
▲音無秀孝元調教師が今年の高松宮記念を分析(撮影:大恵陽子)
いよいよ芝GIが開幕します。30日に中京競馬場で行われるのは高松宮記念(芝1200m)。かつてこのレースでGI初制覇を果たし、多くの快速馬を擁していたのは音無秀孝厩舎。3月4日をもって定年により解散となりましたが、管理馬は転厩先でも早速勝利を挙げるなど活躍しています。
そんな名馬を数多く育てた音無元調教師に今年の高松宮記念の注目馬、さらには引退後の意外な趣味までうかがいました。
(取材・構成:大恵陽子)
「琵琶湖の周りにたくさんあるから」と、新しい趣味始動!?
──調教師引退から約2週間が過ぎましたが、最近はどんな日々を過ごしているんですか?
音無 まだ厩舎のあと片付けが残っていて、その最中です。馬房に敷いていたゴムマットやスタッフのロッカーなど捨てるのには勿体ない物があって、滋賀県内の湖南馬事センターに譲った物もあります。トラックの荷台いっぱいに運んでもらって、ロッカーは生徒用としても使ってもらえるかな、と思っています。
──処理するにも費用がかかるでしょうから、お互いにウィンウィンですね。週末は競馬をご覧になられていますか?
音無 所属騎手だった松若風馬が乗っているレースは見ています。調教師をしていた頃は他厩舎の馬でも1頭1頭のレース内容を記憶しようとしていましたけど、もうそれをしなくていいので、少し距離を置いてもいいのかな、という気持ちになっています。引退する前はこんな気持ちになるなんて思っていませんでした。
──何か趣味などはありますか?
音無 無趣味でね。何か趣味を作るにはどうしたらいいかあれこれ考えて、昔は釣りが好きだったけど今からするのもな、と思って、車が好きなのでキャンプをしようと小さなキャンピングカーを買いました。琵琶湖の近くにはたくさんキャンプ場があるので、近場で行けたらいいなと思っています。
──さて、音無調教師と高松宮記念といえば、厩舎GI初制覇が2006年オレハマッテルゼのこのレースでした。芝2000mでデビューし、徐々に距離を短縮して1200mは高松宮記念で初経験という異色の経歴。
音無 オレハマッテルゼにはポイントが一つあって、芝1800m~2000mを使っていた頃に中舘英二騎手(当時)が乗って先行したことが2回ありました。
──ツインターボなどの逃げで有名な中舘騎手ですね。
音無 序盤から前に行かせると、馬はハミを噛むようになるんです。これらのレースを機にオレハマッテルゼもそうなって、1600mに短縮し、それでも噛むから1400m、そして最終的には高松宮記念で1200mを走ることになりました。短距離での好位差しがぴったりハマりました。

▲2006年の高松宮記念を制したオレハマッテルゼ(c)netkeiba
──20年に高松宮記念を制したモズスーパーフレア(2位入線、繰り上がり)は序盤からのスピードが圧倒的でした。