想定外の時計に、加用師は思わず顔をしかめた。「速過ぎるな…」。
アズマシャトルは栗東CWで
マイネヴァリエンテ(4歳500万下)と併せ馬。約1馬身後ろから運んだが、掛かり気味に行く僚馬に釣られてペースアップ。予定では6F82秒前後のはずが、計時したのは6F77秒7-38秒0-13秒0だった。
この日が初コンタクトとなった松若が申し訳なさそうに引き揚げてくる。「すみません…。その分、結果を残しますんで」。これを聞いた指揮官は「今の若いヤツは、言うことだけは立派だからな」と応戦したが、いらだちはなかなか収まらない。格上挑戦にもかかわらず課せられたハンデ56キロにもかみつき、「こっちが考えていたのよりも1キロは重い。ほかと比較してもおかしいよ」と、おかんむり状態だ。
しかしながら、見込まれたハンデは実力の証しでもある。2走前の
鳴尾記念では3着と好戦。勝ち馬
ラブリーデイは返す刀で
宝塚記念を制し、5着
グランデッツァは
七夕賞を完勝した。準オープンの前走こそ4着に敗れたものの、不得手な道悪に加えて左前を落鉄するアク
シデント。展開的にも前が壁になり、脚を余す形になってしまった。「ハンデは背負うが、(不安を)払しょくする走りを」と師は期待を口にした。
初参戦となる小倉には、トレーナーも鞍上も「合うと思う」と異口同音だ。札幌でも勝っているだけに、平たん小回りは望むところ。この日の“失敗”で松若自身もより一層気合が入るだろう。人馬ともに重賞初制覇を決め、全てを帳消しにしてみせる。
提供:デイリースポーツ