男性騎手に追い負けたくない！「私もこういうふうに乗れたら」

──まなみ騎手の変化について、佑介さんいわく「格段に下半身がしっかりしてきて、ブレずに追ってくるようになった」とのことでしたが、そのあたりはご自身でも意識して変えてこられたんですか？

永島　1年目の夏に北海道に行かせていただいたんですけど、こっちに帰ってきてからジムに通い始めて、トレーナーさんに1対1で見ていただくようになったんです。それからですかね、少しずつ周りの方からも「下半身がしっかりしてきたね」と言われるようになって。

佑介　TAKEさんだよね(武豊騎手がプロデュースした『TAKE PHYSICAL CONDITIONING GYM』)。

永島　そうです。ちょうどジムに行きたいなと思っていたときに、いつもお世話になっている(松田)大作さんや(団野)大成さんに教えていただいたんです。おふたりもTAKEさんに通ってらっしゃるということで、私も行こうとなりました。

──ご自身でも変化を実感されていますか？

永島　まだまだですけど、デビューした頃に比べると、馬の上でできることが少しずつ増えてきたかなという実感はあります。

佑介　それは大きいよね。体力的にも気持ち的にもそれだけ余裕が生まれてきたということだから。

──「馬の上でできること」とは、具体的に言うと？

佑介　たとえば、馬がモタれてきたらムチを持ち替えなければいけない。それはわかっているんですけど、余裕がないと手が離せないからできない。でも、体力がついてきて片手でしっかり保持できるようになればムチを抜けるようになるし、もっといえば、始まる前に「この馬、モタれるな」と感じて、早い段階で準備をすることができる。心身に余裕が生まれるにつれ、そうやってできることが増えていく感じです。


──なるほど。今回、まなみ騎手が「理想とする乗り方」というのもテーマにしてみたいと思っているのですが、思い描いているスタイルはありますか？

永島　接戦になったときにどうしても男性に追い負けてしまうことがあるので、女性という括りのなかだけではなく、男性と同じステージでも追い負けないというか、一緒に乗っていて女性だと思われないくらいしっかりと乗れるジョッキーになりたいです。私がもっとしっかり追えていたら勝たせてあげられたかもしれないと思うと、本当に悔しくて。

佑介　今年のWAJSにきていたマリー・ヴェロン、めっちゃ上手くなかった？ 「すごくしっかり追うよ」とは聞いていたんだけど、想像以上だったわ。すごく深いよね、騎座が。

永島　本当に馬の動かし方がすごくて。私の場合、ちょっとズブい馬になると、周りが動いたときにどうしても踏み遅れてしまうことがあるんですけど、早めに自分から動かしていって、そのまま押し切るというような競馬を見て、私もこういうふうに乗れたらいいなっていうひとつの理想ができました。


佑介　俺も、女性ジョッキーであそこまでの力強い騎乗は見たことがなかったよ。

永島　レイチェル・キングさんもすごかったですよね。もともとWAJSの前に高橋(康之)先生から「過去のレース映像を見て、ふたりの違いを調べてみたら？」という課題をいただいていたんです。「同じ女性ジョッキーでも乗り方が違うから、きっと勉強になるよ」って。それで映像を見ていたこともあって、本当に勉強になりました。

佑介　高橋先生は元ジョッキーだからね。課題と称して、成長につながるヒントをくれている気がする。

──技術にしても競馬の内容にしても、一番相談する機会が多いのは、やっぱり高橋先生ですか？

永島　先生からもたくさんアドバイスをいただきますが、先輩ジョッキーの方にもいろいろ教えていただいています。

永島まなみ騎手を変えた横山典弘騎手のアドバイス

佑介　お父さん(兵庫県競馬の元騎手で現調教師の永島太郎師)とは乗り方の話とかしないの？