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【永島まなみ×藤岡佑介】「馬とケンカし過ぎない」佑介騎手も納得の女性ジョッキーならではの強み/第3回

  • 2023年10月04日(水) 18時01分
with佑

▲藤岡佑介騎手×永島まなみ騎手対談、第3回!(撮影:桂伸也)


男女が同じ舞台で戦う競馬。レースでは性別関係なく全員が命賭けで競い合いますが、男性と女性の身体の構造の違いなどから、フィジカル面では女性にハンデがあると考えられます。いっぽうで、女性だからこその強みもあるはず…。今回は、佑介騎手、まなみ騎手、それぞれの視点で捉える“女性ジョッキーならではの強み”をテーマにお届けします。

(取材・構成=不破由妃子)

残り1ハロンで馬が止まりだしたら…もう必死(笑)


──男女が同じ舞台で戦う上で、女性はどうしてもフィジカル面でハンデがあると思うのですが、いっぽうで女性ならではの強みもあるのではないかと常々思っています。そのあたり、佑介さんはどんな視点を持っていますか?

佑介 やっぱり、股関節とか骨盤の柔らかさですかね。体を支える筋力さえ付けば、関節の柔らかさは絶対に武器になると思ってます。個人差はありますが、僕たち男性は筋肉を付ければ付けるほど可動域が狭くなったり、身体を畳みづらくなってくることのほうが多い。関節が柔らかければ、そのあたりがカバーできますからね。

──骨盤でいうと、そもそも女性と男性では形そのものが大きく違いますよね。

佑介 そうですね。女性は仙骨の部分が広いから、普通に考えたら膝を絞ってヨーロピアンスタイルにしないと騎座が安定しないのかなと思っていたんですけど、まなみを見ていたら、そうでもないのかなって。アメリカンで乗ろうと思えば、普通に乗れるんじゃないかなっていう気がするんだけど、乗っているときの膝の位置ってどうなってる?

永島 私、古川さんとか(今村)聖奈ちゃんに比べると、膝は若干締まり気味です。

佑介 そう? 膝を支点にして乗っているようにはあんまり見えないけどなぁ。膝から下がピタッと付いていてぶらしてないし、腰もしっかり下がっているし。確かに押してこなければいけない馬だと、ゴール前でちょっと下が揺れ出すけど、馬も脚が上がっているからね。それはもう仕方がないこと。

──男の人だってしんどいですよね。

佑介 しんどいですよ(苦笑)。そうなってくると、腰も下がらないし。僕も本当は止めて追いたいんですけど、止めて追ったら全然パワーが出ない。追い出しはいい感じだなと思っても、残り1ハロンで馬が止まりだしたら…。もう必死です(笑)。本当は、津村(明秀騎手)みたいにピタッと止めて追ってくるのが僕は理想なんですけどね。

 まなみはやろうと思えばできるんじゃないかな。上背もあるし。

永島 少しでも近づけるように頑張ります。

with佑

▲理想の騎乗スタイルへ「少しでも近づけるように頑張ります」(撮影:桂伸也)


女性のほうが鮮明!? 痛みに対する記憶


──まなみさんご自身は、女性ジョッキーの強みについて見えてきたことはありますか?

永島 力がないぶんかもしれないんですけど、変に馬の口に触り過ぎないというか、ケンカし過ぎないというか。もちろん噛む馬は噛みますけどね。本当はもっとしっかり馬を手の内に入れるべきではあると思いますが、馬によってはケンカし過ぎない部分がいい方向に向くこともあるんじゃないかなと思っています。

佑介 そう思うよ。競馬は前に進ませる競技だから、御し過ぎないほうがいいというのはみんなわかってる。でも、これ以上行ったら掛かるなと思うと、どうしても必要以上に力で抑え込んじゃうから。そもそも、筋力の出力を競う競技じゃないからね。必要最低限の筋力があって、それを正しく使えることのほうが大事だと思う。

 ひとつ気を付けてほしいなと思っているのが、

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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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