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オジュウチョウサンが世界の障害に挑戦するならこのレース!“世界の合田”の見解

  • 2018年05月10日(木) 18時01分
海外競馬通信

▲絶対王者オジュウチョウサン、世界挑戦の可能性は? (写真は2018年中山グランドジャンプ、撮影:下野雄規)


4月の中山グランドジャンプを制し、障害GI・5勝目を挙げたオジュウチョウサン。この勝利は「障害GI最多勝記録更新」「JRA重賞連勝記録単独首位」「障害獲得賞金歴代1位」と数々の記録も打ち立てました。もはや国内に敵なし! 絶対王者の海外遠征を望む声が、ファンの間から挙がっています。

そこで“世界の合田”こと合田直弘氏が、「オジュウチョウサンが海外遠征するならば?」をテーマに、世界の障害レースの最新事情と、挑戦するに最適なレースをピックアップ。無類の障害好きでもある合田氏。「グランドナショナルを目標とするようなことだけは、あってはならない」と言い切った、その理由とは!?


(文=合田直弘)


グランドナショナルは主流の路線ではない!?


 海外の中でも、障害戦の人気が高いのが欧州と豪州だ。ことに欧州では、平地競馬よりも障害競馬の方が、むしろ大衆の支持が高いと言っても差し支えがない。

 欧州で障害戦の人気が高い背景には、理由が2つあると言われている。

 幼少の頃から馬に親しみ、乗馬を嗜む人の割合が、日本に比べると遥かに大きいのが欧州である。馬に乗る一般人にとって、時速60キロで疾走する機会はほぼ皆無であるゆえ、平地競馬に親近感が沸かない一方で、外乗して倒木や小川を飛び越えた経験のある者はとても多い。すなわち、平地競馬よりも障害競馬の方が身近に感じられるから、人気が高いのだというのが、言われている背景の1つだ。

 そしてもう1つは、障害馬の寿命の長さである。平地では、活躍馬がともすれば3歳一杯で引退することも珍しくないのに対し、ピークを迎えるのは6歳以降であるものの、10歳を越えても第一線で活躍する馬が多いのが障害戦だ。馴染みの馬が長期間現役に留まる障害競馬の方が、思い入れを込めて観ることが出来るゆえ、障害の人気が高いという分析がなされている。

 英国や愛国を例にとれば、障害シーズンは5月に始まり、翌年の4月に終わる。しかし、平地競馬がハイシーズンを迎える5月から10月までは、一流馬が出走する障害レースは開催されず、言ってみればこの間が実質的なシーズンオフとなる。そして、芝の平地競馬のシーズンが終わった後の11月からが、本格的な障害のシーズンとなる。

 すなわち、平地も障害も好きという競馬ファンは、1年を通じて競馬が楽しめる仕組みが出来ているのだ。競馬日刊紙のレイシングポストなども、11月から3月までは、紙面の中心にあるのは障害戦の話題だ。

 ひと口に障害戦と言っても、内容的にいくつかのカテゴリーがある中、レースが施行される場所が競馬場で、出走馬がコース上に設置された障害を飛越するという、私たち日本の競馬ファンにも馴染みの障害戦にも、「ハードル」と「スティープルチェイス」という2つのカテゴリーがある。

 きわめて大雑把に分別すれば、飛越する障害の数が少なく、障害の難度が低いのが「ハードル」で、飛越する障害の数が多く、障害の難度も高いのが「スティープルチェイス」だ。

 これ以外に、「ナショナルハント・フラット」と称される、障害馬のための平地戦もあって、デビューからいきなり障害を跳ぶ馬も少なくない。障害馬の現役生活は「ナショナルハント・フラット」からスタートするのが一般的だ。

 その後に「ハードル」に転身し、そのまま引退するまで「ハードル」を走る馬もいれば、「ハードル」を1〜2シーズン戦った後に、飛越の巧みな馬たちは「スティープルチェイス」に転身するというのが一般的なルートとなっている。

「ハードル」にも「スティープスチェイス」にも距離別の路線があるが、いずれも主流と言われているのが、16F(約3219m)路線と24F(約4828m)路線だ。その中間の20F(約4023m)路線にもいくつかの基幹競走があるが、王道は16Fと24Fの路線で、シーズン終盤には「ハードル」「スティープスチェイス」それぞれの16F路線と24F路線を締めくくるビッグレースが組まれており、シーズンのチャンピオンを決定するレースとして、競馬ファンの大きな注目を集める中での施行となっている。

 この他、そのシーズンにハードルデビューを果した、ハードル界のルーキーを「ノーヴィス・ハードラー」、そのシーズンにスティープルチェイスを跳び始めた、スティープルチェイス界のルーキーを「ノーヴィス・チェイサー」と称し、シーズン終盤には「ノーヴィス・ハードラー」や「ノーヴィス・チェイサー」だけに出走資格のあるG1競走も組まれている。平地に例えれば、デビューしたばかりの2歳馬のためのG1競走があるのと、同じ理屈である。

 ここまでお読みいただいて、おや? と思われた読者もおられるであろう。

 海外の障害戦と言えば、多くの皆様が真っ先に思い出すのが、4月に英国のエイントリー競馬場で開催されるグランドナショナルであろう。全世界で6億人以上がテレビ視聴する、世界一有名で世界一過酷なこのレースの距離は、34F74y(約6907m)である。前述した主流の路線から逸脱しているではないか、と言われれば、まさにその通りで、距離が極端に長いこと以外にも、様々な意味で規格外のレースがグランドナショナルなのだ。

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