序盤緩すぎて動き出しが早くなる変則パターンも
展開は水モノで、常に想定外のものになってしまう……とお嘆きの競馬ファンは多いことだろう。中央の大レースは多頭数レースが中心ということもあり、乗っているジョッキーでさえコントロールできない方向へ展開が行ってしまうことも多い。
今年の天皇賞秋は完全な逃げ馬不在。過去5走(海外を走っていた馬は4走)まで振り返っても、初手から逃げていた馬は皆無で、後方から捲ったスワーヴリチャードの大阪杯と、暴走気味に先頭に立った日経賞のキセキがいるだけだ。
このような逃げ馬不在だとスローになりやすい→持続力勝負の馬(アルアインや、捉え方によってはレイデオロも)は不利、と想定しやすいのだが、過去の天皇賞秋を振り返ってみると「行く馬」の数とペースは必ずしも直結しない。
東京競馬場が改装された2003年以降、前走でJRAの競走において3コーナー先頭か2番手にいた馬の数が0〜2頭だったケースは7回あり、それぞれの前後半は以下の通り。
※前走海外のローエングリンが逃げ(2003年)
先行馬不足が前半を緩くした年もあるが、前半が速かった年もあればほぼイーブンの年もある。このような定義が良いかどうかは分からないが、逃げ先行馬で展開を決め付けてはいけないということは言えそうだ。
今回の登録馬で前走3角2番手はキセキとアルアイン。ともにハナに行くタイプではない。それでも展開は決め付けられないし、さらには「序盤緩すぎてレースの動き出しが早くなる」といった変則パターンもある。この原稿でどの馬を買えという話ではないが、世間が呼んでいる展開の逆をいくというのもまた、戦術のひとつとは言えそうだ。