズ(豪G1・芝1600m)、VRCオークス(豪G1・芝2500m)など4つのG1を含めて重賞を6勝した名牝。母の父Fastnet Rockは豪リーディングサイアーに2回輝いた名種牡馬で、デインヒル系ながら母方にスピード豊かなオーストラリア血統を抱えているため、産駒は日本の高速馬場にも適応しており、メラグラーナ(17年オーシャンS-GIII)やブラヴィッシモ(16年阪急杯-GIII・3着)が活躍している。

 Fastnet Rockとレディブラッサム(ロードカナロアの母)は似た配合構成で、近い世代にNorthern Dancer、Crimson Saint、His Majestyが共通している。なかなか興味深い配合構成だ。また、ロードカナロア産駒のニックスであるNureyevクロス(5×4)を持っているのもいい。このクロスを持つ同産駒にはアーモンドアイ、エイシンデネブ、サンラモンバレー、ジョーカナチャン、ルガールカルムなどがいる。サンデーサイレンスは入っていないもののマイル前後で大いに期待できそうだ。

●ヒンドゥタイムズ(牡 栗東・斎藤崇史 父ハービンジャー、母マハーバーラタ)
 母マハーバーラタは現役時代5戦1勝。ディープインパクト産駒でありながらダート1700mを勝った。Private Accountなどに由来する母方のパワー型要素が強く主張したためだろう。本馬と同じ「ハービンジャー×ディープインパクト」の組み合わせは、ケイティクレバー(17年京都2歳S-GIII・3着)、サトノリュウガ(17年京都新聞杯-GII・4着)、ハッピーアワー(18年すずらん賞-2歳OP)などが出ている。

 また、「ハービンジャー+サンデーサイレンス+Nureyev」の配合パターンからはペルシアンナイト(17年マイルCS-GI)、ディアドラ(17年秋華賞-GI)、ブラストワンピース(18年新潟記念-GIII、18年毎日杯-GIII)、ハービンマオ(18年関東オークス-Jpn2)、プロフェット(16年京成杯-GIII)、サーブルオール(18年七夕賞-GIII・4着)などコンスタントに活躍馬が出ている。本馬はこれにも当てはまるので期待できそうだ。芝向きの中距離タイプ。

●ファナティック(牝 栗東・松永幹夫 父ジャスタウェイ、グレイトフィーヴァー)
 母グレイトフィーヴァーの繁殖成績は優秀で、競走馬となった12頭中9頭が勝ち上がり、そのなかにはシャルール(16年クイーンS-GIII・2着、16年福島牝馬S-GIII・2着)、アーデント(12年弥生賞-GIII・3着)、ヒカルアモーレ(07年フィリーズレビュー-GII・4着)、ラフォルジュルネ(10年チューリップ賞-GIII・5着)などが含まれている。これらは異なる父から誕生しており、母の能力の高さを感じさせる。父ジャスタウェイは初年度産駒の現2歳世代が絶好調で、9月4週目終了時点の2歳総合ランキングではロードカナロアに次いで第2位につけている。母方が非主流血統で構成されているので、さまざまな配合パターンから活躍馬を生み出せるのが強みだ。本馬は「ハーツクライ系+Kaldoun」なのでギュスターヴクライ(12年阪神大賞典-GII)を思い出させるアウトライン。また、Hornbeam≒Sunset 6×5の隠し味も悪くない。前記の兄姉レベルの活躍は期待できそうだ。

●ライル(牡 美浦・手塚貴久 父ディープインパクト、母ライラックスアンドレース)
 阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)など3つの重賞を制し、桜花賞(GI)2着、オークス(GI)3着などの成績を残したラッキーライラックの半弟。全姉ラルクは現在3勝馬で今年の夏に僚馬ジェニアルとともにフランス遠征を敢行した。母ライラックスアンドレースは現役時代にアメリカで9戦3勝。アシュランドS(米G1・ダ8.5f)を制した。

 3代母ステラマドリッドの牝系はこのところ活発に勢力を広げており、NHKマイルC(GI)、マイルCS(GI)など6つの重賞を制したミッキーアイル、NHKマイルC(GI)を制したアエロリットなどが出ている。5代母My Bupersの一族にはハーツクライがいるほか、女傑ジェンティルドンナはMy Bupersの息子リファーズスペシャルを2代母の父に持っている。母の父Flower Alleyはトーセンラー&スピルバーグ兄弟の半兄で、なおかつ本馬はミッキーアイルと配合構成が似ている(ステラマドリッド牝系+Danzig+Special牝系血脈)ので期待できる。芝向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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