スマートフォン版へ

ハイクラスなクラシック配合、ワールドプレミア

  • 2008年05月20日(火) 01時46分
「2歳」
 アドマイヤコブラ(牡 栗東・松田博資 父フレンチデピュティ、母マイケイティーズ)
 半兄にジャパンC(GI)、宝塚記念(GI)、ドバイデューティーフリー(G1)を勝ったアドマイヤムーン(父エンドスウィープ)がいる。「フレンチデピュティ×サンデーサイレンス」は桜花賞馬レジネッタなどを出して成功しており、母系の奥の血もしっかりしており大物感にあふれている。芝向きのマイル〜中距離タイプ。

 ゴーイングウェル(牝 栗東・松元茂樹 父アグネスタキオン、母タイキソフィア)
 母タイキソフィアは1400mベストの芝馬で、準OPまで出世した。母の父Be My Guestのような図太い血はアグネスタキオンとフィットする。母にはTudor Minstrel≒Abernant 3×6という近似血脈のクロスがあり、父にはTudor Minstrelがあるのでこれを継続している。芝向きのマイラーで底力もある。

 サクセスオネスティ(牡 美浦・久保田貴士 父クロフネ、母サクセスビューティ)
 母サクセスビューティはフィリーズレビュー(GII)の勝ち馬で、繁殖牝馬としてもダートで4戦無傷のサクセスブロッケン(父シンボリクリスエス)を送り出している。父がクロフネなのでダートのマイル〜中距離タイプだろう。クロフネ産駒の大物はダートよりも芝で活躍するものが多いが、本馬にはフラムドパシオン(06年UAEダービー-G2・3着)のような活躍を期待したい。

 シーギリアレディー(牝 栗東・西浦勝一 父キングカメハメハ、母リヴァーガール)
 半姉テイエムオーシャン(父ダンシングブレーヴ)は桜花賞(GI)、秋華賞(GI)、阪神3歳牝馬S(GI)を制した名牝。その後、母はこれといった大物は出していないが、本馬は配合的におもしろいので楽しみが大きい。母が持つRiverman≒Mill Reef 2×3という近似血脈のクロスを、父系のMill Reefによって継続。Tourbillon→Djebelのラインを強調した好配合馬だ。芝向きのマイル〜中距離馬だろう。

 ダイワキング(牡 美浦・中野渡清一 父キングカメハメハ、母ミュージー)
 母の父El Pradoは北米リーディングサイアーになったこともある名種牡馬。Sadler's Wells系なのでKingmambo系のキングカメハメハとは相性がいいだろう。Kingmamboの代表産駒であるエルコンドルパサー、Divine Proportions、Virginia Waters、Henrythenavigatorは、いずれもこのクロスを持っている。本馬はそれ以外の部分の配合も緻密なのでおもしろい。芝・ダート兼用の中距離馬。

 テンペスタローザ(牡 栗東・橋口弘次郎 父キングカメハメハ、母ロゼカラー)
 母ロゼカラーはデイリー杯3歳S(GII)の勝ち馬で、繁殖牝馬としてはローズバド(01年フィリーズレビュー-GII)、ローゼンクロイツ(07年金鯱賞-GII)、ローズプレステージ(07年京都新聞杯-GII・2着)などを送り出している。本馬の父は新種牡馬キングカメハメハ。兄姉3頭はいずれもサンデー系だったので、配合構造はまるで違うが、ポテンシャルの高い牝系なので一定以上の出世は間違いなさそう。

 トパンガ(牡 栗東・角居勝彦 父キングカメハメハ、母リアルナンバー)
 母リアルナンバーはアルゼンチンでダ1600mのG1と芝1800mのG2を制覇。2代母Numerariaはアルゼンチン1000ギニー(G1)の勝ち馬。牝系の質は高い。本馬の父キングカメハメハはBlushing Groomと相性がいいと思われる。本馬の母の父Rainbow CornerはRainbow Questを経てBlushing Groomにさかのぼるラインなので期待が持てる。芝向きの中距離タイプ。

 ネオイリュージョン(牝 栗東・平田修 父ネオユニヴァース、母マンファス)
 キングカメハメハ(04年日本ダービー-GI、04年NHKマイルC-GI)、レースパイロット(05年フローラS-GII・2着)の半妹で、父は新種牡馬ネオユニヴァース。Shantung≒Mill Princess 4×3はおもしろい。オークス向き。

 ピースエンブレム(牝 美浦・小島茂之 父ウォーエンブレム、母ヴァンドノワール)
 フラワーC(GIII)を勝ったブラックエンブレムの全妹。Our Emblem≒ヘクタープロテクター2×2という配合には見どころがあり、母系の奥にはVaguely Nobleなどヨーロッパの重厚なスタミナ血統が入っているので底力十分。馬のデキがまともなら姉同様の活躍が期待できる。

 フィロンルージュ(牝 栗東・石坂正 父フレンチデピュティ、母スカーレットレディ)
 ヴァーミリアン(最優秀ダートホース)、サカラート(05年東海S-GIIなど重賞3勝)、キングスエンブレム(08年すみれS-OP)の半妹で、父はフレンチデピュティ。「フレンチデピュティ×サンデーサイレンス」は桜花賞馬レジネッタと同じ。ハズレのない血統なので前途洋々だ。

 フォゲッタブル(牡 栗東・池江泰郎 父ダンスインザダーク、母エアグルーヴ)
 母エアグルーヴは牝馬ながら年度代表馬に輝いた女傑で、繁殖牝馬としてもアドマイヤグルーヴ(03、04年エリザベス女王杯-GI)、ポルトフィーノ(08年エルフィンS-OP)を出している。本馬はダンスインザダーク産駒なのでザサンデーフサイチ(500万下)の全弟。兄はイマイチだったが、馬のデキがよければ当然走ってくるだろう。

 ペパーミントラヴ(牝 栗東・松田博資 父シンボリクリスエス、母レッドチリペッパー)
 母レッドチリペッパーは富士S(GIII)、中山牝馬S(GIII)を勝った活躍馬。配合に見どころのある馬なので繁殖牝馬としても期待が大きいのだが、いまのところこれといった産駒は出していない。本馬の父シンボリクリスエスは晩成型。そのため、3歳春にある程度活躍している産駒は、仕上がり早のアメリカ血統のサポートを受けているものが目立つ。とくにMr.Prospectorとは相性がいい。本馬はその条件に当てはまっているので期待できる。

 ボンバルディエーレ(牡 美浦・小西一男 父クロフネ、母ブリガドーン)
 母ブリガドーンはフローラS(GII)3着、京成杯(GIII)3着などの成績を残した。本馬が初子となる。「クロフネ×サンデーサイレンス」の組み合わせはフサイチリシャール(05年朝日杯フューチュリティS-GI、06年阪神C-GII)と同じ。また、母系の奥にLa Troienne牝系の凝縮とMr.Prospectorを抱えている、という共通点もある。クロフネ産駒の配合としては文句なしのA級なので期待大。

 ミスアンコール(牝 栗東・池江泰寿 父キングカメハメハ、母ブロードアピール)
 母ブロードアピールは驚異的な追い込み脚を武器に、ガーネットS(GIII)、根岸S(GIII)など6つの重賞を制覇した。繁殖牝馬としてはアドマイヤベガとの交配でカイゼリン(08年フローラS-GII・6着)を産んでいる。父キングカメハメハはスピード面に若干懸念があるので、母系が重過ぎるとよくない。この馬は母系にしっかりとしたスピードが入っており、全体のバランスが取れている。キングマンボ系はリボー系の血と相性がいいのでホイストザフラッグが入るのもポイントが高い。芝・ダート兼用のマイル〜中距離タイプ。

 ロゼットネビュラ(牝 栗東・橋口弘次郎 父ネオユニヴァース、母ローザネイ)
 半兄にロサード(02年オールカマー-GIIなど重賞5勝)、ヴィータローザ(03年セントライト記念-GII、06年中山金杯-GIII)、半姉にロゼカラー(95年デイリー杯3歳S-GII)がいる良血。これらの父はサンデーサイレンスで、本馬の父はネオユニヴァース(その父サンデー)なので、厳密にいえば4分の3兄弟の関係にある。府中の芝2400mでもへこたれないしっかりした血統構成だ。

 ワールドプレミア(牡 栗東・松田国英 父アグネスタキオン、母ポインテッドパス)
 半兄ネオユニヴァースは日本ダービー(GI)、皐月賞(GI)の二冠など5つの重賞を制覇した名馬。本馬の父アグネスタキオンは重厚なヨーロッパ血統と相性がよく、とくにフランスのステイヤー系とはフィットする傾向が見られる。本馬はその条件に当てはまっている。スピード、スタミナ、底力の三拍子そろったハイクラスなクラシック配合で、GI戦線で活躍する姿が目に浮かぶ。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング