何としても有終の美を飾りたい。今月いっぱいで定年引退を迎える橋口弘師にとって、最後の日、最後の重賞挑戦となる
阪急杯は、まさしく集大成のレースとなった。
重大な使命を担った
ミッキーラブソング。その最終追い切りは栗東坂路で4F53秒3-38秒7-13秒0。終始馬なりという、ごく軽めのものだったが、全体的には熱がこもり、十分過ぎるほどの迫力があった。
先行させた
オールスマイル(3歳未勝利)を追走し、最後にきっちりと併入。一定のリズムを刻みながら、繰り出すフォームには無駄がなかった。「きれいな併せ馬ができましたね」と騎乗した酒井助手は満足げに振り返る。
阪急杯に使うと決まってから、担当者として重圧があったと話すが、「本当にうまいこといきました」と完璧な仕上げに安堵の笑みがこぼれた。動きを見守った息子の橋口慎師も「思った通りの動き。悔いは全くありません」と胸を張る。まさに厩舎一丸。有終Vへの強い執念が、状態を
ピークにさせた。
JRAへ移籍当時から世話になってきた主戦の小牧は「絶対に泣く」と今から号泣を予告するほど、恩師の最終週に懸ける思いは強い。「最後だから何とかしたいね。調子はいいみたいだし、1400mもベスト。(橋口弘)先生は持っているから劇的な場面がないかな」と願う。これが正真正銘、ラストチャンス。師への恩返し、そして大団円を迎えるためにも、最高の騎乗で勝利の歌を奏でるつもりだ。
提供:デイリースポーツ