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世界一となったエイシンヒカリ 海外G1・3連勝へ

デイリースポーツ
  • 2016年06月14日(火) 13時00分
 1分53秒2のドラマが、世界の評価を一変させた。「衝撃的だったと思う。現地の人たちもあきれていたよ」。トロフィーを手にした武豊Jが誇らしげにする。5月24日、フランスで行われたG1・イスパーン賞。エイシンヒカリは10馬身差の圧勝劇で世界をアッといわせた。

 レベルが低かったわけではない。1番人気に支持されたニューベイ(6着)は昨年の凱旋門賞3着馬で地元のトップホース。道悪のニエル賞も圧勝していて馬場は不問。凱旋門賞以来だったとはいえ、イスパーン賞を8勝する名将アンドレ・ファーブル調教師の仕上げに狂いはなかったはずだ。また、2着馬ダリヤンはガネー賞でG1初制覇と、勢いをつけての参戦だった。

 さすが世界戦。レースはこれまでのような楽な展開にはならなかった。好スタートからハナに立ったところで、外からヴァダモスが競りかけて先頭に。前述したニューベイと同じアンドレ・ファーブル厩舎の馬。おそらく、日本馬のリズムを狂わせようとしたのだろう。「(ヴァダモスに騎乗の)ブドーが来るかもと思っていたけど、やっぱりきたか、と。付き合うことはないからね」と武豊J。

 競り合いを避けて2番手で我慢すると、直線は余裕の手応え。ステッキが入ったのは3発だけで、最後は10馬身差と後続を置き去りにした。「勝つチャンスはあると思っていたけど、あれだけのパフォーマンスをするとは驚いた」。鞍上も舌を巻くほどの強さだった。

 これで香港Cに続き、海外G1・2連勝。昨年の天皇賞(秋)でモロさを露呈したエイシンヒカリとは別馬のようだ。もともとデビュー戦から5連勝したほど。ただ、外ラチ沿いまで吹っ飛んだアイルランドトロフィーや、イレ込みの影響からか9着に沈んだチャレンジCなど、気性面で危うさを抱え、勝ったレースでも、全能力を出し切っていたわけではなかった。イスパーン賞に関してはシャンティイの環境がフィットしたことが大きい。

 武豊Jが日本との違いを説明する。「パドックで何周もグルグルと回らなくていいし、馬場へ出てからもすぐにレース。シャンティイの環境が合うんじゃないかな。日本の時よりも落ち着いていたから」。国内ではパドックから返し馬と、イレ込みがきつく、パドックだけブリンカーを着けたり、馬場入り寸前までホライゾネットを着用するなど、対策が必要なほどだった。落ち着いてレースに臨めれば、これほどまでに強かったということか。

「秋に、同じ舞台に戻ってきたいと感じました」。イスパーン賞のレース後、主戦はこうコメントした。“同じ舞台”とは凱旋門賞(10月2日)のこと。今年の凱旋門賞はこれまでと大きく違う。ロンシャン競馬場の改修工事によって、イスパーン賞と同じシャンティイ競馬場で開催される。2400メートルにも「大丈夫」と言い切る。

 凱旋門賞には日本馬11頭が登録済み。ただ、そこにエイシンヒカリの名はない。出馬登録料は7200ユーロ(約86万円※1ユーロ120円)だが、締め切りの5月11日を過ぎると、追加登録料は、12万ユーロ(約1440万円)に膨れあがる。勝算がなければ、出せない大金だ。「同じコースだし、凱旋門賞に、という気持ちになりました。みなさんの後押しが必要(笑い)。ロイヤルアスコットで結果を出せば、ますますね」と武豊Jは参戦を熱望した。

 海外G1・3連勝なるか-。15日に行われるプリンスオブウェールズS(ロイヤルアスコット)が次の舞台。出走馬は昨年同レース2着馬で14年仏ダービー馬ザグレイギャッツビー、15年BCターフ優勝馬ファウンドなど、好メンバーがそろう。そして、日本馬がロイヤルアスコットで勝った例はない。

 決戦を前に、追い風となるニュースが飛び込んできた。IFHA(国際競馬統括機関連盟)発表のワールドベストレースホースランキング(1月1日〜6月5日)でエイシンヒカリが単独トップに立った。日本馬が首位となるのはジャスタウェイ以来史上2頭目。世界No.1と評価された馬が負けるわけにはいかない。

 競馬発祥の地で、伝統ある英国競馬に、今度はどんな衝撃を与えるのか。先に見据える凱旋門賞への扉を開いてもらおう。ディープインパクトオルフェーヴルが跳ね返された壁も超えられる。エイシンヒカリ武豊なら、競馬ファンの夢をかなえてくれそうだ。(デイリースポーツ・井上達也)

提供:デイリースポーツ

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