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ノーベル賞受賞・本庶佑先生の言葉を競馬にも当てはめたい

  • 2018年10月06日(土) 12時00分
◆「何ができるかではなく、何がしたいか」が大切

 ノーベル賞に輝いた本庶佑先生の言葉にはインパクトがある。「何ができるかではなく、何がしたいか」が大切で、「あきらめない信念」がなければダメだと。それを競馬に当てはめてもいい。実際、毎日王冠に出てくるものは、この先、何を見ているのか。その意志を知ることで、レースを味わう楽しみは大きくなる。

 牝馬のアエロリットは、今年に入っての3戦は勝てないまでも全て0.1秒以内に来て安定している。落鉄のアクシデントが続いていたが、今度は対策を立てている。昨年のNHKマイルCを勝った実力馬で、この後、米GIブリーダーズカップ・マイル挑戦のプランがあり、安田記念2着から4か月の休養でひと回り成長し、落ち着きが出たとなれば、とても看過できないだろう。抜群の勝率のモレイラ騎手が乗るのもプラスになる。

 毎日王冠の出走馬の多くは、いつも休養明けで、春にどう戦ってシーズンを終えていたかも興味深い。3歳マイル王で終えたケイアイノーテックは、2012年の勝者カレンブラックヒルと同じローテーションで来ている。1度あることは2度あるなら、この馬の可能性も対象に入れておきたい。初めての距離、初の古馬相手も長くいい脚を使えれば面白い。試金石だが、この一戦で秋の天皇賞かマイルCSかを見極めたい馬だ。これには「慎重なれ、しかし慎重すぎてはならぬ、過誤を怖がりすぎてはならぬ」のロード・ジョージの言葉をそえておく。

 エプソムCを勝った馬には、さらにこの上をというゆとりが残っている。最近では、エイシンヒカリ、ルージュバックがこの仲間に入り、毎日王冠を勝っていた。いずれも4歳馬、これなら今年のサトノアーサーにも期待が集中してもおかしくない。「戦いて勝つは易く、勝を守るは難し」と中国の古典では言っているが、3歳、4歳ならその勢いの方に手を挙げておきたい。

 もう一頭、スプリングSを勝ちながら、皐月賞、ダービーと思うように走れなかったステルヴィオには、「自分の弱点を識るのは損失を償う第一歩だ」という言葉が合う。実績のある距離、3歳馬という若さが魅力だ。

 最後にひと言、本庶先生の「疑う大切さ」を持ち、鵜呑みにしないで下さい。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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