「平安S・G3」(21日、京都)
ここに敵はいない。まるで視線の先にあるビッグネームたちと戦っているかのような1分56秒2という時間だった。単勝2.2倍という熱い支持を背に、
アスカノロマンが迷いなく14頭を引き連れ、そしてねじ伏せた。
「(逃げるのは)ひとつの作戦ではありました。(行く馬が行かなかったので)ポジションを取って自分でレースをつくろうと」と太宰は振り返る。
ショウナンアポロンに
クリソライト。先行する可能性のあった2頭の動きを察知した鞍上は、相棒を先頭へと導いていった。あくまでも自然体。それでも、しっかりとハナを主張してレースを支配すると、ラ
イバルたちは追うすべをなくした。
しびれるような手応えで3角から4角へ。直線に入ると左ステッキを打ち込んで気持ちを高め、5馬身もの差を保ってゴールへ飛び込んだ。「もう一段、良くなりそうですから、これからが本当に楽しみです」。前走(
アンタレスS2着)先着を許した
アウォーディーが脚部不安で回避したため、リベンジを果たすことはできなかったが、太宰の笑顔が示すように、この日の走りには進化を感じた。
今後について、川村師は「オーナーと相談した上で」としながらも「大井の方に行きたいという思いは持っています」と
帝王賞(6月29日・大井)を見据える。飛躍の時を迎えた5歳の夏。
ホッコータルマエ、
コパノリッキーらの待つ頂上決戦で、いよいよ天下取りを目指す。
提供:デイリースポーツ