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興味深い結果が現れた今年の“変則2場開催”

  • 2020年08月15日(土) 12時00分

関西馬の攻勢が凄まじく想像以上の結果に…


 3週間にわたる“夏の変則2場開催”が終わりました。小倉競馬がない分、新潟競馬に関西馬が大攻勢を仕掛けてくるだろうな、とは思っていましたが、それは“想像以上”でしたね。

 全72レース中、関西馬は49勝をマーク(勝率6割8分1厘!)。関東馬は23勝にとどまりました。去年のいわゆる“平場戦”出走に関しては、関西馬は小倉、関東馬は新潟に振り分けられていたので、関東馬63勝VS関西馬9勝という結果でした。ところが、その“仕切り”を取っ払った途端に、様相が一変しちゃったわけです。

 重賞、特別戦は関西馬13勝VS関東馬6勝。去年は関東馬14勝VS関西馬4勝でしたから、“大逆転”しています(去年と今年とで番組編成が違うため、レース数や実施レースは同じではありませんが)。

 そして、関西馬による1〜3着独占が19回もありました。しかも、そのうち9レースが重賞、特別戦。言い換えれば、重賞、特別戦19レース中9レースで、関西馬が1〜3着を独占していたのです。去年は全72レースを通じて(関西馬のワンツースリーは)1度もなかったんですけどね。

 どの数字を見ても、いかに関西馬の攻勢が凄まじかったかがお分かりいただけると思います。もしも来年、延期された東京オリンピックが開催されて、競馬の日程が今年と同じようになったら、新潟での関西馬大攻勢が再現されることになりそうです。

 さて、この3週間の馬券売上についても調べてみました。新潟、小倉、札幌の3場開催が行われた去年の同時期に比べて、今年はどうだったと思いますか?

 なんと今年は、前年比99.8%の売上があったんです。去年の3場6日間の合計が1385億9423万5200円だったのに対し、今年の2場6日間の合計は1382億8188万1200円。去年に比べると3億1235万4000円のマイナスでしたが、これは“ほぼ前年並み”と言っていいでしょう。

 つまり、去年の小倉競馬に注ぎ込まれていた金額が、今年はそっくりそのまま新潟と札幌に振り分けられた、とも言えるわけです。ちなみに、新潟の売上は去年より10.8%増、札幌の売上は同じく56.9%のプラスでした。

 余計なお世話ではありますが、この結果をどう見るか…。JRAとしては、2場開催のほうが経費削減を図れるはず。売上が極端に減らないなら、このほうがいいかもしれません。

 関西勢にとっても、新潟でこれだけ勝てれば、小倉開催はあってもなくてもいい、っていうことになっちゃいませんか?

 一方、関東勢にとってみれば、新潟、札幌の2場開催だと関西馬の大攻勢にさらされてしまうので、小倉でもやっていてほしい、というのが本音だったりして(勝手に想像してすみません!)。

 とにかく、いろいろ興味深い結果が現れた今年の“変則2場開催”でした。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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