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本格化した今年、渋馬場も問題なし/スプリンターズS

  • 2018年09月29日(土) 18時00分


◆タイムがかかると、スピード能力の優劣は意味をもたない

 この秋は毎週のように天候(馬場状態)に悩まされたが、芝は土日になると週中の雨など関係なかったかのような時計の速いレースが展開されてきた。しかし、今週の日曜は「台風の雨」。阪神につづき中山も土曜から雨が降り始めた。

 渋馬場(稍重〜不良馬場)はこの30年間でわずか3回だけ。不良(雨)の2007年はアストンマーチャン(中舘騎手)の逃げ切り。同じく不良(雨)の2004年もカルストンライトオ(大西騎手)の楽な逃げ切り。稍重の2000年も途中から先手を奪ったダイタクヤマト(16番人気)が押し切ったという記録がある。

 日曜の中山の馬場は、さすがに「重馬場」は避けられないだろう。07年、04年ほどの道悪にはならないとしても、馬場が渋ると距離1200mだけに「差し=追い込み馬」の鋭さは半減する危険が大きい。タイムがかかるとスプリンターズSでもっとも重要なスピード能力の優劣が意味をもたない。仮に1分08秒5〜09秒5の勝ち時計になったりすると全馬が乗り切れることになるが、前半置かれるロスを受け入れなければならない馬は、重巧者以外、主軸にはできない。

 セントウルSで重馬場をこなしたファインニードル(父アドマイヤムーン)は、馬場差推定1秒5はあった中で、「1分08秒8(上がり34秒6)」。決して重馬場向きとは思えなかったが、レース全体は「33秒3−35秒5」。58キロを背負って坂のある阪神を上がり34秒6でまとめたのだから、渋馬場はほぼ大丈夫。置かれる馬ではなく、初遠征で馬体重が14キロも減った香港での4着以外、本物になった今年、日本では3戦3勝。高松宮記念時より現在はパワーアップしている印象がある。当日輸送ではない今回は馬体回復も望める。

 渋馬場有利はセイウンコウセイ(父アドマイヤムーン)。昨年の夏、洋芝の函館なのに1分06秒8というJRAレコードと差のない高速馬場に対応できず、1分07秒3の4着に沈んでスランプに陥っていたが、今年の函館SSを1分07秒6で勝って自信を取り戻した。3歳秋に1400m1分25秒1も要した渡月橋Sを勝って重馬場向きを示したあと、4歳春の高松宮記念快勝は渋馬場で1分08秒7。時計のかかる馬場でこの外枠なら、好位追走の形でも能力は発揮できる。

 連の相手に、馬場不問のレッツゴードンキ。キーンランドCが示すように時計がかかれば詰めの甘さが出ないナックビーナス。デキのいいワンスインナムーン、追い込むレッドファルクスは重馬場では押さえまでか。逆に、香港のラッキーバブルズは道悪になって望みが出てきた。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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