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【古川吉洋×藤岡佑介】単勝万馬券量産の背景──「勝つならこういう競馬」レース前にジョッキーが考える理想像/第4回

  • 2023年08月02日(水) 18時01分
“with佑”

▲“単勝万馬券男”の古川吉洋騎手(撮影:山中博喜)


1986年以降、単勝100倍以上の馬を古川吉洋騎手が勝利に導いた回数は脅威の15回。これは期間内に騎乗した全ジョッキーのなかでナンバー1の勝利数でした。

今回はそんな“単勝万馬券男”の古川騎手に、レース前の準備からレース中の心境など、単勝万馬券量産の背景についてお聞きしました。

(取材・構成=不破由妃子)

ポイントは「それまで逃げたことのない馬を…」


──今回、どうしてもひとつテーマにしたいことがありまして。1986年以降、37年間のデータを集計したところ、期間中に騎乗した全ジョッキーのなかで、古川さんが単勝万馬券本数ナンバー1なんですよ。

古川 そうなんですか? 俺、1位なんだ…。それは知らなかった。何本ですか?

──15本です。去年2本上積みして、大野(拓弥騎手)さんを抜いたんです。

佑介 熾烈やな(笑)。それにしても、15本はエグい…。単勝万馬券なんて、早々出ませんからね。しかも去年は年間2本なんて。

──ですよね。だから今日はぜひ、そのうちのいくつかを振り返っていただいて、どういうときに単勝万馬券が出るのか、その背景を知りたいなと。必ずヒントがあるはずなので。

古川 まずはタイミングですよね。自分が乗っていて把握している部分と照らし合わせて、今日のこのメンバーでこの頭数なら、ここからいけばなんとかなるかも…とか、理想像はけっこうよく考えます。

 あとはね、単勝万馬券を出すようなときって、年間を通して自分の成績もいいと思う。人気がないとしても、勝てるポテンシャルを秘めた馬に数多く乗っているということだから。

──なるほど。去年の2本は、1月23日の小倉9R(16番人気スズノヤマト・単勝11,440円)と、4月2日の阪神10R(13番人気エーティーメジャー・単勝17,260円)なのですが、狙って勝ちにいったのか、勝ってビックリなのか。

古川 スズノヤマトは、ちょうど小倉の馬場が悪くなっていたタイミングで大外枠だったんですよね。だから、内の馬が馬場に脚を取られて止まる流れになったら、ワンチャンあるかも…とは思っていました。そうしたら、本当にその通りになって。

佑介 「勝つならこういう競馬」というのを、ちゃんと描けていたんですね。

古川 そうね。

“with佑”

▲「ワンチャンあるかも…と思っていたら本当にその通りに」(撮影:山中博喜)


──ちなみに、次走の昇級戦も古川さんが乗って、11番人気2着。

古川 そうなんですよね。勝ったあと「次も乗ってくれよ」って先生に言われて。「できれば、前回勝ったときみたいなレースがいいな」というオーダーだったんだけど

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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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