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なんだかんだ逃げ・先行馬が強い? スプリンターズSは位置取りがカギ

  • 2018年09月28日(金) 18時00分


◆速い馬場で速い時計を出してきた馬は意外と…

 今年のスプリンターズS、主役はまぎれもなくファインニードルだ。春に戴冠しているということもあるが、休み明けのセントウルSがさらに評価できる。もともとセントウルSは休み明けの前走GI組が惜敗しがちなのだが、1キロ余分に背負っての完勝は、力の違いを示すものだった。

 今回心配な点があるとしたら、道中の位置。以前よりは差し寄りに構えているので、前に残られる形は想定できる。逃げ・先行タイプが多いのでそれに巻き込まれないように……と考えた末に後ろになりすぎることだけは避けたい。

 ナックビーナスはレースによって戦法を使い分けてきたが、前走の快勝があった以上、今回控えて溜めていくという話にはならないだろう。

 ただ、これまで示してきた前半3ハロンのタイムは、他の逃げ・先行馬ほどではない。「行こうとしたが思ったほど行けず」という形になるのは怖い。逆にすんなり2、3番手ならば、それより後ろにいるであろうファインニードルを打倒する最有力候補となる。

 レッツゴードンキは1着こそとれていないが競馬の内容は安定している。ここでもなんらかのシルシを回す必要はあるだろう。ただ、昨年なみの差し決着というのはそうそう期待できるものでもない。リアルなところでは今回も2、3着候補として考えたい。

 アレスバローズは連勝の勢いがあるし、サマースプリントシリーズのために3走目を使わず(使わないでも取れたわけだが)、余裕のあるローテーションでここに向かったのは好感が持てる。

 ただ、サマースプリントシリーズ馬とこのレースの相性がいまひとつ。背景には「速い馬場で速い時計を出してきた馬は意外とスプリンターズS適性が無い」という構図があるのではと思う。このジンクスを打ち破れるかどうか。

 レッドファルクスの評価が難しい。このレースを連覇しているのは事実で、格の面では最右翼。ただ、年齢的にも少しパフォーマンスを下げている印象はある。差し馬向きの流れで馬券圏内というのはありうるが、前寄りで馬券を組み立てる人は思い切って無印という手もあるのではないか。

 ムーンクエイクは別な意味で扱いが難しい。そもそもどんな位置が取れるか。1400〜1600mタイプだが時計への対応力があるというのはプラス材料。京王杯のように鮮やかにはなかなかいかないだろうが、差してきて馬券圏内はありうる。

 ラブカンプーは先行力が魅力だが、対ファインニードルということだと前走から2キロの斤量差削減なのでちょっと指名しづらい。なんだかんだ逃げ・先行馬が強いレースではあるので、ファインニードル1着前提の馬券を買う人は2、3着候補に入れる必要はある。

 個人的に一発を期待しているのがワンスインナムーン。差し馬だらけの中1頭だけ踏みとどまった昨年のレースは価値がある。大敗したレースも前半のスピードは発揮していたし、ハナか番手なら穴になるのではと思う。

 ラッキーバブルズは個人的にはシルシを回しきれないことになりそうなのだが、香港のスプリンターというだけで3着候補には考えたほうがいいのかもしれない。昨年のブリザードもかなり苦しいだろうと思ったが3着からクビ・クビの5着と好走していた。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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