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“楽しみ”があって“意味のある”馬を見出したい

  • 2018年11月03日(土) 12時00分

16年ぶりの3歳馬の勝利なるか


 秋の天皇賞でレイデオロが勝った。同年のオールカマー優勝馬が勝ったのは史上初。年々進化を遂げる競馬にあって、「記録はあくまでも過去のもの」を再確認した。データも参考にはなるが、それに振り回されては思考の幅が狭くなる。「楽しみがなくて何の人生ぞ」で、いつも自由自在にことに対処していきたい。

「人生は朝露の如し」ではあるが、この言葉のあとにどういう思いが浮かんでくるかが大切。だからせいぜい楽しもうではないかと願うのが普通だが、そればかり突き詰めていたのではどこか足りず、無駄に過ごすことへの恐れも持たなければならない。中国の古書には、「楽しみて以って憂いを忘る」とあり、「楽しみは極むべからず」とある。つまり、「楽しみ」があって「意味のある」という両面を頭に置いて、それに適した楽しみを見出すということである。

 JBCの3レースについても、「競馬は永遠ではあるが、レースは二度ともどらない」を肝に命じて取り組みたい。

 創設以来初めて中央が主催することの意味は大きい。例えばJBCクラシックを取り上げても、これまでは原則として地方の各競馬場の持ち回りで、場によって距離が異なっていた。京都の今回は1900米、加えて中央が主催だから、中央馬の頭数が多い。少ない地方馬の出番が減っているからと言って、中央馬同士の駆け引きも激しくなるから、これまでの実績をそのままとはいかない。

 それに大井の2000米なら、勝ちタイムが最近は2分04秒台なのに、京都だともっと速くなってくる。だから、中央での実績を上位に取り上げるべきだろう。出走馬の中には、地方の方が合っているからと交流重賞に積極的だった馬が多い。

 そうなると、3歳馬オメガパフュームの成長度に期待したい。前走阪神のシリウスSで古馬を一蹴し、馬群の中でレースができた収穫が大きい。「楽しみ」であり「意味のある」馬になる。16年ぶりの3歳馬の勝利なら、ダート界の新星になる。スプリントは、京都の軽いダートならスピードの生きる4歳馬マテラスカイと7歳馬キングズガードの追い込みを、レディスクラシックは混戦だが、プリンシアコメータが勝って武豊の統一ダートGI完全制覇を祝いたい。これも「意味のある」勝利になるのだが。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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