「
宝塚記念・G1」(26日、阪神)
思い出深い
グランプリがやってきた。
横山典弘騎手(48)=美浦・フリー=は、91年に名コンビとして知られる
メジロライアンとV。あれから25年、今年は
アンビシャスとともに参戦する。勝てば2年前に
ゴールドシップで記録した自身の
宝塚記念最年長Vを更新。関東の名手は静かに決戦の時を待つ。なお、23日に出走馬と枠順が確定。馬券は25日に前日発売が行われる。
美浦トレセンを覆う鉛色の空がどこか懐かしく思える。重馬場をめっぽう得意とした
メジロライアン、そして若き関東の雄として脚光を浴びていた横山典。そのライアン悲願のG1制覇が、上半期の
グランプリだった。
91年6月9日。同じ冠名の
メジロマックイーンには
菊花賞(3着)、
天皇賞・春(4着)で後じんを拝して迎えた一戦。これまでの後方待機策から一転、4角先頭の積極策でラ
イバルを封じた。ただ当人に奇襲の意図はなかったという。「馬が行ってくれた感じだった」。短くとも深く、人馬に流れる絆の奥深さが凝縮した一言と思えてならない。
無論、鞍上の好プレーも光った。4角で各馬が膨れる京都外回り戦。先行しつつ、後続をロスの多い進路に誘導している。23日、「マックイーンは外に出さざるを得なくなった。差す形なら自分がそうなっていたかも」と振り返りながら、こう言葉を継いだ。「たまたま(馬場改修工事で)京都開催。そういう部分も含め、何かが舞い降りてきたんだろう」。勝つことの難しさを知る名手ならではの発言といえよう。
20日には29歳で亡くなったライアンの葬儀が営まれた。弔いVと盛り上がる周囲をよそに、見つめる先は一点。今年の相棒
アンビシャスをどう駆るかに尽きる。「まだ気性的に幼い。でも必ず大きいところは獲れる馬」。静かに、パートナーにとって最良の道を切り開くのが騎手の務め。競馬に対してひたすら実直なノリだからこそ、往年の名コンビは今なお高い人気を博している。
提供:デイリースポーツ