春のG1高松宮記念に続いて、今度は1200mのG1を1分07秒0のコースレコードで快勝。早くも今年の最優秀スプリンターの座を確定的にするトロットスターの快勝だった。
10着のゼンノエルシドまで、わずか0.5秒差しかない大接戦にもつれ込み、ゴール寸前は各馬ともにほとんど差がなかったが、メジロダーリング以下に首差で抜け出したのは、蛯名騎手のファインプレーだろう。前半32.5-43.7秒の猛ペースの中、3〜4コーナーで一度下げたのは、蛯名騎手のトロットスターだけだった。究極のスプリント戦では、レース展開という考え方はほとんど意味がないとされる。今回にしても、どの位置にいようが、1分07秒0で乗り切った馬が勝っただけのことで、展開うんぬんはない。しかし、どう乗ると1分07秒前後で乗り切れるかは、過去のパターンではっきりしている。前半の3ハロンを、33秒台前半で行くこと。それ以上速くとも、遅くともベストの前後半のバランスとはいえない。蛯名騎手は計算していたわけではないが、3コーナーすぎで直感的に「少しだけ速すぎる」、トロットスターだけが少し下がった。本能的に少し下げたファインプレーだった。ゼンノエルシドは初の超ハイペースで経験の差が出た。ブレイクタイムは、右回りはどうもコーナーがスムーズではなかった。7歳ダイタクヤマトは、おそらく現在の力は出し切っている。