スマートフォン版へ

英オークスの展望 1番人気は叔父に香港年度代表馬がいる高額馬

  • 2024年05月29日(水) 12時00分

注目集めるのはA.オブライエン厩舎の2頭


 5月31日(金曜日)に英国のサリー州にあるエプソムダウンズ競馬場で行われる、第246回英オークスの展望をお届けしたい。

 25日(土曜日)に設けられていた登録ステージで、15頭がエントリー。ブックメーカー各社が3.0〜3.25倍のオッズを掲げて1番人気に推すのが、A.オブライエン厩舎のイランイラン(牝3、父フランケル)だ。

 叔父に香港でG1クイーンエリザベス2世C(芝2000m)などを制し香港年度代表馬となったヴィヴァパタカ(旧名コミックストリップ)や、叔母に米国でG1フラワーボウルS(芝10F)など芝のG1を2勝したラフィングがいる牝系出身の同馬。タタソールズ・オクトーバー1歳セールに上場されたところ、150万ギニー(当時のレートで約2億6531万円)でクールモアに購買され、A.オブライエン厩舎の一員となった。

 6月30日にカラの牝馬限定メイドン(芝7F)でデビュー。ここを勝って緒戦勝ち後、続くレパーズタウン競馬場のG3シルヴァーフラッシュS(芝7F32y)も制し、2連勝で重賞初制覇を果した。

 ところが、続くカラのG1モイグレアスタッドS(芝7F)は、1番人気を裏切り9着に敗退。続いて駒を進めたニューマーケット競馬場のG2ロックフェルS(芝7F)も3着に敗れた。それでも、この馬の素質の高さを買っていたオブライエン師は、イランイランの次走にニューマーケット競馬場のG1フィリーズマイル(芝8F)を選択。道中は後方でレースを進めた同馬は、残り3Fの手前から鞍上ライアン・ムーアの手が動いて追撃態勢へ。途中、前を走る馬がヨレて進路をカットされる不利がありながら、きっちりと差し切ってG1初制覇を達成。この段階で、今季の牝馬クラシックの有力馬となった。

 今季初戦となったのが5月5日にニューマーケット競馬場で行われたG1英千ギニー(芝8F)で、ここも前半は後方での競馬となった後、よく追い込んだものの5着に敗退。しかし、勝ち馬との差は1馬身しかなく、次走の英オークスに希望を持たせる内容だった。

 切れる脚はないが、ジワジワと粘り強く伸びるタイプで、距離延長は歓迎だと見られている。

 オッズ4.0倍から5.0倍で2番人気に推されているのが、イランイランと同厩のルビーズアーレッド(牝3、父ガリレオ)だ。

 クールモアによる自家生産馬で、G1ロッキンジS(芝8F)勝ち馬レッドイヴィーの10番仔となるのがルビーズアーレッドである。自身が活躍馬であっただけでなく、母としても超優秀なのがレッドイヴィーで、G1凱旋門賞(芝2400m)などG1・3勝のファウンド、G3フレイムオヴタラS(芝8F)を制した他、G1愛オークス(芝12F)2着、G1英オークス(芝12F6y)3着などの成績を残したディヴァインリー、G3パークS(芝7F)勝ち馬マジカルドリーム、G3ギヴサンクスS(芝12F)勝ち馬ベストインザワールドと、既にG1勝ち馬1頭含む4頭の重賞勝ち馬を送りだしている。

 デビューしたのは2歳10月で、ゴールウェイ競馬場の牝馬限定メイドン(芝8F73y)に出走して3着。2歳シーズンをこの1戦だけで終了し、シーズンオフをはさんで出走した、4月10日にレパーズタウン競馬場で行われた牝馬限定メイドン(芝10F)が2着。未勝利の身ながら、次走は5月11日に行なわれた英オークストライアルフィリーズS(芝11F133y)に駒を進め、ここも2着だった。

 すなわち、ここまで3戦して未勝利なのがルビーズアーレッドなのである。だが、敗れたとはいえ、高く評価されているのが、前走の内容だ、単騎で逃げたユーゴットトゥーミー(牝3、父ナサニエル)がそのまま逃げ切ったのだが、道中後方に待機していたルビーズアーレッドは、残り2Fの地点で勝ち馬との間には10馬身以上の差があった。そこから鬼脚を繰り出して、半馬身差の2着に入ったレース振りに、大きな可能性を感じ取ったファンが多くいたようだ。

 オッズ4.5倍から5.0倍で、ルビーズアーレッドと横並びの2番人気か、僅差の3番人気になっているのが、ダーモット・ウェルド厩舎のエゼリーア(牝3、父ドバウィ)である。

 アガ・カーンによる自家生産馬で、G2ブランドフォードS(芝10F)など5重賞を制した他、G1愛オークス(芝12F)3着などG1入着も3度あるエジーラの2番仔となるのがエゼリーヤだ。祖母の兄弟に、エスティメイト、エンゼリと、G1ゴールドC(芝19F210y)勝ち馬が2頭いるという、スタミナ豊富なファミリーを背景に持っている。

 2歳8月にデビュー。緒戦となったレパーズタウン競馬場の牝馬限定メイドン(芝7F)は、やや距離が短かったか4着に敗れた後、続くコークの牝馬限定メイドン(芝8F)を制し2戦目で初勝利。シーズンオフをはさみ、今季初戦となったのが4月27日にナヴァン競馬場で行われたG3サルサビルS(芝10F)で、ここを勝って重賞初制覇を果しての参戦となっている。

 さらに、5月8日にチェスターで行われたLRチェシャーオークス(芝11F75y)を制し、デビューから無敗の連勝を飾っての参戦となるフォレストフェアリー(牝3、父ヴァルトガイスト)が、7.0から9.0倍のオッズで続き、ここまでがひと桁台のオッズとなっている。

 英オークスの模様は、6月1日(土曜日)深夜にグリーンチャンネルで放送される英ダービー生中継の中で、録画放映される予定となっている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング