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牝馬三冠だけではなく、これからの進路が決まる大事なレース

  • 2018年10月13日(土) 12時00分

ディープインパクトの天下を脅かす新しいサイヤーはどれか


 二冠を制して世代の頂点に立ったアーモンドアイが牝馬三冠をかける秋華賞は、距離が春の桜花賞、オークスの中間の2000米。年によっては、この距離をどう戦えるかでその後の路線が決まることがある。アーモンドアイには、そんな思案は必要なさそうだが、だいたいの馬には、「困難大なれば大なる程、打ち勝つ名誉は更に大なり」が当てはまるもの。ここを走り抜いて、この先の路線をはっきりさせたいと思っている。

 秋華賞は、春の桜花賞馬とオークス馬が対決して3歳女王の座を競うというシーンが、これまで、時折見られた。その中で、春の二冠を分け合った東西の女王が対決した平成9年は、その後の進路を決定づけた典型的なレースだった。オークス馬メジロドーベルは、逆算して中4週あるオールカマーをステップに、ここを勝って本番に登場し、桜花賞馬キョウエイマーチは、ローズSを勝ってここに出走していた。

 レースは、京都内回りコースの直線330米で、前を行くキョウエイマーチにメジロドーベルが鋭い差し脚で2馬身半の差をつけ、圧勝していた。この勝利でこのあとメジロドーベルは中距離路線を、キョウエイマーチは短距離路線を歩み、2頭のヒロインが相まみえることは2度となかった。

 今年のアーモンドアイの今後は、牡馬と相まみえる王道ということになりそうだが、他の多くは、この結果次第だ。「人生はタテに見れば理想も希望もあり、これをヨコに見れば、生存競争の痛ましい精力消耗の戦いと見える」という石川啄木の言葉の人生をレースに置き換え、出走各馬のタテに見すえた戦いに声援を送りたい。この先、どの路線がふさわしいか、牝馬のみの戦いか、或いはそうではないのか、ひとつの確信を得る一番であってほしい。

 例年より厳しいレースだったローズS1,2着のカンタービレ、サラキア、休養して成長著しいプリモシーン、それに春健闘した2歳女王のラッキーライラックと気になる馬を挙げてみたが、それぞれの父馬を見ると、ロードカナロアを追ってディープインパクト、オルフェーヴルがどこまでかということになる。特に数多く出走馬がいるディープインパクトの天下を脅かす新しいサイヤーはどれかという、今あるテーマへの答えが見えてくるレースかもしれない。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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