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逃げ・先行馬不足はスローにつながるのか?/天皇賞・秋

  • 2018年10月23日(火) 12時00分

序盤緩すぎて動き出しが早くなる変則パターンも


 展開は水モノで、常に想定外のものになってしまう……とお嘆きの競馬ファンは多いことだろう。中央の大レースは多頭数レースが中心ということもあり、乗っているジョッキーでさえコントロールできない方向へ展開が行ってしまうことも多い。

 今年の天皇賞秋は完全な逃げ馬不在。過去5走(海外を走っていた馬は4走)まで振り返っても、初手から逃げていた馬は皆無で、後方から捲ったスワーヴリチャードの大阪杯と、暴走気味に先頭に立った日経賞のキセキがいるだけだ。

 このような逃げ馬不在だとスローになりやすい→持続力勝負の馬(アルアインや、捉え方によってはレイデオロも)は不利、と想定しやすいのだが、過去の天皇賞秋を振り返ってみると「行く馬」の数とペースは必ずしも直結しない。

 東京競馬場が改装された2003年以降、前走でJRAの競走において3コーナー先頭か2番手にいた馬の数が0〜2頭だったケースは7回あり、それぞれの前後半は以下の通り。

データ

※前走海外のローエングリンが逃げ(2003年)

 先行馬不足が前半を緩くした年もあるが、前半が速かった年もあればほぼイーブンの年もある。このような定義が良いかどうかは分からないが、逃げ先行馬で展開を決め付けてはいけないということは言えそうだ。

 今回の登録馬で前走3角2番手はキセキとアルアイン。ともにハナに行くタイプではない。それでも展開は決め付けられないし、さらには「序盤緩すぎてレースの動き出しが早くなる」といった変則パターンもある。この原稿でどの馬を買えという話ではないが、世間が呼んでいる展開の逆をいくというのもまた、戦術のひとつとは言えそうだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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