文句のつけようがなかった。
エピファネイアの最終追い切りは、福永を背に栗東CWで単走。大きく先行した3頭併せを見る形で、長めから課題の折り合いを確認した。我慢が利いた走りで徐々に距離を詰めると、4コーナーで早くも前に追いつく。直線では内を突いて、手綱を持ったままで矢のような末脚を披露。7F93秒0-78秒7-38秒5-12秒7の好時計をマークした。
主戦は驚きを隠せない。全体時計を聞いて「恐ろしいな。オーバーワークにならんようにしたのに。内を回ったとはいえ、馬なりでやからね」と第一声。背中や手綱から伝わる抜群の感触に「前に追いつくつもりは無かったけど、搭載エンジンが違うんでしょうね。あらためて持っている能力の違いを感じた」と絶賛する。
追い切りでは初めて舌を縛って臨んだ。この策がピタリとはまった。舌を縛ることで操縦性が高まることがあるという。実際、今回は「前よりも抑えが利いていたし、とてもいい感じだった。効果はあったね」。過去にはエッグバミやリングバミを使用。試行錯誤を繰り返してきた成果が表れた。
春は期待を集めながら、
皐月賞、ダービーともに2着。「ダービーは前の馬の脚が引っ掛かってつまずいた。結果、それがなければという着差(半馬身差)。彼の有り余る闘争心をコントロールできなかった自分の責任」と唇をかむ。前走後はリベンジの機会に向け、常に自分を磨いてきた。「走る馬は今後もいると思うけど、こういう馬はなかなかいない。難しいけど、乗りこなせるようになれば、自分ももう一段上にいけると思う」と力を込める。
ダービーで覇権を争った
キズナが15日にニエル賞を制し、華々しい世界デビューを果たした。ラ
イバル不在の始動戦は、きっちりとV発進を決めたいところだ。「春は自分自身、悔しい思いをした。牧場も厩舎もファンも同じだと思う。その思いには、結果でしか報いることができない。ベストの騎乗で彼の100%を引き出したい」。もう銀メダルはいらない。念願のGIタイトルに向け、今は結果を残すのみだ。
提供:デイリースポーツ