スマートフォン版へ

パワフルさを増した4歳秋、ここはスピード能力全開だ/毎日王冠

  • 2018年10月06日(土) 18時00分
◆「毎日王冠」と「牝馬」の相性を検証

 長い歴史を誇り、秋のビッグレースの主役級が始動するレースとして、GIIの中ではもっとも高い評価を受ける伝統の1戦。今年は、ただ1頭の牝馬アエロリット(父クロフネ)がモレイラ騎乗もあって人気の中心だが、大丈夫なのだろうか。

 過去68回、牝馬は76頭の出走で【9-12-8-47】の記録がある。一見、牡馬のエース級が出走するレースとすれば上々の数字に映るが、しかしこれは、4頭から7頭立てが少しも珍しくなかった1970年以前を含んでの数字である。近年の毎日王冠はイメージとして牝馬が好走しているレースではない。

 現在と同じような性格のレースになった過去30年に区切ると、牝馬は【2-4-1-13】にとどまる。牝馬の出走はきわめて少ない。そのため、めったに勝つことなどないのである。

 では、アエロリットの勝機は乏しいのか。この30年間に連対した牝馬は「92年2着イクノディクタス(3番人気)、93年1着シンコウラブリイ(1番人気)、06年2着ダンスインザムード(2番人気)、08年2着ウオッカ(1番人気)、09年2着ウオッカ(1番人気)、16年1着ルージュバック(1番人気)」の延べ6頭。延べ20頭の出走で6連対は、相手を考慮すれば決して悪くない。

 要は、牝馬の出走は番組ローテーションからして少ないレースであり、強力な牡馬相手を承知でここに出走し、なおかつ上位人気に支持されるようなGI快走記録のある牝馬なら、勝って少しも不思議のないレースだろう。古い記録を出したついでに、毎日王冠は3冠馬ミスターシービーの母シービークインや、スクリーンヒーローの祖母ダイナアクトレス、古典の世界なら日本ダービー馬ラッキールーラの母トーストなどが勝ったレースである。

 東京1600mのNHKマイルCを快勝し、今春は安田記念をレースレコードタイの1分31秒3でクビ差2着しているアエロリットが、ウオッカは別格として、近年快走した牝馬と互角のランクなら、「牝馬苦戦」は当てはまらない。

 5番人気だった安田記念のアエロリットは流れに乗って先行し、抜け出してからも伸びていた。最後はモズアスコットにクビ差の1分31秒3だが、自身のレースバランスは前後半推定「46秒0-45秒3」。直線は推定「11秒1-11秒2-11秒7」=34秒0。行って粘っただけではない。

 一段とパワフルになった4歳の秋、別定で負担重量は前走比「56→55」キロ。前半から速いペースはありえない組み合わせであり、後半しだいにペースアップのレースなら、スピード能力全開だろう。クロフネ産駒のエース級には牝馬が多いことが知られるが、スピード勝負に合うからである。相手妙味は、同じように先行しそうな同厩舎のダイワキャグニー(父キングカメハメハ)。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング