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ダービー馬不在・確固たる本命馬不在の難解な菊花賞

  • 2018年10月19日(金) 18時00分

展開が読めない分、どの馬にもチャンスがある


 ダービー馬にして神戸新聞杯勝ち馬のワグネリアンが不在の菊花賞。明らかにステイヤーで3000m歓迎という有力馬もおらず、なかなか難解な一戦だ。

 皐月賞馬エポカドーロの前走は躓いて出遅れたのがすべて。そこは気にしなくていいと思うが、3000mでかつ決め手勝負になると厳しい面があるというのが筆者の考えだ。ダービーでも2着しているので距離は大丈夫と見る向きもあるが、3000mで後半持続力勝負だとスタミナがもつか分からないし、上がり勝負になるとキレ負けする可能性がある。自分で競馬を作れるタイプだが、意外に難しい一戦だ。

 エタリオウは1勝馬で上位人気という珍しいパターン。末脚は確かなものがあるし、ステイゴールド産駒で距離が味方になる可能性はある。ここ2戦を考えると今回も溜めていくとは思うので、あとは物理的に届きうる範囲でレースができるかどうか。

 ブラストワンピースは新潟記念から菊花賞という、かなり珍しい臨戦パターン。それゆえ評価が難しいが、負けたのはダービーだけなので、ここで期待されるのも当然というところ。良い枠を引いたので、それを生かす競馬をしたい。

 展開はやってみないと分からないが、逃げるのはメイショウテッコン、2番手はジェネラーレウーノというところか。メイショウテッコンはパドックからテンションが高くなることがあるので、この距離を考えるとなるべく落ち着いてレースを迎えたいところ。ジェネラーレウーノはエポカドーロと同様、上がり勝負は避けたい。さりとてスタミナ勝負への対応力があるのかは不明で、エポカドーロに近い立場にあるのではないだろうか。買うなら両方、消す場合も両方というのが筆者の判断だ。

 グレイルは共同通信杯以降の成績がいまひとつなのだが、内枠でハーツクライ産駒というのは魅力。2歳重賞とはいえ京都で重賞を勝っている点も強調材料だろう。

 フィエールマンはキャリアの浅さとルメール騎乗が魅力。ディープインパクト産駒が意外と長距離で勝っていないので本命にはできないが、ヒモ候補にはなる。

 アフリカンゴールド、グロンディオーズ、グローリーヴェイズといった前走条件戦組はここ10年の菊花賞では苦戦しているのだが、今年はダービー馬不在・確固たる本命馬不在という事情もあり、一定のチャンスがありそう。

 単純に前走距離が長いという点ではアフリカンゴールドで、2000mを超える距離を使いだしてから成績向上というあたりに長距離での期待感がある。

 グロンディオーズは違うパターンで上がり最速を4走続けている点と、モレイラ騎乗が魅力。モレイラはシンガポールと香港でキャリアを積んできたので長距離の大レース実績は少ないが、2016年メルボルンカップでは中穴級のハートブレイクシティを僅差2着に持ってきているし、結局上手いものは上手いという結果も期待できる。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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