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日本馬ジェニアルが出走予定のラフォレ賞展望

  • 2018年10月03日(水) 12時00分


◆かなりの好メンバーによる水準の高い戦いとなりそう

 クリンチャー(牡4、父ディープスカイ)が出走を予定している10月7日のG1凱旋門賞(芝2400m)に関しては、様々なメディアが記事にしているので、ここではジェニアル(牡4、父ディープインパクト)が出走を予定している同日のG1ラフォレ賞(芝1400m)の展望をお届けしたい。

 ただし、同競走の登録ステージは、3日(水曜日)の日本時間の18時30分を皮切りに、そこから3日連続で設けられており、ここで取り上げた有力馬が回避をしたり、追加登録をしてくる馬が台頭したりする可能性があることを、あらかじめ御了承いただきたい。

 ブックメーカー各社が1日(月曜日)の段階で、3倍から3.5倍のオッズを掲げて1番人気に支持しているのが、フレディー・ヘッド厩舎のポーリードリーム(牝3、父オアシスドリーム)だ。

 LRダンジェルヴィル賞(芝1600m)勝ち馬ポーリーグリーンの9番仔で、LRアマンディン賞(芝1400m)など2つの準重賞を制したエヴァポレーションの半妹にあたる同馬は、ヴェルトハイマー兄弟による自家生産馬。

 2歳時は3戦し、G3カルヴァドス賞(芝1400m)を含む2勝を挙げた他、G1マルセルブーサック賞(芝1600m)2着の実績を残し、今年のクラシックを目指す有力馬の1頭と目された。

 だが、今季初戦となったG1仏1000ギニー(芝1600m)は14頭立ての14着に大敗。

 しかし、3週間後のG3パレロワイヤル賞(芝1400m)では本来の動きを取り戻し、古馬の牡馬勢を一蹴して2度目の重賞制覇。更に、8月5日にドーヴィルで行われたG1モーリスドゲスト賞(芝1300m)も制し、待望のG1初制覇を果している。

 前走から2か月ほど間隔が空いたが、当初から目標をここに定め、入念な調整が施されての出走となっている。

 続いて、各社が4.5倍〜6倍のオッズを掲げて2番人気に推しているのが、英国のニューマーケットを拠点とするマイケル・スタウト厩舎のエキスパートアイ(牡3、父アクラメーション)だ。2歳時にG1チーヴァリーパークS(芝6F),3歳春にG1英1000ギニー(芝8F),G1仏1000ギニー(芝1600m)を制したスペシャルデューティの甥にあたる本馬は、カリッド・アブドゥラ殿下のジャドモントによる自家生産馬。

 2歳時は3戦し、G2ヴィンテージS(芝7F)を含む2勝。今季初戦のG3グリーナムS(芝7F)でジェームスガーフィールド(牡3)の2着となった後、G1英2000ギニー(芝8F)は10着に大敗したが、ロイヤルアスコットのG3ジャージーS(芝7F)を制し2度目の重賞制覇。G1サセックスS(芝8F)でライトニングスピア(牡7)の2着後、G3シティオヴヨークS(芝7F)で3度目の重賞制覇。前走G1ムーランドロンシャン賞(芝1600m)はレコレトス(牡4)の3着だった

 8Fも守備範囲だが、最適距離は7Fで、ここはG1制覇の千載一遇のチャンスと言えそうだ。

 続いて、各社が8〜9倍のオッズで3番人気としているのが、これも英国ニューマーケットを拠点としているデヴィッド・エルスワーズ厩舎のサーダンスアロット(牡4、父サープランスアロット)だ。

 メドウランズのG3ヴァイオレットH(芝8.5F)など北米で2重賞を制したダンカルの甥にあたり、ゴフス・スポーツマン1歳市場にて3万ユーロ(当時のレートで約546万円)で購買されている。

 今年6月、ニューマーケットのG3クライテリオンS(芝7F)で重賞初制覇。続くG1ジュライC(芝6F)でも4着に好走した後、グッドウッドのG2レノックスS(芝7F)、ニューバリーのG2ハンガーフォードS(芝7F)を連勝。前走ヘイドックのG1スプリントC(芝6F)は9着だった。

 前走の大敗は、泥田のような馬場をこなせなかったのが要因で、これを度外視して考えれば、4歳を迎えての充実が著しく、しかも7Fはベストの距離なのがサーダンスアロットである。

 以下、2年前のこのレースを含む重賞5勝馬で、ニューマーケットのLRホープフルS(芝6F)、ヨークのLRギャロウビーS(芝6F)を連勝しての参戦となるリマート(セン6、父タギュラ)、G2ミルリーフS(芝6F)、G3グリーナムS(芝7F)と2重賞を制している他、G1モーリスドゲスト賞(芝1300m)2着の実績があるジェームスガーフィールド(牡3、父エクシードアンドエクセル)、G1愛2000ギニー(芝8F)3着、G1セントジェームスパレスS(芝7F213y)2着など、春の3歳マイル路線で健闘したグスタフクリムト(牡3、父ガリレオ)らが、10倍前後のオッズにひしめいている。

 こうした馬たちがこぞって出走してくれば、かなりの好メンバーによる水準の高い戦いとなりそうだ。

 そんな中、ジェニアルはパディーパワーが26倍、ラドブロークスやコーラルは41倍のオッズを掲げている。外傷のアクシデントがあって仕上り途上だったG3パン賞(芝1400m)は大敗を喫したが、ひと叩きれた効果は見込めるはずで、G3メシドール賞(芝1600m)のパフォーマンスを再現することを期待したい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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