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NHKマイルC・G1」(8日、東京)
美浦の投票所で馬名の五十音順に回される抽選器。6日、厩舎関係者、報道陣ら15人ほどが固唾(かたず)をのんで見つめていた。
メジャーエンブレムの番を迎えて、埋まっていない枠は3つだ。八角形の回転体の中に残っていたのは天国、地獄、そして試練。後入れ偶数で内めの絶好枠4番。大外の18番。内めでも、先入れでゲート内で我慢させなければならない5番。
名前を呼ばれて田村師は自ら、ゆっくりと取っ手を回した。転がる玉。確認すると、トレーナーの顔がホッとした笑顔に変わる。「
メジャーエンブレム。4番」。グイッと運を引き寄せた瞬間だ。
「最高でしょう。これ以上ないよ。どうしても偶数が引きたかったからね。最初にいい枠が引かれていって、もう残ってるのは4番だけだなって思っていた」。普段は厳しい職人の目が柔らかく光る。
追い切りから2日後の金曜朝、美浦坂路を軽やかに2本駆け上がった。4F71秒2-17秒0、30分おいて同69秒5-16秒6。四肢は柔らかに伸び、首も低くコントロールされている。
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シゲルノコギリザメが逃げるかも?結構だよ。いいじゃない。もうオレはやれることはやったよ。あとはルメールだ」。その同型は7枠13番の外枠に追いやられた。積極的なレース運びを期待するのは変わらない。あとは名手に全てを託す。
提供:デイリースポーツ